無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

文字の大きさ
52 / 71
第六章 辺境の島に国を作る

52.王子、ルールを作る

しおりを挟む
 メアリーの魔法で一瞬にして消えた家や畑も数日後には元の姿に戻り、今では立派な村……いや、要塞都市のようになってきた。

 みんなも村づくりが楽しくなってきたのか、メアリーの提案を受け入れたらこの有り様だ。

 この島にまだどんな生物がいるかわからない状況で、簡単には壊れない村をつくるということから要塞都市のようになってきた。

 確かに最強種が目の前にたくさんいるし、魔物の上位種も普通に生活している。

 普通に考えたらここに住処を作るという発想がおかしいんだろうな。

「次はルールが必要になってくるか」

『ルール?』

 コボスケ達はお互いに顔を見渡している。流石にこの島のルールまでは決まっていないようだ。

 家ができたら今度は村としてのルールが必要になる。

「ルールは簡単に言えば決まり事を作っておくってことだな」

『それは作って意味があるのか?』

「ルールを作ることで、行動の基準にもなるし秩序を維持する役目にもなるんだ。争いごとが起きないようにルールを作ったり、間違ったことをしないように作っておくとかね」

『んー、ならアドル優先ってルールがいいな』

 コボスケの言葉にみんな頷いている。妹のメアリーまでその提案に納得している。一応ちゃんとした貴族マナーや法律も勉強していたはずだ。

 島に来て数日ですでに人は変わってしまうのだろうか。

「いやいや、それはさすがに僕が悪いことしたらどうするんだ?」

「お兄様はそんなことしません!」

 この絶対的な信頼みたいなのはなんだ?

『アドルはそんなことができるやつじゃないしね』

 うん、コボスケは一言多いようだ。

 信用されているのかいまいちわからない。

 ただ、実際に何かするわけでもないし、ルールはなくても良いのだろう。

 それでもここが村として発展している中で決まり事があった方が良いのは確かだ。

「んー、じゃあまずは簡単な決まりごとを作ろうか。何か提案してくれ」

 堅苦しい法律とかではなく、小さな決まり事から慣らしていくことにした。

『はいはい、拙者から一つ! 毎日一回はアドルと二人きりになる時間を作ること!』

『賛成!』

 ん?

 こいつらは何を言っているんだ?

『ワシからは、毎日一回は撫でることを入れてもらおうか』

『賛成!』

 あれ?

 いつもツンツンしているヒツジは毎日撫でて欲しかったのか。

 確かに昨日もずっとこっちを見ていた。あの時は撫でて欲しかったのだろうか。

「私からもいいですか? 何があってもお兄様と一緒に寝――」

『それは反対だ!』

『弟子のくせに生意気だ! ワシ達は体が大きいから特にカマバックは無理だ』

『いやん♡ 私もアドルきゅんと一緒に寝たかったー!』

 流石にカマバックと寝たら色んな意味で危ないだろう。押しつぶされる可能性もあるが、物理的に食べられそうな気がする。

 メアリーの提案は拒否された。

 その後も提案されるルールは全て僕が関わっている。

 僕と一緒にご飯を食べること。

 僕と一緒に遊ぶこと。

 僕と一緒に空中歩行の練習をすること。

 僕と一緒に昼寝をすること。

 聞いていてすごく幸せな気分になってきた。空中歩行は流石に練習できないため断ると、コカスケは悲しそうにとぼとぼと空中歩行の練習に行った。

 一緒にできなくても見守るだけでもした方が良さそうだな。

「じゃあ、最後に僕からの提案ね」

 みんなは何を言われるのかドキドキしているのだろう。段々と近づいてくる。

「毎日お風呂に入りましょう」

『へっ?』

 ドラゴニュートの家を作っている時に、メアリーが湧き出ている水が温泉だと気づいた。

 元々湯浴みをする習慣のないコボスケ達には何を言っているのだろうという感覚のはずだ。ただ、少しずつ獣臭がしてくるのだ。

 虫を食べるのは制限しているため、口臭ではない。

 そうなると体から出ていることになる。

 汚いやつは家の中には入れないからな。

 それに温泉って他の国では観光地になるほどのものだ。

 せっかくだから温泉を堪能するべきだろう。

 どこかみんな不服そうだが、湯浴みをするのがルールとして追加された。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。 王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。 戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。 彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。 奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、 彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。 「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」 騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。 これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...