異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた

k-ing /きんぐ★商業5作品

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第一章 少年との出会い

22.聖男、周囲の目に戸惑う

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「ほら、みにゃといくよ!」
「いや……さすがに外で手を繋ぐのは……」
「みにゃとは嫌なの?」

 ウルッとした顔で見られたら、はっきり言えない僕も僕だ。
 手を繋いでそっと背中に隠すようにして歩く。
 ルシアンは満足そうに歩いているが、僕は周囲の目が気になって仕方ない。
 何か直接言われているわけではない。
 ただ、周囲の目がそう何か言いたげそうな気がした。
 そのままスーパーまで歩いて行くと、いつものように引っ張られる。

「ちょ……」

 中型犬と言ったのは嘘だった。
 力は大型犬並みにあるだろう。
 そのまま引っ張られて、止まったのはいつもの場所だった。

「これ買うでしょ?」

 当たり前のようにホットケーキミックスをカゴに入れる姿に僕もつい笑ってしまう。
 出会ってから最初に食べた味で、僕たちの思い出の味といっても過言ではない。
 それに今さっき食べたばかりなのにね。
 そのまま僕はルシアンに手を引かれながら、スーパーの中を回っていく。

「やっぱりこっちの世界の芋はしっかりしているな……」

 ルシアンはじゃがいもやさつまいもを見て、真剣に何かを考えていた。

「そういえば、じゃがいもとさつまいもはできたの?」
「少し小ぶりだけどちゃんとできたんだ! 頑張って育てた甲斐があったよ!」

 ルシアンは僕の両手を握って詰め寄り、熱く語り出した。
 その勢いに僕は驚きながらも、楽しそうに話すルシアンの顔を見ていると、僕も嬉しくなる。
 ただ、やっぱり周囲の視線が気になるのは変わらない。

「ふふふ、日本語が上手な外国人ね」

 隣にいたおばあさんはルシアンを見て笑っていた。
 その言葉にホッとした僕がいることに気づいた。
 変な勘違いをされなくてよかった。
 そう思ってしまったことに罪悪感を覚える。

「じゃがいもとさつまいもを使った料理でオススメなものはあるかな?」
「んー、私はポテトサラダとかさつまいもサラダをよく作るわね」

 相変わらず誰とでもすぐに打ち解けるルシアンはおばあさんと楽しそうに話していた。
 気づいたらどこから出したのかわからないメモとペンを使って、レシピをメモしている。
 僕が持たせているものをずっと使っているようだ。

「おばあさん、ありがとう!」
「こちらこそ楽しかったわ」

 真剣に聞くルシアンに、おばあさんも楽しそうに話して帰って行った。
 僕たちもそのまま買い物を終わらせてスーパーを出ていく。

「ルシアン、僕が持つよ!」
「何言ってるの? もう俺は子どもじゃないんだからね」

 そう言って、僕に荷物を持たせないようにする。
 その代わりなのか、相変わらず僕の手を放そうとしない。

「なぁ、あいつら気持ち悪いな」
「男同士で手を繋いでいるぞ」

 周囲から聞こえてきた声に僕は手を引っ込めようとするが、ルシアンの力が思ったよりも強かった。
 僕の考えがわかっているのか、ルシアンはジーッと見つめてくる。

「やっぱり嫌かな?」
「いや……少し恥ずかしいかな……」

 あまり女性とも手を繋ぐ経験が少ないのに、男性になりつつあるルシアンと手を繋ぐことは、さらに難易度が高い。
 小さい時は何も気にしなかったのにな……。
 僕だけが過去に取り残されたような気分だ。
 実際はルシアンが先に進み過ぎているだけなのにね。

「じゃあ、帰ったらまた繋ごうね」

 そう言って、ルシアンは僕の一歩先を歩いて行く。
 ただ、明らかに後ろ姿が怒っている気がした。

「おい、ゲイ――」
「黙れ!」

 高校生の横を通り過ぎようとした瞬間、ルシアンから聞いたことのない低い声が聞こえてきた。
 全身がゾクっとして、まるで猛獣に狙われているような気分だ。
 それを感じたのは僕だけではない。
 ルシアンと目が合うや否や高校生は視線を逸らして、逃げるように走って行った。
 ひょっとして、ルシアンって番犬だったのかもしれない。

「ふん、先に追い払えばよかったな。さぁ、みにゃと帰ろ!」

 何事もなかったかのように、ルシアンは僕の手を繋いで歩いて行く。
 少しだけ僕の知らないルシアンを見て、気持ちの整理ができないでいた。
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