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第二章 君は宰相になっていた
49.聖男、見習い治癒士に出会う
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僕はルシアンを執務室に連れて行き、無事にアシュレイさんに預けてきた。
全く離れようとしないルシアンに手を焼いていたが、お昼までに仕事を終わらせれば午後は休んでも良いとアシュレイさんが言ったことですぐに仕事に戻っていた。
「すぐに終わらせるからな!」
「はいはい、早く終わらせてミナトさんに会いに行ってくださいね」
どっちが上司かわからないが、やはりルシアンの部下だからよく知っているね。
少し寂しくなったけど、ボソッと「そんなに仕事が少ないわけない」とニヤリと笑いながら呟いたアシュレイさんを見て、気づいたらルシアンに同情していた。
仕事が終わったら少しだけ優しくしてあげないとね。
子どもを保育園に預ける親と保育士ってこんな感じなんだろう。
僕は急いで騎士たちがいる治療室に向かった。
本当の仕事は騎士たちの体調確認だからね。
「おはようございます!」
僕が治療室の扉を開けると、部屋の中は静かになっていた。
誰一人寝ている人はおらず、僕より少しだけ大きい背丈をした少年がベッドメイキングをしていた。
「何しに来たんだ?」
どこか冷たい対応に僕は間違って入ってしまったのかと思った。
ただ、部屋の中を見ても昨日と同じだし、騎士たちはどこに行ったのだろう。
「あのー、皆さんは……?」
「もう訓練に向かったぞ」
どうやら騎士は訓練に行ってしまったようだ。
体調が戻っているなら僕の出番もなさそうだから――。
「手伝いましょうか?」
「いや、これは俺の仕事だから……」
「そうですよね」
さすがに仕事を奪ってはいけないだろう。
僕はこの世界に来て何もやることがないようだ。
今まで看護師として働いていたため、自然と誰かに必要とされる環境にいた。
それがなくなってしまうとどこか寂しく感じる。
「ああああああ!」
少年は急に頭を掻いて、僕にシーツを渡してきた。
急な態度に僕は目をパチパチとさせた。
「ならシーツを敷いてくれ! できないと思うけどな!」
どこか僕に挑戦的に視線を向けられる。
残念ながら看護師にとってベッドメイキングって朝飯前だからね。
「よしっ!」
僕は気合いを入れてから、シーツを受け取る。
ベッド脇に立つと手早くシーツを広げた。
一度持ち上げて空気を抜き、そのままマットレスの上に落とす。
中央を押さえ、左右へと流れるように手を動かしてしわを伸ばし、角は迷いなく折り込み、足元には三角折りを作る。
余分なたるみが残らない程度に、けれど突っ張り過ぎないように加減するのを忘れない。
シーツのたるみ一つで褥瘡の原因になるからね。
掛け布団を整え、ずれを軽く叩いて直して枕を置き直す。
全体をさっと見渡しながら、時計をチラッと見る。
いつものペースだし、効率も問題ないようだ。
「我ながら上出来だな」
ベッドメイキングってやっている時は無心になれるから結構好きなんだよね。
現場では誰もナースコールを取らないと行かなきゃいけないけど、今はナースコールがあるわけでもない。
あっ……そういえば、ここは病院じゃなかった。
僕は急いで少年の顔を見ると、驚いた表情をしていた。
「なっ……お前本当に何者だ!?」
「いや……人間ですけど……」
静かな空気が部屋に漂う。
だって、何者かと言われたら人間としか答えようがない。
捻り出しても看護師としか言えないしな……。
「くっ……ははは! 面白いやつだな!」
なぜか僕は少年に背中をバシバシと強く叩かれる。
きっと見た目とは異なり、僕よりもかなり年下なんだろう。
僕のことを同い年ぐらいの人と思っていそうだし、可愛く見えてくるのは仕方ない。
ただ――。
「痛いですよ!」
「あっ……ごめん」
思ったよりも力が強かった。
これぐらいの10代前半って力のコントロールが中々できないからな。
そういえば、ルシアンの妹のアリスは学園に通うと言っていたが、この子は通わないのだろうか。
「君は学園に通わないんですか……?」
「ははぁん、俺が出来損ないの馬鹿だと思ってるのか? これでも見習い治癒士だからな!」
胸を張って威張ってはいるが、僕にはその見習い治癒士が全くわからない。
ひょっとして――。
「白い服を着ている方達……」
「そうだ! 俺は治癒士になるためにここで見習いをしている。本当は聖国に留学しないといけないんだけどな」
どうやら騎士たちの治療をしようとしていた人たちが治癒士と呼ばれる存在で、それになるには聖国という国に留学に行く必要があるらしい。
あの人たちは立派な医療従事者ってことか。
医療技術も時代や国によって様々あるから何も文句は言えないが、医療従事者を目指す若者って夢があっていいよね。
僕は少年を見て、ついつい優しく微笑む。
まるで昔の僕を見ているようだ。
「なっ……なんだよ」
「いや、何もないですよ。とりあえず、シーツを敷きましょうか」
「なっ……それは俺の仕事だからな!」
