AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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合わさるピースと、欠けるピース

ヒーローとは?

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「谷風、、、!谷風、、、!」

小野川が谷風に声をかけている。

「谷風!!」

その瞬間、谷風の意識が引き戻された。

谷風はゆっくりと瞬きをした。

そして、視線を落としナイフを見つめた。

「お前、、、あいつの言う事を聞くつもりか?!」

そんなことはしないよな?
そんな問いだった。

谷風は、ゆっくりと顔を上げた。
小野川を見る。

だが、何も答えない。


「今度こそ、この子を助けてみなよ!」

不気味な男が笑いながら、挑発している。

「ヒーローもどきが」


その言葉が谷風に刺さった。

ヒーロー。

ヒーロー、、、?

ヒーローって、、、なんだ?

谷風の身体が、小さく震えた。


その時、谷風の震える手がーーゆっくりと。

ナイフへ伸びていった。


不味い、、、!

あの人は強い。
この場にいる人間の中で、多分一番。

だが、今の谷風は壊れかけている。

限界だ、、、。


だが、追い打ちをかけるように、

「まーでも、君は悪くないか」

神経を逆撫でするような声。

「娘ちゃんは、やつらに殺されたんだもんねー」

「いや」

「裏切った、紅林くんか!」

ニヤニヤと笑う男。

「、、、、いや」

自分の顔を指差しながら、

「そのきっかけを作った、僕かな?!」

ニターっーー。
口角が裂けるほど、笑っていた。


俺は谷風を見た。

その顔は怒りではなかった。

苦しみ。
胸を締め付けられているような顔。


谷風の視界が揺れる。

谷風の力が、抜けた。

ガクンーー

膝が折れた。

谷風の両膝が、アスファルトにぶつかる。


谷風の手が、ゆっくりと動いた。

そして、目の前のナイフを鷲掴んだ。


「谷風、、、、!!」

小野川は叫ぶ。

だが谷風は反応しない。

谷風の手は震えている。

「はあ……はあ……はあ……」

荒い呼吸。
肩が上下に揺れる。


ヒーロー。

子供の頃から憧れていた存在。

弱いものを助け、悪を倒す。

そして、誰からも求められる存在。

自分もそうなりたかった。


ナイフを見つめる。
その刃に、自分の顔が歪んで映る。

ヒーローという存在になれば。

誰かに必要とされる。
誰かに感謝される。
誰かに認められる。

それは――

欲だった。

純粋な正義じゃない。
承認欲求。
自己満足。


だが、テレビや漫画で描かれていたヒーローは、違った。

彼らは、欲のために戦ったのではない。
見返りなんて求めていない。

だから、英花を救えなかったのか??

だが、この現実世界でそんな存在はいるのか?

無欲で。
純粋で。

何も求めないヒーローなど――

存在できるのか?

これはフィクションじゃない。
現実だ。


その時、谷風は何かを理解したような表情をした。

そして、ナイフの刃先を自分の腹に向ける。

「谷風さんーーー!!」

俺は叫んでいた。


谷風はこちらを見て、穏やかな笑顔を見せた。

そして、不気味な男を見て

「私が腹を切れば、、、」

「その子は助かるんだよな??」

不気味な男は、目を見開いた。

そして顔を歪めて笑った。

「うん!」

心底楽しそうに。

「そんな馬鹿なことができるなら、流石に僕も約束を守るよ!」


谷風は空を見上げた。

あの日と、同じ青い空。


「後は、任せました」

静かな声で、俺に言った。


ズブッーー

鈍い音がした。

ナイフが、谷風の腹に。

深くーー突き刺さった。
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