29 / 88
今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです!
あたしはあたしのすることをする。
しおりを挟む
もし、リタが望むならば‥の話だけど、あたしのメイクの技術でリタに「この国風」のメイクをしてあげてもいい。
‥って、上から目線だな。
あたしはこっそり苦笑いして肩を竦めた。
そもそも‥人の好みに合わせるってのはあたしの本意ではない。リタが、あたしがメイクすることによって「好きな顔になったらテンション上がる」っていうならいくらだって協力する。でも、それが「人の好みに合わせるため」で「自分の本意じゃない」とかだったら‥正直やりたくない。
そもそも、この国の趣味とか‥(あたし的に)おかしい。あたしの趣味にはとてもじゃないけど合わない。リタの顔が好きじゃないとか‥全然共感できない。でも、それを言うと‥「リタの顔を好きだ」ってのも所詮は「あたしの好み」だ。どっちも‥変わらないんだろう。
だから、そのことについては「この国が間違ってる」「あたしが正しい」ということは出来ない。するべきではない。
価値観の強要はよくないし‥きっと一生無理なんじゃないかなって思う。リタを外見的コンプレックスから解放させられることは無理。だけど、だからといって腐ってていいわけがない。幸せになっちゃいけない人間なんて、いていいはずがない。
そして、それはあたしも同じだ。あたしだって幸せになるのを絶対あきらめない。
良い友達と家族がいるあたしは今だって十分幸せだ。いっぱい生きてきて、やっとそれに気付くことが出来た。
自分だけ幸せになるんじゃなくて、自分と、そして自分の周りの人も幸せにしたい。
大それたことは出来ないけど‥あたしの周りの人だけでも‥少しでも幸せになってくれたらいいなって思う。
まずは、あたしが「顔に気を取られず、あたしはあたしの好きなようにやってるよ」「やれてるよ」ってリタに証明したい。いや、せねばならない。それが、有言実行って奴でしょ? 口だけじゃダメでしょ?
あたしは、幼いころからの計画を実行に移すことにした。
治療師は実力が全て。
どんなに期待されていようと、どんなに前評判が高かろうと、どんなに容姿が良くって人気があろうと、実力がない奴は役立たずだ。
学校で魔法の使い方(実際のところは、元から知ってたんだけどね)を習うと、あたしは寮を抜け出してこっそり(学校近くの)教会でボランティアを始めた。将来は地元で就職したいから、ここはまあ‥修行の場所ってところかな。
魔法だってなんだって、実戦‥鍛錬あるのみ、だ。
初めはあたしが子供だってことで、併設の孤児院(この教会には孤児院があった)の子供の相手しか任せてくれなかった。「それじゃ治療魔法の練習にならんがな‥」って思ったけど、なかなかどうして。子供は凄く怪我をする。病気にだってすぐなる。小さな怪我だって放っておいたら大変なことにもなりかねない。で、こっそり‥「小さなことでもコツコツと」と怪我を治療し、病気を治していたらシスターに「この子、頑張ってるわよ。治療師の手伝いをさせてあげたら? 小さな怪我くらいなら任せても大丈夫なんじゃない? 」って治療師のエライさんに口利きをしてもらえた。
で、治療師(見習い)生活が始まった。
あたしが任された患者さんは平民(子供しかも、ローブを被ってる子に貴族様を任せられるわけないってことなんだろう)ばかりで、正直な彼らにあたしは(ローブを被っていることで)初めは嫌な顔されたんだけど今では
「ちっこいローブの治療師さん」
って呼ばれて可愛がられるようになった。
平民は貴族より総じて口が悪い。あたし(正確にはあたしのローブ)を見た時の不快感を隠さないような人が多い(礼儀がなってないってか‥「(出世の足を引っ張りかねないからって理由の)そういう教育を受けてない」んだな)んだけど、懐に入ってしまえば見掛けより実力‥って感じで受け入れてもらえたようだ。
そのうち怪我だけじゃなくて
「腰を痛めた‥」
とか
「酷いせきが‥」
にも対応させてもらえるようになった。
学校(~PM4:00)→教会(~PM6:00)→そのあと寮に帰って夕飯、入浴、明日の準備と宿題をして就寝って生活は決して楽ではなかったけど、あたしは(自分でも気付かなかったんだけど)結構魔力量が多かったらしく、体力、魔力共に問題なかったようだった。
土曜日や日曜日に終日手伝いに行くようになると、流石に地元組やリタは心配したけど、あたしのやる気全開の顔を見たら反対するのをやめたらしい。時々包帯を巻く手伝いやなんかをしてくれるようになった。
え、治癒魔法で治すなら包帯いらなくない? って? そりゃ違う。自己治癒能力で治せる傷は包帯だ。因みに治癒魔法もなんでもかんでも全回復させるわけじゃない。そんな不自然なことをすると身体に負担がかかるから。だから、免疫力を上げたりとか‥自己治療能力で回復出来できるお手伝いをする。
だけど、手足の欠損や内臓の損傷等々、そういったものは自己治癒能力じゃ何ともならない。そんなのをチートで治すのが「奇跡の領域」と言われている「SS級上級治療師」だ。彼らは何と‥「患者が死んでない限り何とか出来る」クラスの超ウルトラ凄い人たち(興奮MAXで零れ落ちた語彙力)なのだ!!
