元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

文字の大きさ
56 / 58

56.じいじ、運命は突然に

しおりを挟む
――プルルル……プルルル……

 ログアウトしてしばらくすると、スマートフォンが鳴り出した。
 表示される電話番号を見たことないが、きっとカナタの家族がかけてきたのだろう。

「いつも息子の奏汰がお世話になっております。おじいさんの電話番号で間違えないでしょうか?」
「はい、じいじです」

 本当にカナタの家族から電話がかかってきた。
 電話の隣からはゲームの時のようにカナタの声が聞こえてくる。

「今息子に変わり――」
「おじいさん!」
「ははは、こっちのカナタも元気いっぱいだね」

 声帯もゲームの世界ではリアルに作られているため、スマートフォン越しに聞こえるカナタの声は同じのようだ。

「おじいさんも変わらないね」

 カナタもわしの声を聞いて一安心をしていた。

「少しお母さんに代わってもらってもいいかな?」
「うん! はい、お母さん」

 すぐにカナタのお母さんに代わってもらった。
 まずは陽希と直接会うにはどこに住んでいるのか確認が必要だからな。

「すみません、奏汰がハルキくんに会いたいと言ったばかりに……」
「いえいえ、子どもたちの願いを叶えるのは祖父の役目ですからね」
「毎日ハルキくんとおじいさんの話は窺っております」

 本当にカナタはわしらの話を毎日しているようだ。
 それだけカナタもゲームを楽しんでいるのだろう。

「それで奏汰のお願いなんですが、大変嬉しく思っておりますが、今回はなしにしていただけないでしょうか」
「ははは、知らない人に会うのは怖いから仕方ないね」

 突然、子どもが会いたいと言っても、知らない人と会うのはリスクがある。
 わしも過去にゲームのオフ会でたくさんの人に会ったが、大人と子どもでは危険度やリスクは違うからな。

「あの、うちはちょっと……車椅子なんです。だから、遠出になるとやっぱり……」

 カナタのお母さんからは、病気によってカナタが長いこと外出ができないこと、遠い場所だと移動が大変なことを心配していた。
 同じ車椅子に乗っている身としては、確かに大変なのは理解している。

「それなら娘と陽希に伝えて、カナタに会いに行ってもらうのはどうかな? わしらは愛知県に住んでいるが……」
「えっ……私たちも愛知県です!」

 どうやら同じ愛知県に住んでいるようだ。
 それなら話は早いだろう。

「ちなみに私たちは名古屋の熱田区に――」
「おー、わしらも熱田区に住んでおるぞ!」

 まさかカナタが近くに住んでいるとは思いもしなかった。
 そこまで近いなら、すぐに日程調整もできそうだ。
 その場で電話番号を再度確認して、わしは娘に伝えることにした。

――翌日

「じいじ、おはよう!」

 朝食を済ませて、ログインしようとしたら、突然ハルキがやってきた。
 その後ろには娘も楽しそうに笑っている。
 あれは何か企んでいる顔だぞ。

「お父さん、昨日カナタくんのお母さんと連絡して、今日一緒にランチに行くことになったの!」

 どうやら昨日連絡して、すぐに予定が調整できたらしい。
 会いに行く前にわざわざ直接施設に来て、言いに来てくれたのだろう。

「楽しんで――」
「じいじも行くんだよ?」
「へっ!?」

 理解が追いつかない頭をよそに、ハルキはわしの車椅子を押していく。

「施設長! じいじと出かけてくるね」 
「陽希くん、気をつけてね!」

 わしも一緒にカナタに会えるのは嬉しいが、こんな見窄らしい服装で行ってもいいのだろうか。
 そんなわしを娘は見ていたのか、目が合うとまた企んでいる顔をしていた。

「お父さん、今何時かわかる?」
「さすがにそこまではボケていないぞ。今は9時過ぎだよな?」
「そうよ。今から買い物してから、カナタくんに会いに行くからね」

 わしの心配はいらなかったようだ。
 事前にカナタくんへのお土産を買いに行くついでに、わしの服も買いに行くことになった。
 久しぶりのオシャレにわしはドキドキしたが、服はついでだったんだな……。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

七億円当たったので異世界買ってみた!

コンビニ
ファンタジー
 三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。  ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。 「異世界を買ってみないか?」  そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。  でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。  一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。  異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。 チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。

処理中です...