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第一章
第一話 恐怖と涙
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知らない場所。知らない人達。知らない空気。
そのどれもが、困惑と恐怖を送り込み、ひたすらに泣き声をあげる原因となる。
いや、それ以上に……。
私、どう、なって……?
私は死んだ。そのはずだ。それなのに、今、私は生きていて、思いっきり泣いている。それはまるで、赤子のように……。
……私、生まれ変わった、の……?
もしかしたら、また、あの苦しい思いをしなければならないのだろうかと恐怖に包まれる。また、異端として扱われて、また、一人ぼっちで、また、一人孤独に死ぬのだろうか、と。
い、いや。そんなの、いや!
「まぁっ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」
泣いて、泣いて、泣き続ける中、私は奇妙な言葉を聞いた気がした。いや、それだけでなく……。
言葉が、分かる……?
明らかに、聞いたことのない言語なのに、何を言っているのかが理解できた。
「奥様、さぁ抱いてあげてください」
「えぇ……あぁ、可愛いわ。私の赤ちゃん」
優しく、優しく抱き締められるその感覚に、胸が詰まる。
記憶にある限り、誰かに抱き締められるというのは初めてのことで、与えられることなどないと思っていた幸福を前にどうして良いのか分からなくなる。
「ルミア! 無事か! 子供はっ!?」
「旦那様、お静かに。お二人とも無事ですよ。元気な女の子、しかも旦那様と同じ豹の獣人です」
「っ、そうかっ!」
突如として響いたその男性の声。その声で、私は反射的に大きく泣き声をあげていて……それを目の前の誰かにあやされる感覚にさらに泣く。
これは、夢……?
もしかしたら、これは最期に神様が見せてくれた夢かもしれない。そんなことを頭の片隅で考えながら、そのまま、いつの間にか眠ってしまう。
次に目覚めた時も、それが続くのだとも知らずに。
「ほぉら、リコ。おもちゃだぞー」
「ふぇ……おぎゃあっ、ほぎゃあっ!」
なぜか、赤子になっている私は、家族と思われる人達から、それはそれは、愛された。父親らしき、旦那様と呼ばれる人は、仕事で忙しいのか、それともただ単にタイミングが悪いのか、滅多に会うことはないものの、こうしておもちゃを用意しては話しかけてくれる。
「よしよし、大丈夫でちゅよー」
「おぎゃあっ、おぎゃあっ」
母親らしき、奥様とかルミアとか呼ばれている女性は、私が泣くたびに、優しくあやしてくれる。
ただ、どうしても、今の私の涙腺は緩いらしく、ちょっとの怯えや恐怖だけで泣いてしまった。
こんなに泣いたら、嫌われちゃうかもしれないのに……。
もしかしたら、この人達は私を大切にしてくれるのではないか。そんな希望がないとは言わない。世界が違えば、もしかしたら、と思うのは仕方ない。ただ、それでも、優しさに慣れていない私は、それに怯えてしまう。純粋な笑顔に慣れていない私は、その裏を疑ってしまう。抱き締められることに慣れていない私は……それがいつ失われるのかと、恐怖に囚われてしまう。
嫌いに、ならないで……。
そう願っても……いや、そう願うからこそ、恐怖の涙が止まることはない。
起きている間はほとんど泣いて、色々な世話をしてもらって、疲れたら眠る。そんな生活が、今の私の日常だった。
そのどれもが、困惑と恐怖を送り込み、ひたすらに泣き声をあげる原因となる。
いや、それ以上に……。
私、どう、なって……?
私は死んだ。そのはずだ。それなのに、今、私は生きていて、思いっきり泣いている。それはまるで、赤子のように……。
……私、生まれ変わった、の……?
もしかしたら、また、あの苦しい思いをしなければならないのだろうかと恐怖に包まれる。また、異端として扱われて、また、一人ぼっちで、また、一人孤独に死ぬのだろうか、と。
い、いや。そんなの、いや!
「まぁっ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」
泣いて、泣いて、泣き続ける中、私は奇妙な言葉を聞いた気がした。いや、それだけでなく……。
言葉が、分かる……?
明らかに、聞いたことのない言語なのに、何を言っているのかが理解できた。
「奥様、さぁ抱いてあげてください」
「えぇ……あぁ、可愛いわ。私の赤ちゃん」
優しく、優しく抱き締められるその感覚に、胸が詰まる。
記憶にある限り、誰かに抱き締められるというのは初めてのことで、与えられることなどないと思っていた幸福を前にどうして良いのか分からなくなる。
「ルミア! 無事か! 子供はっ!?」
「旦那様、お静かに。お二人とも無事ですよ。元気な女の子、しかも旦那様と同じ豹の獣人です」
「っ、そうかっ!」
突如として響いたその男性の声。その声で、私は反射的に大きく泣き声をあげていて……それを目の前の誰かにあやされる感覚にさらに泣く。
これは、夢……?
もしかしたら、これは最期に神様が見せてくれた夢かもしれない。そんなことを頭の片隅で考えながら、そのまま、いつの間にか眠ってしまう。
次に目覚めた時も、それが続くのだとも知らずに。
「ほぉら、リコ。おもちゃだぞー」
「ふぇ……おぎゃあっ、ほぎゃあっ!」
なぜか、赤子になっている私は、家族と思われる人達から、それはそれは、愛された。父親らしき、旦那様と呼ばれる人は、仕事で忙しいのか、それともただ単にタイミングが悪いのか、滅多に会うことはないものの、こうしておもちゃを用意しては話しかけてくれる。
「よしよし、大丈夫でちゅよー」
「おぎゃあっ、おぎゃあっ」
母親らしき、奥様とかルミアとか呼ばれている女性は、私が泣くたびに、優しくあやしてくれる。
ただ、どうしても、今の私の涙腺は緩いらしく、ちょっとの怯えや恐怖だけで泣いてしまった。
こんなに泣いたら、嫌われちゃうかもしれないのに……。
もしかしたら、この人達は私を大切にしてくれるのではないか。そんな希望がないとは言わない。世界が違えば、もしかしたら、と思うのは仕方ない。ただ、それでも、優しさに慣れていない私は、それに怯えてしまう。純粋な笑顔に慣れていない私は、その裏を疑ってしまう。抱き締められることに慣れていない私は……それがいつ失われるのかと、恐怖に囚われてしまう。
嫌いに、ならないで……。
そう願っても……いや、そう願うからこそ、恐怖の涙が止まることはない。
起きている間はほとんど泣いて、色々な世話をしてもらって、疲れたら眠る。そんな生活が、今の私の日常だった。
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