はあ‥憧れる‥っ。
因みにあたしはまだ、駆け出し治療師(見習いはこの度卒業した)だ。
ちっこいお手手で一生懸命「ヒール!! 」とかやってるあたしに皆癒されて、治療効果以上に「ほんわか~」って顔して帰って行く。
うん。分かる。可愛いよね。ちっこいお手手。
ちっこいものはたいてい可愛い。
ちいさいのが一生懸命頑張ってるの、可愛い。
今しかできない「うちの孫可愛い♡」枠で老人とかを癒しまくりますよ!!
そんなあたしもあれから3年。もう10歳になっています。
ちっこかった背もすっかり大きくなって(‥すみません、見栄を張りました。ほんのちょっとです)子供子供したちっこい手はすらりとした大人の手‥とはいかないけど、(ちょっとぽっちゃりした)大人の手になりました。もう「ちっこいの可愛い」枠から卒業して久しい。だけど、今でも最年少治療師(ただし、あくまでボランティア。小学生だからね)です。でもボランティア歴3年のベテラン。そこそこ後輩的な人たちも出来てるわけだけど‥そういう人たちは認めないんだよ。自分の方が後輩だとは。治療師は実力が全てで学歴や容姿なんて役に立たないっていうのに‥
「僕らはちゃんと魔法学校を卒業して‥ちゃんと就職してここに来てるんだし? 君みたいなお手伝いとは違うんだし? 」
「立場もだけど‥なにより責任感がちがうよね。君とはわけが違う」
とか言っちゃってはじめっからあたしの事下に見てる。
あたしが小学生で、只のお手伝いで、ローブを着てるからって馬鹿にしていい対象って決めつけている。
そんな馬鹿にしているあたしだから、あたしの実力を見ても(認めたくなくって)
「見せられない顔の癖に偉そうに‥」
なんて言ってる。(負け惜しみだよね。ほんと、バッカみたい)
でもさ、そんなの相手にするだけ損じゃない。あたしは無視してたんだ。
そんなある時。
親のコネで入ったらしい‥いかにも箱入りの「綺麗な子(多分この世界的にはそう? )」が教会に入って来た。
正規の雇用じゃない。花嫁修業としての箔付で来た「聖女見習い」って奴だ。(※ 聖女や教会経験者は花嫁として人気物件だからね)
彼女はあたしに嘲笑するような視線を向けて、
「意識のない人だけ見てあげたほうがいんじゃないですか? ほら、やっぱり怪我を治してもらうのも美人の方がいいじゃないですか。
‥余計具合が悪くなりそう」
って言った。
あたしに意地悪を言ってやるって感じじゃない。この感じは‥「本気でそう思ってます」って目だ。自分の言っていることは寧ろ人の為であって、醜い容姿のに人前に出ているあたしがおかしい、悪いって‥本気で言ってるんだ。
‥うわぁ‥ヤバい奴来た‥。
流石にこれには、長年一緒にやってきたあたしの同僚がキレて、その子は結局教会を追われることとなった(つまり、クビになったんだな)
その子は反省した様子も見せず「お父様がこのこと知ったら寄付を取りやめるって言うんだから! 」ってここでも親の威光をかざして強気の姿勢だったんだけど、今まで会ったこともなかったような高貴な方(司教って言うんだっけ? 大神官? 偉過ぎて分からない。兎に角‥この教会で一番偉い人)が奥から出てきて厳かな口調で「神様のいらっしゃるところでそんなことを言う人に働いてもらうわけにはいきません」ってぴしゃりって言った。
かっくい~!!
流石教会! 感動した!
だけど、貴族に喧嘩売って大丈夫かな。教会的にも、‥あたし的にも? って心配だったんだけど、同僚(といっても、勿論凄く年上)が
「小学校では習わないかな。
三権力の分立っていって、法律をつかさどる「司法」と政治を行う「行政」、そして医療をつかさどる「教会」の権力は独立してるんだ」
って教えてくれた。
「習った‥けど、結局行政を行っている城‥王家そして貴族が一番偉いわけだから、権利の独立も何もないんじゃないか? って思ったんだけど‥」
あたしが質問すると、
「だけど、貴族だってそれこそ王族だって、怪我をすれば教会で治療を受ける。その時には「貴族だから」「王族だから」はないだろ? 貴族だから怪我しないわけじゃないわけだし」
‥でも‥
あたしが眉を寄せて黙っていると、同僚が苦笑いして、
「こんな子供にまで心配されちゃうようじゃ俺たち大人もまだまだだな~。大丈夫だよ。この国はそんなに悪い国じゃない」
って言った。
‥大丈夫なのかな‥。お父様にご迷惑はお掛けしたくないな‥。
そんな風に思っていたら、後日あの子があたしに対する侮辱罪で罰金刑と魔力封印刑(結構重い罰)を受けたことを風の噂で聞いた。
‥風の噂と言うか‥あの子のパパンの手下があたしに「お礼参り」に来たとき‥そいつらの口からきいた。
「お嬢様は何も間違っていないのに! 」
手下もまた、何の迷いもなくそう言い放った。
自分の行動に欠片の疑問も感じていない、そして自分の雇用主を尊敬し、多分‥あのお嬢様に憧憬しきっている男どもは怖かった。あたしは咄嗟に(ホントに無意識のうちに)最大出力の光魔法(つまり、超目くらまし)を発動させてしまった。
男たちに直接怪我はなかったが、大の男5人が地面を激しく転がりまわりながら「目が‥目が‥」って呻いているっていう‥超壮絶な光景が繰り広げられた。(アレは‥凄かった。駆け付けたワトソンなんか、あたしのことを心配するのを一瞬忘れてドン引きしてたもん)
結局そのことは「正当防衛」が認められ、あたしが罪に問われることはなかった。
それにしても‥
完璧な逆恨みだ。あの子が受けた罰については厳し過ぎるか? とは思うが、襲われた今となっては同情心も湧かない。もう一生関わり合いになりたくないな、‥そう思うだけだ。
「あれ、どうやったんだ? 目くらましビーム。光魔法の暴走? 」
ワトソンは(それでもさすがにちょっと落ち込んでいる)あたしを励まそうとして、彼らのことに触れずにそう聞いた。
「(目くらましビーム?? ださww)多分そう」
あたしが頷くと「かっけーな。俺も練習しようかな」ってワトソンが呟いた。
「いや、あれ別に必殺技とかじゃないから。咄嗟のことで出ちゃった「火事場の馬鹿力」的な奴だから‥」
あたしは苦笑いだ。
あ。光魔法ってのは、自分の属性にプラスして使う「無属性」の魔法なんだ。光魔法と闇魔法の二つがあって、二つを同時に持ってる人間はいないんだって。(ちなみに持ってない人間の方が多い)
火魔法プラス光魔法で「灯りの魔法」とか、水魔法プラス闇魔法で「氷の魔法」とかそういう風に使う。あたしの場合は聖魔法プラス光魔法で「患部サーチ」って風に普段は使ってる。単体で光魔法を使えるとは考えたことなかったけど‥使えるんだねえ‥。
その後光魔法が攻撃魔法として、主に対魔物戦で使われるようになったとかならなかったとか。それはあたしの専門分野じゃないから知らない。
因みに‥
あの後トーマスやリタに今日のことを知られて
「ホント‥もう教会のボランティアやめろよ‥」
って(何度目かの)説教を食らったのは言うまでもないことなのだった。(勿論辞める気はないが‥)心配してくれる仲間には感謝、だね!
‥って、上から目線だな。
あたしはこっそり苦笑いして肩を竦めた。
そもそも‥人の好みに合わせるってのはあたしの本意ではない。リタが、あたしがメイクすることによって「好きな顔になったらテンション上がる」っていうならいくらだって協力する。でも、それが「人の好みに合わせるため」で「自分の本意じゃない」とかだったら‥正直やりたくない。
そもそも、この国の趣味とか‥(あたし的に)おかしい。あたしの趣味にはとてもじゃないけど合わない。リタの顔が好きじゃないとか‥全然共感できない。でも、それを言うと‥「リタの顔を好きだ」ってのも所詮は「あたしの好み」だ。どっちも‥変わらないんだろう。
だから、そのことについては「この国が間違ってる」「あたしが正しい」ということは出来ない。するべきではない。
価値観の強要はよくないし‥きっと一生無理なんじゃないかなって思う。リタを外見的コンプレックスから解放させられることは無理。だけど、だからといって腐ってていいわけがない。幸せになっちゃいけない人間なんて、いていいはずがない。
そして、それはあたしも同じだ。あたしだって幸せになるのを絶対あきらめない。
良い友達と家族がいるあたしは今だって十分幸せだ。いっぱい生きてきて、やっとそれに気付くことが出来た。
自分だけ幸せになるんじゃなくて、自分と、そして自分の周りの人も幸せにしたい。
大それたことは出来ないけど‥あたしの周りの人だけでも‥少しでも幸せになってくれたらいいなって思う。
まずは、あたしが「顔に気を取られず、あたしはあたしの好きなようにやってるよ」「やれてるよ」ってリタに証明したい。いや、せねばならない。それが、有言実行って奴でしょ? 口だけじゃダメでしょ?
あたしは、幼いころからの計画を実行に移すことにした。
治療師は実力が全て。
どんなに期待されていようと、どんなに前評判が高かろうと、どんなに容姿が良くって人気があろうと、実力がない奴は役立たずだ。
学校で魔法の使い方(実際のところは、元から知ってたんだけどね)を習うと、あたしは寮を抜け出してこっそり(学校近くの)教会でボランティアを始めた。将来は地元で就職したいから、ここはまあ‥修行の場所ってところかな。
魔法だってなんだって、実戦‥鍛錬あるのみ、だ。
初めはあたしが子供だってことで、併設の孤児院(この教会には孤児院があった)の子供の相手しか任せてくれなかった。「それじゃ治療魔法の練習にならんがな‥」って思ったけど、なかなかどうして。子供は凄く怪我をする。病気にだってすぐなる。小さな怪我だって放っておいたら大変なことにもなりかねない。で、こっそり‥「小さなことでもコツコツと」と怪我を治療し、病気を治していたらシスターに「この子、頑張ってるわよ。治療師の手伝いをさせてあげたら? 小さな怪我くらいなら任せても大丈夫なんじゃない? 」って治療師のエライさんに口利きをしてもらえた。
で、治療師(見習い)生活が始まった。
あたしが任された患者さんは平民(子供しかも、ローブを被ってる子に貴族様を任せられるわけないってことなんだろう)ばかりで、正直な彼らにあたしは(ローブを被っていることで)初めは嫌な顔されたんだけど今では
「ちっこいローブの治療師さん」
って呼ばれて可愛がられるようになった。
平民は貴族より総じて口が悪い。あたし(正確にはあたしのローブ)を見た時の不快感を隠さないような人が多い(礼儀がなってないってか‥「(出世の足を引っ張りかねないからって理由の)そういう教育を受けてない」んだな)んだけど、懐に入ってしまえば見掛けより実力‥って感じで受け入れてもらえたようだ。
そのうち怪我だけじゃなくて
「腰を痛めた‥」
とか
「酷いせきが‥」
にも対応させてもらえるようになった。
学校(~PM4:00)→教会(~PM6:00)→そのあと寮に帰って夕飯、入浴、明日の準備と宿題をして就寝って生活は決して楽ではなかったけど、あたしは(自分でも気付かなかったんだけど)結構魔力量が多かったらしく、体力、魔力共に問題なかったようだった。
土曜日や日曜日に終日手伝いに行くようになると、流石に地元組やリタは心配したけど、あたしのやる気全開の顔を見たら反対するのをやめたらしい。時々包帯を巻く手伝いやなんかをしてくれるようになった。
え、治癒魔法で治すなら包帯いらなくない? って? そりゃ違う。自己治癒能力で治せる傷は包帯だ。因みに治癒魔法もなんでもかんでも全回復させるわけじゃない。そんな不自然なことをすると身体に負担がかかるから。だから、免疫力を上げたりとか‥自己治療能力で回復出来できるお手伝いをする。
だけど、手足の欠損や内臓の損傷等々、そういったものは自己治癒能力じゃ何ともならない。そんなのをチートで治すのが「奇跡の領域」と言われている「SS級上級治療師」だ。彼らは何と‥「患者が死んでない限り何とか出来る」クラスの超ウルトラ凄い人たち(興奮MAXで零れ落ちた語彙力)なのだ!!
