今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

ハヅキ、毎日が充実し過ぎて、本来の目標「イケメンを助ける」を忘れかける。

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 そして始まったハヅキの新生活。
 だけど、「いよいよ新生活スタートだな~」なんてしみじみ思ってるような暇は全然なかった。
 経験者ってこともあり、ハヅキは少し実力を確認された後は、一人前の治療師として一人で患者を任されるようになっていた。
 といっても、ここではC級初級治療師であるハヅキにできることはそう多くなかった。
 なんといっても、患者の怪我の具合が違う。病人はそう違いはないんだけど(老人の腰痛と子供の風邪症状一番多い)怪我人が違う。
 足場が崩れて大怪我を負った作業員。
 訓練中、刃物による裂傷を負った兵士。
 訓練中、身体中を強打したらしい騎士。
 それが連日だ。
「今は戦時下じゃないからこんなもので済んでるけど、戦争が始まったらこんなもんじゃないからねえ。
 あ、でももうすぐ大きな訓練があるよ」
 ってダンが休憩時間に教えてくれた。
 休憩時間が昼の時は、食堂で市民の皆さんと一緒に昼ご飯を食べるのだけど、今回リュック、ダン、ハヅキチームは昼ご飯の片づけが終わる時間の休憩時間だった。
 それはあらかじめ分かっているので、三人は弁当を持って来ていた。
 ダンのお弁当は愛妻弁当だろう。卵が挟まれた丸パンとハムが挟まれた丸パンだった。
 リュックのお弁当は‥?
「あ、リュックは昼ご飯は野菜スープだけなんだ。
 リュックってさ、凄いこだわりがあってさ、朝は麦の皮(ブラン)を加工したもの(ブランのシリアル的な? )に牛乳をかけたもの、昼は野菜スープって決めてるんだって。夜は結構色々食べるらしいけど」
 ってダンが教えてくれた。
「リュックさんは‥お肉は食べない、とか決めてるんですか? 」
 ハヅキが聞くとリュックは首を振って
「いや別に。食べられないものも、食べないって決めてるものも特には無いよ? ただ、そういう習慣なだけ」
 って言った。 
 ハヅキはチーズと目玉焼きが挟まった食パンのサンドイッチだ。これはコック特製のお弁当ではなく、自分で適当にパパっと詰めたものだった。
 ‥庶民生活も結構あったから、時々食べたくなるんだよな。庶民ご飯。
 そんなことを思いながらハヅキはパンに齧りついた。

 魔術は実戦あるのみ。
 初級程度怪我の治療にも慣れ、
「これなら、中級治療師の昇級試験受けれるんじゃない? 」
 ってリュックさんが言ったのは、大きな訓練が終わって、雨季が始まったころだった。
「今は丁度兵士や騎士の怪我人が少ないから、この時期に昇級試験を受けておくといいね」
 コールさんも頷いて、全員で昇級試験を受けることになった。
 協会に昇級試験の申請に行ったコールさんが、
「今回は、マリエールさんの方にお邪魔することになったよ」
 少し緊張した様子で帰ってきて、言った。
 マリエールかあ。
 かっての修行の場(?)に久し振りに帰るわけだ。
 緊張はないな。寧ろ、懐かしいだけだ。
 そんな感じで、当日。
 久し振りに訪れたマリエール教会は
 ピカピカだった。
 ‥また綺麗になったな。やっぱりお金があるところは‥ね。
 ハヅキは苦笑いだ。
 マリエールの治療師の服もピカピカだ。
 汚れる様な患者さんをあんまり見ないってのもあるけど、多分、汚れたら新しい服を支給されるのだろう。 
 貴族様相手、ご無礼があってはいけません。
「うわ‥。ピカピカだな‥」
 ダンたちは完全に雰囲気にのまれちゃっている。
 美人さん揃いだけど、うちのハヅキが一番可愛いな!
 って全員がこそっとこころの中で思ってたことなんて、ハヅキもマリエールの皆も知らない。
「もしかしてハヅキか? シャリナール教会って聞いてたからもしかして‥って思ってたんだ。ハヅキも勿論進級試験受けるんだろ? 」
 かっての仲間たちが集まってきた。
 皆「許されるなら(シャリナールじゃなくても)スキルアップが目指せる教会に移りたい」って思ってるような、上昇志向強めの独身たちばかりだ。新しく入ったばかりらしい若者たちはハヅキのローブを見て、あからさまに馬鹿にしたような苦笑いを浮かべている。
 それを見てまたシャリナールの仲間たちが
『奴らはハヅキの顔しらないんだろ?? で、ハヅキの事「醜い」って思い込んで下に見ている。へ、愚かなもんだぜ』
 と、教会の人間とは思えない様な事考えて、こころの中で笑ってるってわけ。
 ま、教会の人間とはいえ、別に神職じゃないからね? 
 そして始まった進級試験。
 ハヅキは何と、2級も進級して、一気にA級中級治療師になった。
 初級からの昇級であるハヅキ程の大きな昇級はないが、シャリナールの他の仲間たちも全員ランクアップした。
『やっぱり魔術を使う量が違うよネ、以前とは』
 ふむふむとこころの中でハヅキが納得する。
 これにはさっきハヅキを馬鹿にしていた若者たちもびっくりだ。あからさまに悔しそうな顔をして、黙り込んでいる。否、口元が‥「醜いくせに‥」って微かに動いている。
 それをね、
 負け犬の遠吠えって言う。
 こころの中で「ざまぁみろ」ってこっそり悪態をついて、でも、シャリナールの仲間は我がことのようにハヅキの大躍進を喜んだ。
 そして‥
 シャリナールには、次の日マリエールからの転職者が二人入るのだった。(新卒の若者ではなく、ハヅキのかっての仲間)
「俺は独身だし、母ちゃんも「好きにしたらいい」って言ってくれたからさ~」
 って照れ笑いをしたのは、ロウ。
「ハヅキだけランクアップってセコイでしょ! 私もやりますよ! 」
 って爽やかに言ったのは、ロアル。ロウはロアルより年上で、30歳。ロアルは28歳らしい。
『二人とも、結構いい年だが‥結婚諦めたんか?? 』
 ダンはこころの中でこっそり苦笑いした。
 ロウは平民でロアルは貴族らしい。伯爵家の三男坊。
 ‥ロアルって高位貴族なんだ~。知らなかった。
 一緒に3年も働いてたのに、皆のこと何にも知らなかったな。
 って思ったハヅキだったが、二人は休憩時間ローブを脱いで昼食を取るハヅキの素顔を見て、ハヅキの比じゃない位驚いていた。 
 ハヅキって‥ 
 めっちゃ美人だったんだ‥っ!
 何で隠してるんだ?? 
 今周りにいるのは、ダン、リュックとロアル、ロウだけだ。ハヅキは食堂で皆と食べる時はローブを被っているのだが、今みたいに気心の知れた仲間しかいないときはローブを脱ぐこともあるんだ。(やっぱり暑いしね)
 あんぐりと口と目を開いてアホ面を晒してるロアルとロウにダンとリュックが、彼らの耳元でボソリと
「他言無用だ」
 と、ドスの利いた声で言ったのは言うまでもないことだった。
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