悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第一章 帰還と波乱

第二十五話 トラブル発生(ミーシャ視点)

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(ひ、一人で、このメンバーの引率……)


 今のところ、一応は大人しくしている面々ではあれど、ほんのささいなキッカケで、人死にが出かねない。


(絶対に、目を離さないっ! トラブルに首を突っ込ませないっ!)


 そう決意を新たにした直後だった。


「ってぇなっ! おいっ、嬢ちゃん、何してくれてんだ? あぁっ?」


 そこに居たのは、通称当たり屋。もしくは、今回に限って言えば、身の程知らずの命知らず。何せ、奴らが絡んだ対象は……。


「はぁ? 何を言っているんですか? と、いうか、何、私のラルフに触ってるんデスか?」


 確かに、ラルフ君は小柄で、女の子と間違えても仕方のない容姿だ。傍目から見れば、仲の良い家族が街を散策している姿で、最も身長の低いラルフ君はターゲットになりやすかったかもしれない。
 この国では黒への差別はなくなったとはいえ、ティアルーン国の件もあり、お姉様とイリア様、フィオナちゃんには別の色を纏ってもらっている。と、いうか、お姉様とイリアス様は、ルクレチアさんと同じ金髪に金の瞳、そして、フィオナちゃんは、ラルフ君と同じ新緑の髪に金の瞳という組み合わせになっただけだ。しかし、私はこの色を見て、もっと考えるべきだったのだ。この色は、別の意味で目立つ、と。ついでに、どんなに色を変えても、このメンバーは、全員美男美女だったと気づくべきでもあった。

 フィオナちゃんが滲ませた殺気に、鈍感な男は気づく様子もなく、無駄に大きな体でフィオナちゃんを威圧しようと睨む。


「あ゛? そっちの嬢ちゃんがぶつかってきたのが悪いんだろ? おかげで、骨が折れちまったじゃねぇかっ」

(あ、これ、不味い……)


 ここに居るのは、どんなにトラブルメーカーな問題児であっても、神ばかり。人間の嘘くらい、簡単に見破ることができる。そして、こんな時、ヤンデレな彼女がどういう思考に至るのかは……何となくお姉様を見ていた私は、察してしまった。


「ふ、ふふフ、そんナ、ウソまでついテ、ラルフに近づキたイノ……?」


 その瞳に、ハイライトが完全に消えているのを見て、私は覚悟を決める。


(こ、ここは、私が彼らに教育的指導を与えておかなきゃ、不味いっ!)


 と、いうわけで、何か反論しようとしていた男、及び、そのお仲間と思しき連中を、一瞬のうちに私の天使、千偽隊達を使って拉致する。きっと、軽く拷問をかけておけば、何か不味い、くらいには気づいてくれるはずだ。だから……。


「ミーシャ、さン?」


 表情の消えたフィオナちゃん。獲物をカッさらわれて不機嫌な彼女を前に、私は、どうにか生き残るために、ない知恵を絞って、震えないように声を出す。


「ご、ごめんなさいね。人間の中には、金銭の要求のために、言いがかりをつけてくる者が居るんです。きっと、今回は、フィオナちゃんとラルフ君のデートの邪魔だろうから、引っ込んでもらいましたよ」

「……ラルフを、狙ったわけじゃ、ないンですネ?」

「そ、そうです! だから、ね? せっかくだから、楽しみましょう?」

「……分かりました」


 ようやく、ハイライトが戻ってきたフィオナちゃんの姿に、私は大きく安堵の息を吐くと、心の中で、とにかく叫ぶ。


(は、早く帰ってきてっ! セイ!)


 私一人では、対処できる気がしない。そんなわけで、どうか、これ以上何も起こりませんように、と祈るのだった。
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