はあ‥憧れる‥っ。
因みにあたしはまだ、駆け出し治療師(見習いはこの度卒業した)だ。
ちっこいお手手で一生懸命「ヒール!! 」とかやってるあたしに皆癒されて、治療効果以上に「ほんわか~」って顔して帰って行く。
うん。分かる。可愛いよね。ちっこいお手手。
ちっこいものはたいてい可愛い。
ちいさいのが一生懸命頑張ってるの、可愛い。
今しかできない「うちの孫可愛い♡」枠で老人とかを癒しまくりますよ!!
そんなあたしもあれから3年。もう10歳になっています。
ちっこかった背もすっかり大きくなって(‥すみません、見栄を張りました。ほんのちょっとです)子供子供したちっこい手はすらりとした大人の手‥とはいかないけど、(ちょっとぽっちゃりした)大人の手になりました。もう「ちっこいの可愛い」枠から卒業して久しい。だけど、今でも最年少治療師(ただし、あくまでボランティア。小学生だからね)です。でもボランティア歴3年のベテラン。そこそこ後輩的な人たちも出来てるわけだけど‥そういう人たちは認めないんだよ。自分の方が後輩だとは。治療師は実力が全てで学歴や容姿なんて役に立たないっていうのに‥
「僕らはちゃんと魔法学校を卒業して‥ちゃんと就職してここに来てるんだし? 君みたいなお手伝いとは違うんだし? 」
「立場もだけど‥なにより責任感がちがうよね。君とはわけが違う」
とか言っちゃってはじめっからあたしの事下に見てる。
あたしが小学生で、只のお手伝いで、ローブを着てるからって馬鹿にしていい対象って決めつけている。
そんな馬鹿にしているあたしだから、あたしの実力を見ても(認めたくなくって)
「見せられない顔の癖に偉そうに‥」
なんて言ってる。(負け惜しみだよね。ほんと、バッカみたい)
でもさ、そんなの相手にするだけ損じゃない。あたしは無視してたんだ。
そんなある時。
親のコネで入ったらしい‥いかにも箱入りの「綺麗な子(多分この世界的にはそう? )」が教会に入って来た。
正規の雇用じゃない。花嫁修業としての箔付で来た「聖女見習い」って奴だ。(※ 聖女や教会経験者は花嫁として人気物件だからね)
彼女はあたしに嘲笑するような視線を向けて、
「意識のない人だけ見てあげたほうがいんじゃないですか? ほら、やっぱり怪我を治してもらうのも美人の方がいいじゃないですか。
‥余計具合が悪くなりそう」
って言った。
あたしに意地悪を言ってやるって感じじゃない。この感じは‥「本気でそう思ってます」って目だ。自分の言っていることは寧ろ人の為であって、醜い容姿のに人前に出ているあたしがおかしい、悪いって‥本気で言ってるんだ。
‥うわぁ‥ヤバい奴来た‥。
流石にこれには、長年一緒にやってきたあたしの同僚がキレて、その子は結局教会を追われることとなった(つまり、クビになったんだな)
その子は反省した様子も見せず「お父様がこのこと知ったら寄付を取りやめるって言うんだから! 」ってここでも親の威光をかざして強気の姿勢だったんだけど、今まで会ったこともなかったような高貴な方(司教って言うんだっけ? 大神官? 偉過ぎて分からない。兎に角‥この教会で一番偉い人)が奥から出てきて厳かな口調で「神様のいらっしゃるところでそんなことを言う人に働いてもらうわけにはいきません」ってぴしゃりって言った。
かっくい~!!
