49 / 157
同居の御曹司は甘やかすのがお好き
49
しおりを挟む優磨くんが店員さんに声をかけると「かしこまりました」と答えた店員さんに試着室に連れていかれ、何着か服を渡される。
締め切られたカーテンの中で私は戸惑った。値札に書かれた数字の大きさに恐ろしくなる。何よりも量販店の服しか着ない私にはハイブランドの服が似合うと思えない。
「波瑠?」
外から優磨くんが声をかけてきた。
「大丈夫?」
「ああ、うん!」
慌てて渡された服を着てみた。鏡を見ると服はとても可愛い。けれど似合っているのか疑問だ。
「どうかな……」
カーテンを開けると優磨くんは照れたように笑っている。
「うん……とっても可愛いよ……」
その言葉に私も恥ずかしくなる。本心なのかお世辞なのかわからない。
「とてもお似合いです」
店員さんに「こちらもどうぞ」と次の服も渡される。
結局何着も試着して、優磨くんはその全てを「買います」と告げる。
「いやいやいや……」
店員さんから聞いた総額が桁違いに高くて買えるわけがない。けれど優磨くんは「これで」とクレジットカードを店員さんに手渡す。
「だめだよ優磨くん!」
「なんで? 俺が買いたいのに?」
「でも……」
「全部波瑠に似合ってるよ。それも今から着て行こう」
私は試着した服をまだ着ている。「このまま着ていきます」と優磨くんが店員さんに言ったときには顔が青ざめた。
「次は靴だね」
大きな紙袋を持って店を出ると優磨くんは道路を見渡した。
「え? まだ買うの?」
機嫌よく車を走らせた優磨くんは数十メートル行ったところで再び車を停める。
これまた上品な靴が並ぶ店内に手を引かれると「彼女に合う靴を」と何足も履かされた。
ここまでぺたんこなパンプスを履いていたのに、新しくヒールの高いものに足が包まれる。
私の全身は今総額いくらなのだろう。自分が自分でなくなっていく感覚で倒れそうになる。
1
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる