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第一章 少年との出会い
23.聖男、芋料理を作る
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「みにゃと、大丈夫?」
さっきの高校生たちの言葉が頭から離れず、ルシアンにも心配されてしまった。
「大丈夫だよ。何かあった?」
僕がすぐに笑顔に戻ると、今度はルシアンが苦痛な表情を浮かべていた。
「俺が頼りないばかりにごめん」
そう言って、ルシアンは僕に抱きついてきた。
きっと僕が傷ついたと思っているのだろう。
僕もギュッと抱きしめ返して、ルシアンの頭を優しく撫でる。
「別に傷ついていないよ。少し僕が気にしすぎなんだよ」
実際に僕が考えすぎなのもある。
今時同性愛者は珍しくない。
ただ、それを公にしているかどうかってだけだ。
今まで僕もその立場にはなったことがないから気づかなかったけど、見知らぬ人の視線や周囲からの壁を急に感じた。
まるで腫れ物には触れるなというような空気だった。
「やっぱりあいつらを殺すべきだったか……」
耳元から聞こえる物騒な言葉に僕は驚いた。
「ルシアン、そう簡単に人を殺したらダメだよ? この世界だと人を殺したら、一生牢屋の中で過ごすことになるよ。もちろん僕とも会えない」
その言葉にルシアンは驚いていた。
やはり生きている環境が違うと考えも全く違うようだ。
「それは困る! 俺はみにゃととずっと居たい!」
大きくなったルシアンには命の重さや倫理観を教えないといけないね。
それにサラッと恥ずかしいことを言うから、離れることができなくなってしまう。
きっと僕の顔は真っ赤になっているだろう。
もう一度ルシアンを抱きしめて僕は落ち着くのを待った。
だが、ルシアンの息はどことなく荒くなっているような気がした。
強く抱きしめ過ぎたのかな?
「よし、ご飯でも作ろうか」
「あぁ……」
僕はルシアンから離れると、すぐにご飯を作ることにした。
どこか熱い眼差しを向けるルシアンに僕は一瞬ドキッとした。
「ちょっとトイレに行ってくる」
そう言って、ルシアンは急いでトイレに駆け込んだ。
お腹が痛かったのだろうか。
それならずっと我慢していて、息が荒かったのも納得できる。
「とりあえずサラダを作るんだったかな?」
蒸し器にじゃがいもとさつまいもを入れて蒸していると、しばらくしてルシアンが戻ってきた。
「大丈夫?」
「あっ……うん」
どこか疲れたような顔をしていた。
「芋を蒸しているところなんだけど、ルシアンの世界には蒸し器はある?」
「いや、そんなもんはないし、芋は焼くだけだよ」
思ったよりも簡単な調理しかしていないようだ。
「じゃあ、ついでに蒸し器がなくてもできる方法を教えようかな」
僕は鍋に少しだけ水を入れて、お皿を反対向きに置いた。
その上にもう一枚お皿を載せてから芋を置く。
「こうやってやれば簡単に蒸し器の代用ができるからね」
「そんなに蒸すってやつをやると変わるの?」
「じゃがバターとか食べたらびっくりするよ」
蒸したじゃがいもやさつまいもって料理の幅が一気に広がるからね。
湯気の向こうで皮がうっすらと割れ、甘い香りがふわりと立ちのぼる。
フォークで刺すと、ほろりと崩れる柔らかさだ。
「これぐらいでいいかな」
火を止めてゆっくりと取り出す。
まだ熱を残したまま、皮をするりと剥く。
じゃがいもはほくほくとして、指の跡がそのまま残るり、さつまいもは蜜を含んだようにしっとりとしていて、ほんのり黄金色に光っている。
「えーっと……サラダを作るんだよね?」
「あぁ、これがレシピだ」
ルシアンから渡されたメモを見て、クスッと笑ってしまった。
「ルシアンって結構文字が汚いんだね」
「なっ!?」
「もうちょっと練習だね」
自分で勉強して日本語が話せるようになったし、書けるようになっただけですごいと思う。
ただ、メモの文字はミミズがたくさんいるように見える。
僕はレシピ通りにサラダを作っていく。
じゃがいもとさつまいもを同じボウルに入れ、木べらでゆっくりと潰していく。
そこへ、少しの塩と黒こしょう。
マヨネーズを加え、つややかになるまで混ぜ合わせる。
「マヨネーズはさすがにないよね?」
「うん」
マヨネーズに関しても作り方を教えないといけないが、卵って結構取り扱いに気をつけないといけない食材だからね。
衛生管理もしっかりと教えておこう。
刻んだきゅうりと玉ねぎを軽く塩もみして水気を切り、最後に加える。
「ルシアン、あーん!」
味見のためにスプーンで一口すくって、ルシアンの口に入れた。
「美味しい?」
「うまっ!? 芋がこんな味になるのか!」
「おばあさんのレシピが簡単でよかったよ。僕でも作れたしね」
「みにゃとは神様みたいだな」
ルシアンはそう言って、僕の両手を握った。
本当に大袈裟なんだから……。
その後もじゃがいもとさつまいもを使った料理を作った。
「じゃあ、他のものも持って行ってね!」
できたものをお皿に載せてルシアンに渡す。
できた料理をルシアンは観察するように見ては驚いていた。
気づいた時には、テーブルの上にはたくさんの芋料理が並んでいた。
芋サラダにじゃがバター、メインのチーズポテト焼きにスープとしてさつまいもポタージュを用意した。
それにデザートにスイートポテトまで用意しているからね。
こんなに芋料理ばかり食べることは滅多にないだろう。
僕たちはテーブルにつくと、体がふわりと浮いた。
「あのー、ルシアン……」
「なに?」
「さすがにこれは食べづらくないか?」
「いや、大丈夫だ!」
僕はやっぱりルシアンの膝の上に乗せられていた。
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
【あとがき】
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さっきの高校生たちの言葉が頭から離れず、ルシアンにも心配されてしまった。
「大丈夫だよ。何かあった?」
僕がすぐに笑顔に戻ると、今度はルシアンが苦痛な表情を浮かべていた。
「俺が頼りないばかりにごめん」
そう言って、ルシアンは僕に抱きついてきた。
きっと僕が傷ついたと思っているのだろう。
僕もギュッと抱きしめ返して、ルシアンの頭を優しく撫でる。
「別に傷ついていないよ。少し僕が気にしすぎなんだよ」
実際に僕が考えすぎなのもある。
今時同性愛者は珍しくない。
ただ、それを公にしているかどうかってだけだ。
今まで僕もその立場にはなったことがないから気づかなかったけど、見知らぬ人の視線や周囲からの壁を急に感じた。
まるで腫れ物には触れるなというような空気だった。
「やっぱりあいつらを殺すべきだったか……」
耳元から聞こえる物騒な言葉に僕は驚いた。
「ルシアン、そう簡単に人を殺したらダメだよ? この世界だと人を殺したら、一生牢屋の中で過ごすことになるよ。もちろん僕とも会えない」
その言葉にルシアンは驚いていた。
やはり生きている環境が違うと考えも全く違うようだ。
「それは困る! 俺はみにゃととずっと居たい!」
大きくなったルシアンには命の重さや倫理観を教えないといけないね。
それにサラッと恥ずかしいことを言うから、離れることができなくなってしまう。
きっと僕の顔は真っ赤になっているだろう。
もう一度ルシアンを抱きしめて僕は落ち着くのを待った。
だが、ルシアンの息はどことなく荒くなっているような気がした。
強く抱きしめ過ぎたのかな?
