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第一章 少年との出会い
1.聖男、小さな出会い
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「はぁー、今日もインシデントばかりで疲れた……」
夜勤明けで疲れた体に鞭を打つように報告書を書き僕はお昼頃、自宅前に着いた。
眠気で意識がボーッとする。
――ガチャ!
「ただい……」
鍵を開けて、玄関に入ると目の前で小さな男の子が倒れていた。
あまりの光景に僕は一度外に出た。
「102号室……僕の家だよね?」
入ったのは明らかに僕の住んでいる賃貸のアパートだった。
だけど、子どもが玄関にいるとは思わないだろう。
だって……僕はまだ独身だからね。
窓から入ってきたのかと思い、ゆっくりと少年に声をかける。
「あのー、こんなところでどうし……って大丈夫?」
僕はすぐに倒れている少年の向きを変える。
頭から出血しており、少年は項垂れていた。
すぐに手袋をつけて、タオルで圧迫する。
「頭だから病院に連れて行った方がいいか……。いや、出血もわずがだし……両親は……」
そもそも誰かわからない少年を病院に連れて行ってもいいものだろうか。
保険証はないし、このまま親が見つからなければどうするべきだろう。
夜勤明けのためか、頭もちゃんと回らない。
しばらく止血していると、少年は目を開けた。
「綺麗な瞳……」
緑色に輝く瞳に僕は惹きつけられた。
髪の毛は暗めのため気づかなかったが、きっと日本人ではないのだろう。
それに――。
「&brdw#&u」
何を言っているのかわからない。
英語でもないし、ドイツ語でもない。
他の言語はわからないため、何度も声をかけるが少年も首を傾げていた。
とりあえず、このまま放置しておくわけにはいかないと思い僕は少年をベッドに運ぶ。
頭から出血していたのもあり、今は安静にしていた方が良いだろう。
「んー、これからどうするべきだ……」
部屋の中を見て回ったが、どこの窓も開いてなかった。
開いているとすればクローゼットの扉だけだ。
中を覗いても普段と変わらない。
「まさか幽霊……ってことはないよね。きっと疲れているんだね」
夜勤明けで空腹だから変な思考になるのだろう。
まずは胃に何か入れたら、自然と頭も回ってくるだろう。
僕は冷蔵庫の中を開けて、何があるか確認する。
「まぁ……何もないよねー」
あるのは牛乳などの飲み物やご飯のお供である漬物程度。
家に帰ってから何かを買いに行こうとしていたから、材料は当然なかった。
「とりあえず、ホットケーキでも作るか」
すぐにホットケーキミックスを混ぜ合わせ、ふっくらさせるためにマヨネーズを少しだけ入れる。
軽くフライパンを熱して、濡れタオルで少し冷ましてから生地を焼いていく。
「小さい子なら食べられ……牛乳アレルギーうわっ!?」
僕は少年に確認するために振り返ると、目を覚ましたのか隣に立っていた。
少年はフライパンで何を作っているのか気になって、興味津々に見ている。
「ホットケーキ!」
「……?」
ホットケーキぐらいなら知っているかと思ったが、少年は首を傾げていた。
海外にはホットケーキはないのか?
