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りんごの木はグリニアにとって、資源でありゴミであった。
グリニアのりんごは甘く、蜜が多い。
その分、枝木にも樹液が多く薪には不向きだった。
なので、グリニアでは剪定したりんごの枝の処理は問題となっていた。
だが、この男――いや、その後ろにいる妻は、それをいとも簡単に解決しようとしていたのだ。
アーサーは興味深く微笑むと、レオニダスの言葉に耳を傾けた。
「試行錯誤の結果、枝をそのままではなく、乾燥させて細かく砕いてみたが、それがよかったようだ」
レオニダスはオスカーに目配せをすると、オスカーは木の屑――というには大きめの破片を盛った盆を主人に手渡した。
「これは、我が領の技術によって均等な大きさに砕いたりんごの枝だ。その燻製にはこれを燻し木として使った」
「こんなに細かく――しかも厚みが均等だ……」
「人の手にしては細かすぎる――」
グリニア国の人間だけでなく、アウストヴァルドの人間も驚いた表情でその燻し木を見ている。
レオニダスは自慢気にマルグリットを見つめると、マルグリットもまた、自分の夫を誇らしい目で見つめていた。
燻し木の商談はすぐに決まった。
バナンの作った裁断機は、糸鋸が5本連なっていて、皮を剥いだ枝を置いて足踏み板を踏むと、あっという間に均等の大きさに切り刻んでしまった。
実演すると、ヘンリー王子はすぐにそれを1台あたり金貨5枚で購入することを決めた。
実食したことで、りんごの燻し木をアウストヴァルドに輸入することを、ロレンツォ王子が決めたのだ。
これまで燃やして処分するしかなかったりんごの剪定枝が、金を産む木になった。
下処理には多少の手間が掛かるが、それすら収入の一端になるのであれば、皆喜んでやるだろうと、やり取りを見てアーサーは納得した。
これにより、両国の交易が再開する。
ヴァルデンを経由し、グリニアの産物は周辺国との取引も行われることになる。
これまで障壁だったヴァルデンは、これからはグリニアを栄えさせる礎になりうるのだ。
まったく……大した女だ。
アーサーはレオニダスの隣に立つマルグリットを見て、小さくため息を付いた。
俺が先に見つけていれば――いや。
アーサーにはわかっていた。
自分が夫であれば、マルグリットを屋敷に閉じ込め、ただ愛するだけだったに違いない。
レオニダスだから、マルグリットはここまでやり遂げたのだ。
俺は結局、戦いでも、男としてもあいつに負けたということか――
その夜は、冬籠りぶりに二人でゆっくりすることができた。
まだグリニア国との交渉は続くが、賠償金の問題が片付けばあとは国務大臣の仕事だ。
レオニダスの出番は大きく減る。
「マリーのおかげだ」
レオニダスは汗で湿ったマルグリットの頬に口付けを落とした。
寝台でお互いを慈しみ合うように抱き合う二人は、もう何時間もこうしている。
「君はやはり叡智の女神であり、戦争を終わらせる春の女神だった――君はどれだけ俺を幸せにしてくれるんだ」
執拗に襲ってくるレオニダスの唇に、マルグリットはくすくすと声を上げながら応える。
その仕草が可愛くて、レオニダスはついもっとしたくなってしまう。
「レオン様も、わたくしを幸せにしてくださってます」
マルグリットはそう言ってレオンの頬を撫でると、レオンはマルグリットの唇に口付けをした。
絡み合うように長い時間、合わせていた唇を離すと、マルグリットは頬を赤らめてレオニダスを見つめた。
「もう一つ、あなたを幸せにしてもよろしいですか?」
「俺の女神はどれだけの恩寵を与えてくれるんだ?」
揶揄うように言ったレオニダスは、マルグリットの耳打ちを受けると、その目を次第に赤く潤ませた。
マルグリットは、その表情を見て、レオニダスへの愛しさが溢れ出していた。