流石教会! 感動した!
だけど、貴族に喧嘩売って大丈夫かな。教会的にも、‥あたし的にも? って心配だったんだけど、同僚(といっても、勿論凄く年上)が
「小学校では習わないかな。
三権力の分立っていって、法律をつかさどる「司法」と政治を行う「行政」、そして医療をつかさどる「教会」の権力は独立してるんだ」
って教えてくれた。
「習った‥けど、結局行政を行っている城‥王家そして貴族が一番偉いわけだから、権利の独立も何もないんじゃないか? って思ったんだけど‥」
あたしが質問すると、
「だけど、貴族だってそれこそ王族だって、怪我をすれば教会で治療を受ける。その時には「貴族だから」「王族だから」はないだろ? 貴族だから怪我しないわけじゃないわけだし」
‥でも‥
あたしが眉を寄せて黙っていると、同僚が苦笑いして、
「こんな子供にまで心配されちゃうようじゃ俺たち大人もまだまだだな~。大丈夫だよ。この国はそんなに悪い国じゃない」
って言った。
‥大丈夫なのかな‥。お父様にご迷惑はお掛けしたくないな‥。
そんな風に思っていたら、後日あの子があたしに対する侮辱罪で罰金刑と魔力封印刑(結構重い罰)を受けたことを風の噂で聞いた。
‥風の噂と言うか‥あの子のパパンの手下があたしに「お礼参り」に来たとき‥そいつらの口からきいた。
「お嬢様は何も間違っていないのに! 」
手下もまた、何の迷いもなくそう言い放った。
自分の行動に欠片の疑問も感じていない、そして自分の雇用主を尊敬し、多分‥あのお嬢様に憧憬しきっている男どもは怖かった。あたしは咄嗟に(ホントに無意識のうちに)最大出力の光魔法(つまり、超目くらまし)を発動させてしまった。
男たちに直接怪我はなかったが、大の男5人が地面を激しく転がりまわりながら「目が‥目が‥」って呻いているっていう‥超壮絶な光景が繰り広げられた。(アレは‥凄かった。駆け付けたワトソンなんか、あたしのことを心配するのを一瞬忘れてドン引きしてたもん)
結局そのことは「正当防衛」が認められ、あたしが罪に問われることはなかった。
それにしても‥
完璧な逆恨みだ。あの子が受けた罰については厳し過ぎるか? とは思うが、襲われた今となっては同情心も湧かない。もう一生関わり合いになりたくないな、‥そう思うだけだ。
「あれ、どうやったんだ? 目くらましビーム。光魔法の暴走? 」
ワトソンは(それでもさすがにちょっと落ち込んでいる)あたしを励まそうとして、彼らのことに触れずにそう聞いた。
「(目くらましビーム?? ださww)多分そう」
あたしが頷くと「かっけーな。俺も練習しようかな」ってワトソンが呟いた。
「いや、あれ別に必殺技とかじゃないから。咄嗟のことで出ちゃった「火事場の馬鹿力」的な奴だから‥」
あたしは苦笑いだ。
あ。光魔法ってのは、自分の属性にプラスして使う「無属性」の魔法なんだ。光魔法と闇魔法の二つがあって、二つを同時に持ってる人間はいないんだって。(ちなみに持ってない人間の方が多い)
火魔法プラス光魔法で「灯りの魔法」とか、水魔法プラス闇魔法で「氷の魔法」とかそういう風に使う。あたしの場合は聖魔法プラス光魔法で「患部サーチ」って風に普段は使ってる。単体で光魔法を使えるとは考えたことなかったけど‥使えるんだねえ‥。
その後光魔法が攻撃魔法として、主に対魔物戦で使われるようになったとかならなかったとか。それはあたしの専門分野じゃないから知らない。
因みに‥
あの後トーマスやリタに今日のことを知られて
「ホント‥もう教会のボランティアやめろよ‥」
って(何度目かの)説教を食らったのは言うまでもないことなのだった。(勿論辞める気はないが‥)心配してくれる仲間には感謝、だね!
