9 / 157
同期の御曹司は不貞がお嫌い
9
しおりを挟む「やっぱりその女! 浩二の女ね!」
下田くんの下の名前を呼びながら私たちの目の前に立ったその人は、下田くんの頬を思いっきり叩いた。
「この浮気男!」
大きな声と肉を叩く音に周りのお客さんが私たちを見て立ち止まる。
「あんたねこのクソ女!」
今度は私へと怒りをぶつけ始める面識のないこの女性のカバンにはマタニティマークのキーホルダーがついている。それを見て私は理解した。この人は下田くんの奥さんだ。
「人の男盗ってんじゃねーよ!」
奥さんが両手で私の肩を押したからバランスを崩し、倒れて尻もちをついた。それでも怒りの治まらない奥さんはテーブルの上の紙コップを手に取ると私に投げつけてきた。軽いカップは私に直接当たることはなかったけれど、足元に落ちたカップから飛び出たコーヒーがスカートの裾に茶色いシミを作った。
「ふざけんな!」
奥さんの大声に店から社員が出てきた。
「大丈夫ですか?」
遠くから警備員が走ってくるのも見えた。このままではまずいと思ったのか下田くんは奥さんをなだめる。
「落ち着けって! 取り敢えず中に入ろう」
店に入れようとするけれど奥さんはもう一度下田くんの頬を叩く。
「あんたがこの女と浮気してるの知ってるんだから! 私がつわりで苦しんでるのにふざけんなぁ!」
奥さんが叫びながら泣き始める。私たちの周りには人が集まり始めた。
混乱して頭が真っ白の私は店から出てきた社員に「大丈夫ですか?」と声をかけられたけれど恥ずかしさと怖さで顔を上げられなかった。
私たちは警備員に商業ビルの事務所に連れていかれソファーに座らされる。下田くんと奥さんは商業ビルの社員に仲裁されながらもずっと言い合いをしていた。
会社に連絡が行き上司が到着すると商業ビル側に厳重注意され、今後を話し合うために会社に戻されると私は小会議室に閉じ込められた。隣の大会議室では下田くんと奥さんと社長と上司の四人で話し合いがもたれた。
1
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
夜の帝王の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。
ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。
翻弄される結城あゆみ。
そんな凌には誰にも言えない秘密があった。
あゆみの運命は……
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
桜のティアラ〜はじまりの六日間〜
葉月 まい
恋愛
ー大好きな人とは、住む世界が違うー
たとえ好きになっても
気持ちを打ち明けるわけにはいかない
それは相手を想うからこそ…
純粋な二人の恋物語
永遠に続く六日間が、今、はじまる…
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる