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そんなことがあった翌日。
朝、いつものようにやって来た車に乗り込んだ朔夜は、いきなり驚かされた。
「おはよう、朔夜」
「おはよう……、って、どうしたの? それ」
手に巻かれた包帯を指さし、確認する。一真はストレートに「コケてケガした」と返した。包帯の原因はその後にあるのだが、コケたことには間違いないのでそう伝えておく。
「コケたって……、どこで?」
「んー。よくわからない。走ってたらコケた」
「はいっ? 何それ??」
ますますわけがわからない、と言った様子で声を上げたが、それよりも、ケガをしているにも関わらず一真はいつも以上にテンションが高い。何があったのだろうと不思議に思う。
車は、学校に向けて走り出す。その間にも「大丈夫?」など聞いてみたが「平気!」と返されてどうにもならない。テンションが低いよりはいいのでいいか、と朔夜が結論づけた時。
「朔夜、好きだ」
と、急に一真が告げた。
「えっ? 何??」
「俺、朔夜が好きだ」
高めのテンションのままで、一気に。
「あ、うん。知ってる。俺も、一真のこと好きだよ」
何のことかわからないまま、朔夜は応じた。一真が常に兄のように慕ってくれていることは気づいている。一人っ子の彼のこと、兄のような存在が欲しいのだろうと考え、また、朔夜も一真のような弟なら楽しいだろうな、と思っていた。
すると。
「そうじゃなくって!」
少し怒った様子で言われ、朔夜はますますわけがわからない。好き、と言われたから好きと答えた。その心に偽りはない、なのに何故、そう言われるのか。
疑問符が浮かぶ。彼を見つめると、漆黒の瞳と視線があう。ハーフかと思うような容姿であるが、この黒さは日本人特有のもの。朔夜は、この瞳が好きだった。じっ、と見つめられると、視線が外せなくなる。
(わっ……)
あまりの目力に、顔が熱くなる。急に気恥ずかしさが襲ってきたのだ。しかも、それだけではない。
(えっ……?)
一瞬の事だった。視界がなくなったかと思うと、唇に何かが触れる。そうして、そのまま腕に収められる。車の中、かなり不安定な体勢。なのに、とても居心地が良くて。
「俺は、こう言う意味で朔夜が好きってこと」
耳元で囁かれた言葉を、つい、聞き逃した。
「えっ? 何??」
その状態のままで聞き返すと、
「朔夜。俺のお嫁さんになって」
今度ははっきりと、台詞が脳に届く。
「えっ? ええっ!?」
「一真様、学校に着きます」
「りょーかーい。じゃあ、また放課後なっ。もし、変なヤツに襲われそうだったら構わず呼べよ。 高等部だって構わず乗り込んでやるからっ!」
佐伯の合図にぱっと身体を離し、一真は車から降りて走り出す。朔夜は、と言うと。
「……朔夜さん、大丈夫ですか?」
「へっ? あ、う、うん。だい、じょう、ぶ……」
しどろもどろに答え、荷物を持って車を降りる。歩き出しはしたがフラフラとしている。見るからに危なっかしいが、気づいた一真がすぐに戻ってきたため、佐伯は笑みを浮かべて車に乗った。
お互いに良家の子息であるために、なかなか厄介ではあるが。純粋な主の思いを叶えてあげたい。
それが、佐伯の願いだ。
朝、いつものようにやって来た車に乗り込んだ朔夜は、いきなり驚かされた。
「おはよう、朔夜」
「おはよう……、って、どうしたの? それ」
手に巻かれた包帯を指さし、確認する。一真はストレートに「コケてケガした」と返した。包帯の原因はその後にあるのだが、コケたことには間違いないのでそう伝えておく。
「コケたって……、どこで?」
「んー。よくわからない。走ってたらコケた」
「はいっ? 何それ??」
ますますわけがわからない、と言った様子で声を上げたが、それよりも、ケガをしているにも関わらず一真はいつも以上にテンションが高い。何があったのだろうと不思議に思う。
車は、学校に向けて走り出す。その間にも「大丈夫?」など聞いてみたが「平気!」と返されてどうにもならない。テンションが低いよりはいいのでいいか、と朔夜が結論づけた時。
「朔夜、好きだ」
と、急に一真が告げた。
「えっ? 何??」
「俺、朔夜が好きだ」
高めのテンションのままで、一気に。
「あ、うん。知ってる。俺も、一真のこと好きだよ」
何のことかわからないまま、朔夜は応じた。一真が常に兄のように慕ってくれていることは気づいている。一人っ子の彼のこと、兄のような存在が欲しいのだろうと考え、また、朔夜も一真のような弟なら楽しいだろうな、と思っていた。
すると。
「そうじゃなくって!」
少し怒った様子で言われ、朔夜はますますわけがわからない。好き、と言われたから好きと答えた。その心に偽りはない、なのに何故、そう言われるのか。
疑問符が浮かぶ。彼を見つめると、漆黒の瞳と視線があう。ハーフかと思うような容姿であるが、この黒さは日本人特有のもの。朔夜は、この瞳が好きだった。じっ、と見つめられると、視線が外せなくなる。
(わっ……)
あまりの目力に、顔が熱くなる。急に気恥ずかしさが襲ってきたのだ。しかも、それだけではない。
(えっ……?)
一瞬の事だった。視界がなくなったかと思うと、唇に何かが触れる。そうして、そのまま腕に収められる。車の中、かなり不安定な体勢。なのに、とても居心地が良くて。
「俺は、こう言う意味で朔夜が好きってこと」
耳元で囁かれた言葉を、つい、聞き逃した。
「えっ? 何??」
その状態のままで聞き返すと、
「朔夜。俺のお嫁さんになって」
今度ははっきりと、台詞が脳に届く。
「えっ? ええっ!?」
「一真様、学校に着きます」
「りょーかーい。じゃあ、また放課後なっ。もし、変なヤツに襲われそうだったら構わず呼べよ。 高等部だって構わず乗り込んでやるからっ!」
佐伯の合図にぱっと身体を離し、一真は車から降りて走り出す。朔夜は、と言うと。
「……朔夜さん、大丈夫ですか?」
「へっ? あ、う、うん。だい、じょう、ぶ……」
しどろもどろに答え、荷物を持って車を降りる。歩き出しはしたがフラフラとしている。見るからに危なっかしいが、気づいた一真がすぐに戻ってきたため、佐伯は笑みを浮かべて車に乗った。
お互いに良家の子息であるために、なかなか厄介ではあるが。純粋な主の思いを叶えてあげたい。
それが、佐伯の願いだ。
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