「パンケーキ!」
「……?」
それでも初めて聞いたような表情をしていた。
「ホットケーキ!」
「ほっ……と……けー? き?」
何度も伝えると、やっと理解したのか頭を縦に振っていた。
言葉は覚えても、何かはわからないのだろう。
「食べる?」
「た……べ……る?」
手の平サイズのホットケーキを何枚も焼くと、お皿の上に重ねて置いていく。
よだれが出ているから、どうやら興味はあるのだろう。
バターを載せて、メープルシロップと一緒に机に運ぶ。
「甘いのは好きかな?」
少年はやはり首を横に傾けていた。
メープルシロップを少しだけかけて、口の前に運ぶ。
警戒しながらもゆっくりと口の中に入れた。
「d)s1÷6sd"」
何を言っているのかはわからない。
ただ、表情がパッと明るくなり、美味しいのは伝わってくる。
それに食べさせてもらいたいのか、口を開けて待っていた。
甘えている姿がまるで弟みたいで可愛い。
まぁ、末っ子だから弟はいないんだけどね。
「あっ……」
気づいた頃にはホットケーキはなくなっていた。
もうないとわかった時のシュンッと落ち込んだ姿に僕の方が罪悪感が沸いてくる。
まだ僕も食べてなかったんだけどね……。
「今度は違うものを食べようか……。えーっと……」
僕はパクパク食べる動きを繰り返すと、大きく頷いていた。
言葉は伝わらないが、ジェスチャーでどうにかなりそうな気がする。
「その前にまずはお風呂か」
少年の手を握って、お風呂場まで連れていく。
血が固まっており、服も汚れていたからだ。
僕が手を伸ばしてバンザイのポーズをすると、少年もマネをした。
その隙にそのまま服を持ち上げるように脱がす。
「なんだ……これ……」
シャツの下から現れた傷に息を呑んだ。
切り傷や何かを打ちつけられたようなミミズ腫れ。
無数の線が、焼きつけられたように皮膚を走っている。
転んでできたような傷ではない。
どれも人の手でつけられた痕ばかりだ。
看護師をしているから、明らかに暴力行為が行われていたと気づいた。
どうしてこんな小さな体に……。
そんな想いが胸の奥で弾けた。
「ごめん!」
僕はすぐに少年に抱きつく。
なぜ家にいたのかはわからない。
だが、傷からして何者かに虐待を受けていて逃げてきたのだろう。
突然の出来事に少年は首を傾げているが、それでも僕は少年の頭を撫で続けた。
――グスッ!
次第に鼻をすする音が聞こえてきた。
チラッと少年の顔を覗き込むと、目から大粒の涙が溢れてくる。
「大丈夫?」
僕の言葉を理解しているのかはわからない。
それでも、少年は泣きながら僕の服を掴んで離さなかった。
小さな手の震えが伝わり、僕まで泣きそうになる。
その後も少年が泣き止むまで、僕はただその小さな体を抱きしめることしかできなかった。
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
【あとがき】
久しぶりにBLを書きました!
なのでかなり手こずってます笑
BL小説大賞に参加する予定なので、応援していただけると嬉しいです| |д・)
投票もよろしくお願いします!
夜勤明けで疲れた体に鞭を打つように報告書を書き僕はお昼頃、自宅前に着いた。
眠気で意識がボーッとする。
――ガチャ!
「ただい……」
鍵を開けて、玄関に入ると目の前で小さな男の子が倒れていた。
あまりの光景に僕は一度外に出た。
「102号室……僕の家だよね?」
入ったのは明らかに僕の住んでいる賃貸のアパートだった。
だけど、子どもが玄関にいるとは思わないだろう。
だって……僕はまだ独身だからね。
窓から入ってきたのかと思い、ゆっくりと少年に声をかける。
「あのー、こんなところでどうし……って大丈夫?」
僕はすぐに倒れている少年の向きを変える。
頭から出血しており、少年は項垂れていた。
すぐに手袋をつけて、タオルで圧迫する。
「頭だから病院に連れて行った方がいいか……。いや、出血もわずがだし……両親は……」
そもそも誰かわからない少年を病院に連れて行ってもいいものだろうか。
保険証はないし、このまま親が見つからなければどうするべきだろう。
夜勤明けのためか、頭もちゃんと回らない。
しばらく止血していると、少年は目を開けた。
「綺麗な瞳……」
緑色に輝く瞳に僕は惹きつけられた。
髪の毛は暗めのため気づかなかったが、きっと日本人ではないのだろう。
それに――。
「&brdw#&u」
何を言っているのかわからない。
英語でもないし、ドイツ語でもない。
他の言語はわからないため、何度も声をかけるが少年も首を傾げていた。
とりあえず、このまま放置しておくわけにはいかないと思い僕は少年をベッドに運ぶ。
頭から出血していたのもあり、今は安静にしていた方が良いだろう。
「んー、これからどうするべきだ……」
部屋の中を見て回ったが、どこの窓も開いてなかった。
開いているとすればクローゼットの扉だけだ。
中を覗いても普段と変わらない。
「まさか幽霊……ってことはないよね。きっと疲れているんだね」
夜勤明けで空腹だから変な思考になるのだろう。
まずは胃に何か入れたら、自然と頭も回ってくるだろう。
僕は冷蔵庫の中を開けて、何があるか確認する。
「まぁ……何もないよねー」
あるのは牛乳などの飲み物やご飯のお供である漬物程度。
家に帰ってから何かを買いに行こうとしていたから、材料は当然なかった。
「とりあえず、ホットケーキでも作るか」
すぐにホットケーキミックスを混ぜ合わせ、ふっくらさせるためにマヨネーズを少しだけ入れる。
軽くフライパンを熱して、濡れタオルで少し冷ましてから生地を焼いていく。
「小さい子なら食べられ……牛乳アレルギーうわっ!?」
僕は少年に確認するために振り返ると、目を覚ましたのか隣に立っていた。
少年はフライパンで何を作っているのか気になって、興味津々に見ている。
「ホットケーキ!」
「……?」
ホットケーキぐらいなら知っているかと思ったが、少年は首を傾げていた。
海外にはホットケーキはないのか?
