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第一章 少年との出会い
26.宰相、病気になった ※ルシアン視点
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俺は湊を見送ってから、ゆっくりと椅子に座る。
「あー、今日もみにゃと可愛かったな……」
久しぶりに会った湊はさらに可愛さが増していた。
昔は俺の生きがいでもあったし、ずっと一緒にいたいと思っていた。
ただ、久しぶりに会った湊を見て、その気持ちが一段と強くなり、誰にも渡したくないと思っていることに気づいた。
花束を渡した時の驚いた顔。
手を繋いだときに困惑した顔。
風呂に入れようと必死になる無邪気な笑顔。
そして、俺を見て熱い視線を送りながら、自分の気持ちに戸惑っているようだった。
あの時の湊の目は、嬉しそうでもあり、不安そうでもあった。
まるで、何かを確かめようとしているみたいに。
いや、それは俺の方かもしれない。
湊に会えて嬉しいはずなのに、胸の奥がざわついて、息が詰まる。
抱きしめたくて、でも触れたら何かが壊れそうで、手を伸ばせなかった。
あの頃と同じ笑顔なのに、もう同じじゃない。
何が変わったのか分からないけど、確かに何かが変わってしまった気がする。
あんなに簡単に言えていた〝大好き〟という言葉すら、少し息が詰まってしまう。
「これはなんだろうか……」
俺はすぐにパソコンで調べた。
【ドキドキ、息苦しい、胸が痛い】
たしか気になる言葉を入れたら検索できると言っていた。
「狭心症……えっ、俺病気なのか?」
中を見ると難しい言葉がたくさん書かれている。
血管が詰まって死に至る病気に繋がるとまで書かれている。
「俺、死ぬのか……。みにゃとを残して……?」
湊を残して死ぬかもしれない。
そう思うと、さらに胸が締め付けられたように痛い。
これから湊とやりたいことはたくさんある。
そのために俺は生きているようなものだ。
その後も調べれば調べるほど不安が襲ってきて、俺は勉強どころではなくなった。
そんな状態でも、湊が作ってくれたお昼ご飯はとても美味しかった。
「あっ……もう湊を迎えにいく時間か……」
気づいたら外は夕暮れになり、湊の仕事が終わる時間になっていた。
全身に邪悪な魔素が張り付いているみたいに、体が重くて動きにくい。
もう最後になるかもしれないと俺は悟った。
伝えることもたくさんあるのに、俺はこんなところで死ぬのか……。
そんな気持ちで俺は湊の病院の椅子に座って待つ。
いつも俺に対しての視線と声が向けられるが、今日はそれどころではなかった。
「ルシアン……?」
それなのに大切な人の声はよく聞こえてくる。
「みにゃと……」
俺はすぐに湊に駆け寄り抱きついた。
これも最後になるかもしれない。
そう思うと強く強く抱きしめてしまう。
「ちょっ、ルシアン離れ……どうしたの?」
俺は涙が止まらなかった。
もう湊と会えないなんて……。
「あら、ルシアンくん……ってデカッ!?」
湊の子分である女が声をかけてきた。
せっかくの俺たちの時間を奪うのかと睨むが、やつは嬉しそうにニヤニヤと笑っていた。
「私が話を聞いておくから、湊は早く着替えてきたら? さすがに目立つだろうし」
「そっ……そうだね!」
そう言って、湊はスルリと俺の腕から抜けていった。
湊がいなくなってしまう。
もう俺は死ぬのに……。
「ルシアンくん、湊のことが好きでしょ?」
「はぁん?」
「うっわ……こわ!」
俺の邪魔をしやがって、イライラが収まらない。
ただ、さっきまで胸が苦しかったのは治り、狭心症の症状が一つもない。
「お前……天才か?」
「むしろ君はバカなの?」
やっぱりこいつと話をするとイライラする。
「俺はバカじゃない。狭心症だって調べたんだからな!」
「狭心症……? 湊は知ってるの?」
「知らない。今日わかったからな」
俺も狭心症だって今日知ったばかりだ。
パソコンは何でも知っているってやつだからな。
「んっ、今日わかった……? 症状は?」
「胸がドキドキして痛いし、ずっと息苦しい。みにゃととは離れたくないし、ずっと一緒にいたい」
湊のことを考えるとやっぱり胸が痛くなる。
声に出せば出すほど息が詰まる。
「ふーん……。それで湊のことばかり考えると痛くなるのね?」
「んっ? 湊のことばかり考えていると……」
「ふふふ、やっと気づいたのね。ルシアンくん、湊のことが好きなんでしょ?」
「何度言わせるんだ! 取られたくないし、俺以外に触れて欲しくないぐらい好き……好き!?」
俺はようやく気づいた。
湊のことを〝特別な意味〟で好きになっていたんだ。
「あー、今日もみにゃと可愛かったな……」
久しぶりに会った湊はさらに可愛さが増していた。
昔は俺の生きがいでもあったし、ずっと一緒にいたいと思っていた。
ただ、久しぶりに会った湊を見て、その気持ちが一段と強くなり、誰にも渡したくないと思っていることに気づいた。
花束を渡した時の驚いた顔。
手を繋いだときに困惑した顔。
風呂に入れようと必死になる無邪気な笑顔。
そして、俺を見て熱い視線を送りながら、自分の気持ちに戸惑っているようだった。
あの時の湊の目は、嬉しそうでもあり、不安そうでもあった。
まるで、何かを確かめようとしているみたいに。
いや、それは俺の方かもしれない。
湊に会えて嬉しいはずなのに、胸の奥がざわついて、息が詰まる。
抱きしめたくて、でも触れたら何かが壊れそうで、手を伸ばせなかった。
あの頃と同じ笑顔なのに、もう同じじゃない。
何が変わったのか分からないけど、確かに何かが変わってしまった気がする。
あんなに簡単に言えていた〝大好き〟という言葉すら、少し息が詰まってしまう。
「これはなんだろうか……」
俺はすぐにパソコンで調べた。
【ドキドキ、息苦しい、胸が痛い】
たしか気になる言葉を入れたら検索できると言っていた。
「狭心症……えっ、俺病気なのか?」
中を見ると難しい言葉がたくさん書かれている。
血管が詰まって死に至る病気に繋がるとまで書かれている。
「俺、死ぬのか……。みにゃとを残して……?」
湊を残して死ぬかもしれない。
そう思うと、さらに胸が締め付けられたように痛い。
これから湊とやりたいことはたくさんある。
そのために俺は生きているようなものだ。
その後も調べれば調べるほど不安が襲ってきて、俺は勉強どころではなくなった。
そんな状態でも、湊が作ってくれたお昼ご飯はとても美味しかった。
「あっ……もう湊を迎えにいく時間か……」
気づいたら外は夕暮れになり、湊の仕事が終わる時間になっていた。
全身に邪悪な魔素が張り付いているみたいに、体が重くて動きにくい。
もう最後になるかもしれないと俺は悟った。
伝えることもたくさんあるのに、俺はこんなところで死ぬのか……。
そんな気持ちで俺は湊の病院の椅子に座って待つ。
いつも俺に対しての視線と声が向けられるが、今日はそれどころではなかった。
「ルシアン……?」
それなのに大切な人の声はよく聞こえてくる。
「みにゃと……」
俺はすぐに湊に駆け寄り抱きついた。
これも最後になるかもしれない。
そう思うと強く強く抱きしめてしまう。
「ちょっ、ルシアン離れ……どうしたの?」
俺は涙が止まらなかった。
もう湊と会えないなんて……。
「あら、ルシアンくん……ってデカッ!?」
湊の子分である女が声をかけてきた。
せっかくの俺たちの時間を奪うのかと睨むが、やつは嬉しそうにニヤニヤと笑っていた。
「私が話を聞いておくから、湊は早く着替えてきたら? さすがに目立つだろうし」
「そっ……そうだね!」
そう言って、湊はスルリと俺の腕から抜けていった。
湊がいなくなってしまう。
もう俺は死ぬのに……。
「ルシアンくん、湊のことが好きでしょ?」
「はぁん?」
「うっわ……こわ!」
俺の邪魔をしやがって、イライラが収まらない。
ただ、さっきまで胸が苦しかったのは治り、狭心症の症状が一つもない。
「お前……天才か?」
「むしろ君はバカなの?」
やっぱりこいつと話をするとイライラする。
「俺はバカじゃない。狭心症だって調べたんだからな!」
「狭心症……? 湊は知ってるの?」
「知らない。今日わかったからな」
俺も狭心症だって今日知ったばかりだ。
パソコンは何でも知っているってやつだからな。
「んっ、今日わかった……? 症状は?」
「胸がドキドキして痛いし、ずっと息苦しい。みにゃととは離れたくないし、ずっと一緒にいたい」
湊のことを考えるとやっぱり胸が痛くなる。
声に出せば出すほど息が詰まる。
「ふーん……。それで湊のことばかり考えると痛くなるのね?」
「んっ? 湊のことばかり考えていると……」
「ふふふ、やっと気づいたのね。ルシアンくん、湊のことが好きなんでしょ?」
「何度言わせるんだ! 取られたくないし、俺以外に触れて欲しくないぐらい好き……好き!?」
俺はようやく気づいた。
湊のことを〝特別な意味〟で好きになっていたんだ。
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