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第一章
第二話 女神
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「流石に、これは泣き過ぎじゃないか?」
「えぇ、確かに……。ですが、医師に見せても異常なしとしか……」
「でも、このままじゃ、この子はどんどん衰弱してしまうわっ!!」
ふいに、目が覚めた。ただし、意識が完全に目覚めていないのか、そんな声で私が泣き出すことはない。
泣き過ぎ? 衰弱?
それは、明らかに私の話だった。しかし、それを知ったところで、私にはどうすることもできない。
怖い……一人が、怖い……。
ずっとずっと、寂しさに殺されてきた心は、初めての温もりを失わないために必死だったのかもしれない。
でも、このまま死ぬのは……きっと、悪くない。
赤子のままで死ねるのであれば、きっと、愛してもらったこの温かい記憶を抱いて、安らかに眠ることができる。
怖い、から、このままで……。
「ちょっ、ちょっと待ってー!!」
と、その時、どこからともなく聞こえてきた声に、私の意識はブラックアウトした。
「何で! 何で、せっかく戻せたのに、赤ちゃんのまま自殺願望なんて抱いてるんですかっ!!」
どことなく重い頭で、そんな声を聞いた私は、そっと目を開けて起き上がる。
「……え?」
そう、私は今、起き上がった。赤子のままであれば、寝返りすらまともに打てなかったはずの私が、今、見慣れた姿に戻っていることに気づいてしまった。
「……やっぱり、夢……」
夢だと分かれば、納得もできる。しかし、初めての温もりが、全て夢だと理解した衝撃は計り知れなくて――――。
「わーっ! 待ってください! 魂を自分で消滅させようとしないで!? 夢じゃないからっ!!」
その言葉に、私の中の何かが止まった気がした。
「まさか、あなたがここまで傷ついてるとは思っていませんでした。これは、完全な私の誤算。ごめんなさいね」
ノロノロと視線を上げれば、そこには白髪の美しい女性が居た。
「自己紹介がまだでしたね。私は、この世界を管理する女神の一柱、レティナです」
神様なんて、信じない。それが、私の答えであり、そうなると、やはり夢なのだと絶望が広がって――――。
「わーっ、だから、待ってくださいっ!! あなたは、本来はこの世界に生まれるはずだったのが、手違いで地球に紛れ込んでしまったのっ。そのせいで、随分と辛い思いをさせたみたいだから、今度こそ幸せになってもらおうと元の世界に戻したのだけど、肝心のあなたが自分を殺しかねないから止めに来たんです!!」
一気に経緯を言い放った自称女神。とはいえ、それを理解できたかといえば微妙なところだ。
「っ、そうでしたね。では、こう言えば良いでしょうか?」
私の理解が及んでいないことに気づいたそいつは、大きく深呼吸をして、とても……とても、優しい眼差しを向けてくる。
「もう、あなたは一人じゃありませんよ」
「っ……」
神なんて信じない。そうは思っていても、その女性の姿は、『慈愛の女神』と呼ぶべき姿だと思えてしまう。
「もう一度言います。あなたは、一人じゃありません。もう、あなたを大切に思う存在が少なくとも三人、居ることには気づいているでしょう?」
神々しく輝くその女性の言葉は、簡単には受け入れられない。それでも……。
「だから、少しだけ、その三人のためにも生きていてみてはくれませんか?」
まだ、名前もまともに知らない三人。女性が二人と男性が一人。両親とお手伝いさんのような人という面々。
面識のない誰かのため、と言われれば、きっと何とも思わなかった。しかし、彼らのためならば……。
「……頑張って、みる」
求めて止まなかった愛情を注いでくれた人達への恩返し。そのくらいは、しなければならないと思えた。
「ありがとう。きっと、あなたは愛されるから、だから――――」
最後の言葉に思わず目を見開いて、次の瞬間には、意識がプツリと途切れる。
『幸せになってくださいね』と。初めての祝福は、私の心をとても柔らかく包んでくれていた。
「えぇ、確かに……。ですが、医師に見せても異常なしとしか……」
「でも、このままじゃ、この子はどんどん衰弱してしまうわっ!!」
ふいに、目が覚めた。ただし、意識が完全に目覚めていないのか、そんな声で私が泣き出すことはない。
泣き過ぎ? 衰弱?
それは、明らかに私の話だった。しかし、それを知ったところで、私にはどうすることもできない。
怖い……一人が、怖い……。
ずっとずっと、寂しさに殺されてきた心は、初めての温もりを失わないために必死だったのかもしれない。
でも、このまま死ぬのは……きっと、悪くない。
赤子のままで死ねるのであれば、きっと、愛してもらったこの温かい記憶を抱いて、安らかに眠ることができる。
怖い、から、このままで……。
「ちょっ、ちょっと待ってー!!」
と、その時、どこからともなく聞こえてきた声に、私の意識はブラックアウトした。
「何で! 何で、せっかく戻せたのに、赤ちゃんのまま自殺願望なんて抱いてるんですかっ!!」
どことなく重い頭で、そんな声を聞いた私は、そっと目を開けて起き上がる。
「……え?」
そう、私は今、起き上がった。赤子のままであれば、寝返りすらまともに打てなかったはずの私が、今、見慣れた姿に戻っていることに気づいてしまった。
「……やっぱり、夢……」
夢だと分かれば、納得もできる。しかし、初めての温もりが、全て夢だと理解した衝撃は計り知れなくて――――。
「わーっ! 待ってください! 魂を自分で消滅させようとしないで!? 夢じゃないからっ!!」
その言葉に、私の中の何かが止まった気がした。
「まさか、あなたがここまで傷ついてるとは思っていませんでした。これは、完全な私の誤算。ごめんなさいね」
ノロノロと視線を上げれば、そこには白髪の美しい女性が居た。
「自己紹介がまだでしたね。私は、この世界を管理する女神の一柱、レティナです」
神様なんて、信じない。それが、私の答えであり、そうなると、やはり夢なのだと絶望が広がって――――。
「わーっ、だから、待ってくださいっ!! あなたは、本来はこの世界に生まれるはずだったのが、手違いで地球に紛れ込んでしまったのっ。そのせいで、随分と辛い思いをさせたみたいだから、今度こそ幸せになってもらおうと元の世界に戻したのだけど、肝心のあなたが自分を殺しかねないから止めに来たんです!!」
一気に経緯を言い放った自称女神。とはいえ、それを理解できたかといえば微妙なところだ。
「っ、そうでしたね。では、こう言えば良いでしょうか?」
私の理解が及んでいないことに気づいたそいつは、大きく深呼吸をして、とても……とても、優しい眼差しを向けてくる。
「もう、あなたは一人じゃありませんよ」
「っ……」
神なんて信じない。そうは思っていても、その女性の姿は、『慈愛の女神』と呼ぶべき姿だと思えてしまう。
「もう一度言います。あなたは、一人じゃありません。もう、あなたを大切に思う存在が少なくとも三人、居ることには気づいているでしょう?」
神々しく輝くその女性の言葉は、簡単には受け入れられない。それでも……。
「だから、少しだけ、その三人のためにも生きていてみてはくれませんか?」
まだ、名前もまともに知らない三人。女性が二人と男性が一人。両親とお手伝いさんのような人という面々。
面識のない誰かのため、と言われれば、きっと何とも思わなかった。しかし、彼らのためならば……。
「……頑張って、みる」
求めて止まなかった愛情を注いでくれた人達への恩返し。そのくらいは、しなければならないと思えた。
「ありがとう。きっと、あなたは愛されるから、だから――――」
最後の言葉に思わず目を見開いて、次の瞬間には、意識がプツリと途切れる。
『幸せになってくださいね』と。初めての祝福は、私の心をとても柔らかく包んでくれていた。
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