「よし、ご飯でも作ろうか」
「あぁ……」
僕はルシアンから離れると、すぐにご飯を作ることにした。
どこか熱い眼差しを向けるルシアンに僕は一瞬ドキッとした。
「ちょっとトイレに行ってくる」
そう言って、ルシアンは急いでトイレに駆け込んだ。
お腹が痛かったのだろうか。
それならずっと我慢していて、息が荒かったのも納得できる。
「とりあえずサラダを作るんだったかな?」
蒸し器にじゃがいもとさつまいもを入れて蒸していると、しばらくしてルシアンが戻ってきた。
「大丈夫?」
「あっ……うん」
どこか疲れたような顔をしていた。
「芋を蒸しているところなんだけど、ルシアンの世界には蒸し器はある?」
「いや、そんなもんはないし、芋は焼くだけだよ」
思ったよりも簡単な調理しかしていないようだ。
「じゃあ、ついでに蒸し器がなくてもできる方法を教えようかな」
僕は鍋に少しだけ水を入れて、お皿を反対向きに置いた。
その上にもう一枚お皿を載せてから芋を置く。
「こうやってやれば簡単に蒸し器の代用ができるからね」
「そんなに蒸すってやつをやると変わるの?」
「じゃがバターとか食べたらびっくりするよ」
蒸したじゃがいもやさつまいもって料理の幅が一気に広がるからね。
湯気の向こうで皮がうっすらと割れ、甘い香りがふわりと立ちのぼる。
フォークで刺すと、ほろりと崩れる柔らかさだ。
「これぐらいでいいかな」
火を止めてゆっくりと取り出す。
まだ熱を残したまま、皮をするりと剥く。
じゃがいもはほくほくとして、指の跡がそのまま残るり、さつまいもは蜜を含んだようにしっとりとしていて、ほんのり黄金色に光っている。
「えーっと……サラダを作るんだよね?」
「あぁ、これがレシピだ」
ルシアンから渡されたメモを見て、クスッと笑ってしまった。
「ルシアンって結構文字が汚いんだね」
「なっ!?」
「もうちょっと練習だね」
自分で勉強して日本語が話せるようになったし、書けるようになっただけですごいと思う。
ただ、メモの文字はミミズがたくさんいるように見える。
僕はレシピ通りにサラダを作っていく。
じゃがいもとさつまいもを同じボウルに入れ、木べらでゆっくりと潰していく。
そこへ、少しの塩と黒こしょう。
マヨネーズを加え、つややかになるまで混ぜ合わせる。
「マヨネーズはさすがにないよね?」
「うん」
マヨネーズに関しても作り方を教えないといけないが、卵って結構取り扱いに気をつけないといけない食材だからね。
衛生管理もしっかりと教えておこう。
刻んだきゅうりと玉ねぎを軽く塩もみして水気を切り、最後に加える。
「ルシアン、あーん!」
味見のためにスプーンで一口すくって、ルシアンの口に入れた。
「美味しい?」
「うまっ!? 芋がこんな味になるのか!」
「おばあさんのレシピが簡単でよかったよ。僕でも作れたしね」
「みにゃとは神様みたいだな」
ルシアンはそう言って、僕の両手を握った。
本当に大袈裟なんだから……。
その後もじゃがいもとさつまいもを使った料理を作った。
「じゃあ、他のものも持って行ってね!」
できたものをお皿に載せてルシアンに渡す。
できた料理をルシアンは観察するように見ては驚いていた。
気づいた時には、テーブルの上にはたくさんの芋料理が並んでいた。
芋サラダにじゃがバター、メインのチーズポテト焼きにスープとしてさつまいもポタージュを用意した。
それにデザートにスイートポテトまで用意しているからね。
こんなに芋料理ばかり食べることは滅多にないだろう。
僕たちはテーブルにつくと、体がふわりと浮いた。
「あのー、ルシアン……」
「なに?」
「さすがにこれは食べづらくないか?」
「いや、大丈夫だ!」
僕はやっぱりルシアンの膝の上に乗せられていた。
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