その後もなぜか少年とシーツをどちらが早く敷けるか競うことになった。
まぁ、もちろん勝つのは僕の方だけど、まるで学生に戻った気分を味わうことができた。
全く離れようとしないルシアンに手を焼いていたが、お昼までに仕事を終わらせれば午後は休んでも良いとアシュレイさんが言ったことですぐに仕事に戻っていた。
「すぐに終わらせるからな!」
「はいはい、早く終わらせてミナトさんに会いに行ってくださいね」
どっちが上司かわからないが、やはりルシアンの部下だからよく知っているね。
少し寂しくなったけど、ボソッと「そんなに仕事が少ないわけない」とニヤリと笑いながら呟いたアシュレイさんを見て、気づいたらルシアンに同情していた。
仕事が終わったら少しだけ優しくしてあげないとね。
子どもを保育園に預ける親と保育士ってこんな感じなんだろう。
僕は急いで騎士たちがいる治療室に向かった。
本当の仕事は騎士たちの体調確認だからね。
「おはようございます!」
僕が治療室の扉を開けると、部屋の中は静かになっていた。
誰一人寝ている人はおらず、僕より少しだけ大きい背丈をした少年がベッドメイキングをしていた。
「何しに来たんだ?」
どこか冷たい対応に僕は間違って入ってしまったのかと思った。
ただ、部屋の中を見ても昨日と同じだし、騎士たちはどこに行ったのだろう。
「あのー、皆さんは……?」
「もう訓練に向かったぞ」
どうやら騎士は訓練に行ってしまったようだ。
体調が戻っているなら僕の出番もなさそうだから――。
「手伝いましょうか?」
「いや、これは俺の仕事だから……」
「そうですよね」
さすがに仕事を奪ってはいけないだろう。
僕はこの世界に来て何もやることがないようだ。
今まで看護師として働いていたため、自然と誰かに必要とされる環境にいた。
それがなくなってしまうとどこか寂しく感じる。
「ああああああ!」
少年は急に頭を掻いて、僕にシーツを渡してきた。
急な態度に僕は目をパチパチとさせた。
「ならシーツを敷いてくれ! できないと思うけどな!」
どこか僕に挑戦的に視線を向けられる。
残念ながら看護師にとってベッドメイキングって朝飯前だからね。
「よしっ!」
僕は気合いを入れてから、シーツを受け取る。
ベッド脇に立つと手早くシーツを広げた。
一度持ち上げて空気を抜き、そのままマットレスの上に落とす。
中央を押さえ、左右へと流れるように手を動かしてしわを伸ばし、角は迷いなく折り込み、足元には三角折りを作る。
余分なたるみが残らない程度に、けれど突っ張り過ぎないように加減するのを忘れない。
シーツのたるみ一つで褥瘡の原因になるからね。
掛け布団を整え、ずれを軽く叩いて直して枕を置き直す。
全体をさっと見渡しながら、時計をチラッと見る。
いつものペースだし、効率も問題ないようだ。
「我ながら上出来だな」
ベッドメイキングってやっている時は無心になれるから結構好きなんだよね。
現場では誰もナースコールを取らないと行かなきゃいけないけど、今はナースコールがあるわけでもない。
あっ……そういえば、ここは病院じゃなかった。
僕は急いで少年の顔を見ると、驚いた表情をしていた。
「なっ……お前本当に何者だ!?」
「いや……人間ですけど……」
静かな空気が部屋に漂う。
だって、何者かと言われたら人間としか答えようがない。
捻り出しても看護師としか言えないしな……。
「くっ……ははは! 面白いやつだな!」
なぜか僕は少年に背中をバシバシと強く叩かれる。
きっと見た目とは異なり、僕よりもかなり年下なんだろう。
僕のことを同い年ぐらいの人と思っていそうだし、可愛く見えてくるのは仕方ない。
ただ――。
「痛いですよ!」
「あっ……ごめん」
思ったよりも力が強かった。
これぐらいの10代前半って力のコントロールが中々できないからな。
そういえば、ルシアンの妹のアリスは学園に通うと言っていたが、この子は通わないのだろうか。
「君は学園に通わないんですか……?」
「ははぁん、俺が出来損ないの馬鹿だと思ってるのか? これでも見習い治癒士だからな!」
胸を張って威張ってはいるが、僕にはその見習い治癒士が全くわからない。
ひょっとして――。
「白い服を着ている方達……」
「そうだ! 俺は治癒士になるためにここで見習いをしている。本当は聖国に留学しないといけないんだけどな」
どうやら騎士たちの治療をしようとしていた人たちが治癒士と呼ばれる存在で、それになるには聖国という国に留学に行く必要があるらしい。
あの人たちは立派な医療従事者ってことか。
医療技術も時代や国によって様々あるから何も文句は言えないが、医療従事者を目指す若者って夢があっていいよね。
僕は少年を見て、ついつい優しく微笑む。
まるで昔の僕を見ているようだ。
「なっ……なんだよ」
「いや、何もないですよ。とりあえず、シーツを敷きましょうか」
「なっ……それは俺の仕事だからな!」
その後もなぜか少年とシーツをどちらが早く敷けるか競うことになった。
まぁ、もちろん勝つのは僕の方だけど、まるで学生に戻った気分を味わうことができた。
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