「パンケーキ!」
「……?」
それでも初めて聞いたような表情をしていた。
「ホットケーキ!」
「ほっ……と……けー? き?」
何度も伝えると、やっと理解したのか頭を縦に振っていた。
言葉は覚えても、何かはわからないのだろう。
「食べる?」
「た……べ……る?」
手の平サイズのホットケーキを何枚も焼くと、お皿の上に重ねて置いていく。
よだれが出ているから、どうやら興味はあるのだろう。
バターを載せて、メープルシロップと一緒に机に運ぶ。
「甘いのは好きかな?」
少年はやはり首を横に傾けていた。
メープルシロップを少しだけかけて、口の前に運ぶ。
警戒しながらもゆっくりと口の中に入れた。
「d)s1÷6sd"」
何を言っているのかはわからない。
ただ、表情がパッと明るくなり、美味しいのは伝わってくる。
それに食べさせてもらいたいのか、口を開けて待っていた。
甘えている姿がまるで弟みたいで可愛い。
まぁ、末っ子だから弟はいないんだけどね。
「あっ……」
気づいた頃にはホットケーキはなくなっていた。
もうないとわかった時のシュンッと落ち込んだ姿に僕の方が罪悪感が沸いてくる。
まだ僕も食べてなかったんだけどね……。
「今度は違うものを食べようか……。えーっと……」
僕はパクパク食べる動きを繰り返すと、大きく頷いていた。
言葉は伝わらないが、ジェスチャーでどうにかなりそうな気がする。
「その前にまずはお風呂か」
少年の手を握って、お風呂場まで連れていく。
血が固まっており、服も汚れていたからだ。
僕が手を伸ばしてバンザイのポーズをすると、少年もマネをした。
その隙にそのまま服を持ち上げるように脱がす。
「なんだ……これ……」
シャツの下から現れた傷に息を呑んだ。
切り傷や何かを打ちつけられたようなミミズ腫れ。
無数の線が、焼きつけられたように皮膚を走っている。
転んでできたような傷ではない。
どれも人の手でつけられた痕ばかりだ。
看護師をしているから、明らかに暴力行為が行われていたと気づいた。
どうしてこんな小さな体に……。
そんな想いが胸の奥で弾けた。
「ごめん!」
僕はすぐに少年に抱きつく。
なぜ家にいたのかはわからない。
だが、傷からして何者かに虐待を受けていて逃げてきたのだろう。
突然の出来事に少年は首を傾げているが、それでも僕は少年の頭を撫で続けた。
――グスッ!
次第に鼻をすする音が聞こえてきた。
チラッと少年の顔を覗き込むと、目から大粒の涙が溢れてくる。
「大丈夫?」
僕の言葉を理解しているのかはわからない。
それでも、少年は泣きながら僕の服を掴んで離さなかった。
小さな手の震えが伝わり、僕まで泣きそうになる。
その後も少年が泣き止むまで、僕はただその小さな体を抱きしめることしかできなかった。
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
【あとがき】
久しぶりにBLを書きました!
なのでかなり手こずってます笑
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投票もよろしくお願いします!
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