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第二章
第二十九話 ウキウキと怒りと(セイン視点)
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魔族は、自らの片翼のために、様々な技術を習得する。生活に役立つ家事から戦闘はもちろんのこと、マッピング技術や、土木作業の技術など、その技術の幅は多岐に渡る。そして……。
デートコースの下見をしておいて、本当に、本当に、良かった!!
初めて訪れる場所や、久々に訪れた場所に来ると、情報収集能力を駆使して、様々なデートコースを検討するのは、もはや片翼を持たない魔族の習性と言っても過言ではない。俺も、片翼が見つかる可能性は低いと頭の中では認識しつつ、それでもデートコースを自然と検討していた口であり、今は、無駄だと思っていた自分のその習性に感謝していた。
「…………!」
現在、リコと訪れているのは、アート通りのスイーツ区画と呼ばれる場所。
獣人達は、確かに自然を愛し、自然と共に生きることを選ぶ者が多い。しかし、だからといって文明的な生活を捨てているわけでも、芸術や美食への関心がないわけでもない。
アート通り、というのは、名前の通り芸術作品が並ぶ通りであり、そうした作品が通りを構成している。その中でも、一つのモチーフに関するものばかりを集めた区画は、そのモチーフにちなんだ関連商品まで並ぶ。スイーツ区画は、スイーツをモチーフとした鮮やかでカラフルな女性に人気の区画であり、おしゃれなカフェや、可愛いお菓子店が立ち並ぶ。
「リコさんは、この場所に来たことはありますか?」
この場所に訪れた途端、ピコピコと黒い耳を動かし、目を輝かせるリコへ、俺は自然と問いかけていた。
「ない、です」
年頃の女性ならば、訪れることの多いこの場所に、リコはまだ一度も訪れていないようで、キョロキョロと辺りを見渡して、今にもどこかの店に突入してしまいそうな勢いがある。
「……その、婚約者とか、とは……?」
微笑ましいその光景に、聞きたくない気持ちと聞きたい気持ちがない混ぜになった状態で、そっと探りを入れる。
バルトラン家が貴族の家だということは、昨日の内に分かっていたことだ。そして、貴族となれば、政略結婚のための婚約だってあり得る。
獣人達に政略結婚は合わないとは言われているものの、貴族階級でそんなことは言っていられない、ということは多い。だから、彼らは番というものの存在をひたすらに隠して、政略結婚へと挑ませる。子供の頃から、番に対する憧れを抱かないように、コントロールする。
リコに、婚約者が居るとしても、リコを渡すことはできないな。
そんな相手が居たとしたなら、どんな手を使ってでも、リコから引き離そう。そんな意思を持ちながら、俺はリコの返事を待つ。
「………………………………婚約者は、居ました」
そう言ったリコの表情を見て、俺は決心する。
よし、そいつを消そう。
先程までとても楽しそうだったリコが、耳を垂らして悲しそうにしている姿を見る限り、婚約者はクズで確定だ。婚約者としての立場を消すのはもちろんのこと、二度とリコと関われないように、どこか遠くの土地にでも事故で旅立ってもらうのが最良だ。ただし……。
「そうでしたか。ですが、ここが初めてならば、今日は俺と一緒に目一杯楽しみましょう!」
それは今すぐではない。情報を集めて、分析して、計画を練ってからのこと。何よりも優先すべきは、リコを笑顔にすることなのだから。
「っ……はいっ」
ピョコンと跳ねたリコの分かりやすい耳。それを見て、俺はひとまずデートに集中することにした。
デートコースの下見をしておいて、本当に、本当に、良かった!!
初めて訪れる場所や、久々に訪れた場所に来ると、情報収集能力を駆使して、様々なデートコースを検討するのは、もはや片翼を持たない魔族の習性と言っても過言ではない。俺も、片翼が見つかる可能性は低いと頭の中では認識しつつ、それでもデートコースを自然と検討していた口であり、今は、無駄だと思っていた自分のその習性に感謝していた。
「…………!」
現在、リコと訪れているのは、アート通りのスイーツ区画と呼ばれる場所。
獣人達は、確かに自然を愛し、自然と共に生きることを選ぶ者が多い。しかし、だからといって文明的な生活を捨てているわけでも、芸術や美食への関心がないわけでもない。
アート通り、というのは、名前の通り芸術作品が並ぶ通りであり、そうした作品が通りを構成している。その中でも、一つのモチーフに関するものばかりを集めた区画は、そのモチーフにちなんだ関連商品まで並ぶ。スイーツ区画は、スイーツをモチーフとした鮮やかでカラフルな女性に人気の区画であり、おしゃれなカフェや、可愛いお菓子店が立ち並ぶ。
「リコさんは、この場所に来たことはありますか?」
この場所に訪れた途端、ピコピコと黒い耳を動かし、目を輝かせるリコへ、俺は自然と問いかけていた。
「ない、です」
年頃の女性ならば、訪れることの多いこの場所に、リコはまだ一度も訪れていないようで、キョロキョロと辺りを見渡して、今にもどこかの店に突入してしまいそうな勢いがある。
「……その、婚約者とか、とは……?」
微笑ましいその光景に、聞きたくない気持ちと聞きたい気持ちがない混ぜになった状態で、そっと探りを入れる。
バルトラン家が貴族の家だということは、昨日の内に分かっていたことだ。そして、貴族となれば、政略結婚のための婚約だってあり得る。
獣人達に政略結婚は合わないとは言われているものの、貴族階級でそんなことは言っていられない、ということは多い。だから、彼らは番というものの存在をひたすらに隠して、政略結婚へと挑ませる。子供の頃から、番に対する憧れを抱かないように、コントロールする。
リコに、婚約者が居るとしても、リコを渡すことはできないな。
そんな相手が居たとしたなら、どんな手を使ってでも、リコから引き離そう。そんな意思を持ちながら、俺はリコの返事を待つ。
「………………………………婚約者は、居ました」
そう言ったリコの表情を見て、俺は決心する。
よし、そいつを消そう。
先程までとても楽しそうだったリコが、耳を垂らして悲しそうにしている姿を見る限り、婚約者はクズで確定だ。婚約者としての立場を消すのはもちろんのこと、二度とリコと関われないように、どこか遠くの土地にでも事故で旅立ってもらうのが最良だ。ただし……。
「そうでしたか。ですが、ここが初めてならば、今日は俺と一緒に目一杯楽しみましょう!」
それは今すぐではない。情報を集めて、分析して、計画を練ってからのこと。何よりも優先すべきは、リコを笑顔にすることなのだから。
「っ……はいっ」
ピョコンと跳ねたリコの分かりやすい耳。それを見て、俺はひとまずデートに集中することにした。
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