グリニアのりんごは甘く、蜜が多い。
その分、枝木にも樹液が多く薪には不向きだった。
なので、グリニアでは剪定したりんごの枝の処理は問題となっていた。
だが、この男――いや、その後ろにいる妻は、それをいとも簡単に解決しようとしていたのだ。
アーサーは興味深く微笑むと、レオニダスの言葉に耳を傾けた。
「試行錯誤の結果、枝をそのままではなく、乾燥させて細かく砕いてみたが、それがよかったようだ」
レオニダスはオスカーに目配せをすると、オスカーは木の屑――というには大きめの破片を盛った盆を主人に手渡した。
「これは、我が領の技術によって均等な大きさに砕いたりんごの枝だ。その燻製にはこれを燻し木として使った」
「こんなに細かく――しかも厚みが均等だ……」
「人の手にしては細かすぎる――」
グリニア国の人間だけでなく、アウストヴァルドの人間も驚いた表情でその燻し木を見ている。
レオニダスは自慢気にマルグリットを見つめると、マルグリットもまた、自分の夫を誇らしい目で見つめていた。
燻し木の商談はすぐに決まった。
バナンの作った裁断機は、糸鋸が5本連なっていて、皮を剥いだ枝を置いて足踏み板を踏むと、あっという間に均等の大きさに切り刻んでしまった。
実演すると、ヘンリー王子はすぐにそれを1台あたり金貨5枚で購入することを決めた。
実食したことで、りんごの燻し木をアウストヴァルドに輸入することを、ロレンツォ王子が決めたのだ。
これまで燃やして処分するしかなかったりんごの剪定枝が、金を産む木になった。
下処理には多少の手間が掛かるが、それすら収入の一端になるのであれば、皆喜んでやるだろうと、やり取りを見てアーサーは納得した。
これにより、両国の交易が再開する。
ヴァルデンを経由し、グリニアの産物は周辺国との取引も行われることになる。
これまで障壁だったヴァルデンは、これからはグリニアを栄えさせる礎になりうるのだ。
まったく……大した女だ。
アーサーはレオニダスの隣に立つマルグリットを見て、小さくため息を付いた。
俺が先に見つけていれば――いや。
アーサーにはわかっていた。
自分が夫であれば、マルグリットを屋敷に閉じ込め、ただ愛するだけだったに違いない。
レオニダスだから、マルグリットはここまでやり遂げたのだ。
俺は結局、戦いでも、男としてもあいつに負けたということか――
その夜は、冬籠りぶりに二人でゆっくりすることができた。
まだグリニア国との交渉は続くが、賠償金の問題が片付けばあとは国務大臣の仕事だ。
レオニダスの出番は大きく減る。
「マリーのおかげだ」
レオニダスは汗で湿ったマルグリットの頬に口付けを落とした。
寝台でお互いを慈しみ合うように抱き合う二人は、もう何時間もこうしている。
「君はやはり叡智の女神であり、戦争を終わらせる春の女神だった――君はどれだけ俺を幸せにしてくれるんだ」
執拗に襲ってくるレオニダスの唇に、マルグリットはくすくすと声を上げながら応える。
その仕草が可愛くて、レオニダスはついもっとしたくなってしまう。
「レオン様も、わたくしを幸せにしてくださってます」
マルグリットはそう言ってレオンの頬を撫でると、レオンはマルグリットの唇に口付けをした。
絡み合うように長い時間、合わせていた唇を離すと、マルグリットは頬を赤らめてレオニダスを見つめた。
「もう一つ、あなたを幸せにしてもよろしいですか?」
「俺の女神はどれだけの恩寵を与えてくれるんだ?」
揶揄うように言ったレオニダスは、マルグリットの耳打ちを受けると、その目を次第に赤く潤ませた。
マルグリットは、その表情を見て、レオニダスへの愛しさが溢れ出していた。
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