1
あなたにおすすめの小説
十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】
藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。
そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。
記憶を抱えたまま、幼い頃に――。
どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、
結末は変わらない。
何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。
それでも私は今日も微笑む。
過去を知るのは、私だけ。
もう一度、大切な人たちと過ごすために。
もう一度、恋をするために。
「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」
十一度目の人生。
これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。
セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。
待鳥園子
恋愛
オブライエン侯爵令嬢レティシアは城中にある洋服箪笥の中で、悲しみに暮れて隠れるように泣いていた。
箪笥の扉をいきなり開けたのは、冒険者のパーティの三人。彼らはレティシアが自分たちの『セーブポイント』に設定されているため、自分たちがSSランクへ昇級するまでは夜に一度会いに行きたいと頼む。
落ち込むしかない状況の気晴らしにと、戸惑いながらも彼らの要望を受け入れることにしたレティシアは、やがて三人の中の一人で心優しい聖騎士イーサンに惹かれるようになる。
侯爵家の血を繋ぐためには冒険者の彼とは結婚出来ないために遠ざけて諦めようとすると、イーサンはレティシアへの執着心を剥き出しにするようになって!?
幼い頃から幸が薄い人生を歩んできた貴族令嬢が、スパダリ過ぎる聖騎士に溺愛されて幸せになる話。
※完結まで毎日投稿です。
没落令嬢の子育て記。12世紀ドイツに似た異世界で、拾った子犬がイケメン精霊犬になりまして
ねこまんまる
恋愛
私が転生してしまったのは、ユリウス歴1150年。
赤髭王フリードリヒ1世が在位する、12世紀中世ドイツに酷似した異世界だった。
この世界の中欧は、神聖ローマ帝国の皇帝権とローマ教皇の宗教的権威が激しくぶつかり合う、戦乱のただなかにある。
ボヘミア王国(※現在のチェコあたり)の辺境で、小領主に仕える下級騎士の娘として静かに生きていた16歳の私だったが――
父は皇帝派と教皇派の争いに巻き込まれ、帰らぬ人となった。
こうして私は、領地も保護者も失った「居場所のない没落令嬢」へと転落する。
行き場をなくした私は、帝国の北東の果て、
森と丘陵が連なる寒冷地帯――シレジア地方へ向かい、ボヘミア系とドイツ系移民が入り混じる貧しい開拓村で、新しい生活をはじめることになった。
ところが、村へ到着したその日。
道ばたに置かれた木箱の中で震えていた、四匹の子犬と出会う。
「……かわいいけど、どうしよう。
私だって、明日をどう生きるかも分からないのに……」
没落令嬢の私には、金も身分もない。
けれど放ってはおけず、子犬たちを抱き上げた。
飢えた体を温め、必死に育てているうちに――
ある朝、彼らは犬耳の生えた少年たちに変わっていた。
どうやら彼らは、この異世界に古くから伝わる
“森の精霊犬”の子どもだったらしい。
無邪気で、人懐っこくて、やたらと私に甘えてくる。
それなのに――。
反抗期がまったく来ない。
命がけで守った“子犬たち”は、すくすく育ち、戦闘能力が高い、耳もふわふわなイケメンに成長した。
そして、ますます慕い方が激しくなるばかり。
……いや、育ての親としてはうれしいけど、そろそろ距離感というものを覚えてください。
(※年代、国、地名、物などは史実どうりですが、登場人物は実在してません。
魔法やモンスターなど、史実にはないものもあります)
【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました
三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。
助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい…
神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた!
しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった!
攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。
ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい…
知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず…
注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが?
榎夜
恋愛
私は『花の王子様』という乙女ゲームに転生した
しかも、悪役令嬢に。
いや、私の推しってさ、隠しキャラなのよね。
だから勝手にイチャついてて欲しいんだけど......
※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる