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第二章
第七十二話 幸せです
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店の中では、私達はとても歓迎された。それこそ、全てのものを無料で提供しますと言わんばかりの様子に、さすがにタジタジになり、セインさんが丁寧に断ってくれている様子を見て、さらにセインさんのことが好きになる。
案内された席は、外の景色が良く見える席で、気遣ってもらえているのか、他の客は周囲の席には居ない。
「俺達は、この店では有名人になってしまったようですね」
「セインさん、が、お店の、英雄、ですから、ね」
そう、セインさんは、英雄だ。もしくは、救世主。
「そんな大層なものではないのですが……まぁ、今は、言っても仕方ないのでしょうね」
特にそれを誇るようなこともなく、小さく息を吐くセインさんを眺めながら、私は、今、湧き上がるその感情を抑えようとして……そういえば、素直になるのだったと思い出す。
「セイン、さん……今は、私を、見て、欲しいです」
きっと、この感情は嫉妬だ。セインさんは、私の番なのに、他に目を向けてほしくない、という、恐ろしく狭量な心ゆえの嫉妬。
言った直後に、セインさんはグリンッと私の方に首を回して、目を見開く。そんな反応に、やはり、言わなければ良かったと、後悔が広がって――。
「リコ、さん。その、もしかしたら、返事を、期待しても、良いのでしょうか……?」
ゴクリ、とツバを飲み込んて、緊張した面持ちで告げるセインさんに、私は、セインさんに引かれなかった安堵とともに、本題を話す覚悟を決める。
逃さないようにと、私はセインさんの手を両手でガシッと掴む。
「セイン、さん。私の、運命の番は、セインさん、です。結婚してください」
「…………」
てっきり、すぐに返事が来るものだと思っていたのに、返ってきたのは沈黙。
「…………」
「…………」
しかも、長い。
まさか、片翼というのは、嘘だった……?
そんな、最悪な予想が頭の中に過った直後だった。
「俺が、リコの、最愛の、片翼の、番……? いや、待て、その前に、俺、今、プロポーズされた……?」
思わず、といった具合にセインさんの口からこぼれた言葉達。それによって、最悪の予想は回避された。だから……。
「結婚、式は、いつに、しましょう、か? あっ、その、前に、セインさん、の、ご家族にも、お会い、したいです」
「ちょっ、リコさん!?」
「ずっと、我慢、して、いました。監禁、されたくなかったら、うなずいて、ください」
今すぐにでも襲って、セインさんを私のものだとアピールしたい。しかし、できることなら合意の上で、順序立ててその段階に進みたい。
「……リコさんに先にプロポーズされるとは思っていませんでした。改めて、リコさん。あなたのことが、出会った時から大好きで、愛しています。どうか、俺と結婚してください」
「っ、はいっ!」
そう、答えた直後だった。
「「「おめでとうございます!!!」」」
店内に居た店員全員から祝福の言葉と、どこから調達したのか、大量の花弁が風の魔法によって降り注ぐ。
「これ、は……?」
「予定より早くて、ここまでしか準備ができていませんでしたが、本来は、俺が、リコさんの信頼を勝ち取った後、リコさんをここに連れてきて、プロポーズするつもりだったんです」
つまりは、私が勢い良くプロポーズしたせいで、サプライズが台無しになった、ということなのだろう。
「ご、ごめん、なさい」
「いいえ、これは、俺の予想が悪かっただけです。ですが、この先、改めてリコさんにプレゼントしたかったものをプレゼントさせてもらっても良いですか?」
「は、はいっ」
その二週間後、私は、セインさんから指輪をプレゼントされた。それは、大きなアメジストに金の細工が装飾された婚約指輪。セインさんの色の指輪。
それから一月後、セインさんの家族にも挨拶を済ませた私は、セインさんと、幸せな結婚式を挙げる。
途中、我慢の限界が来て、セインさんを閉じ込めたこともあったが、無事に式を挙げて、私は今、とても幸せだ。
「セイン、さん。子供は、五人、以上、ほしい、です」
「はい、愛していますよ。リコ」
「私、も。愛して、います」
その後、宣言通りに五人の子供が産まれることになるのだが、それはまた、別のお話。
ありがとうございます。女神様。
私は今、幸せです。
(完)
案内された席は、外の景色が良く見える席で、気遣ってもらえているのか、他の客は周囲の席には居ない。
「俺達は、この店では有名人になってしまったようですね」
「セインさん、が、お店の、英雄、ですから、ね」
そう、セインさんは、英雄だ。もしくは、救世主。
「そんな大層なものではないのですが……まぁ、今は、言っても仕方ないのでしょうね」
特にそれを誇るようなこともなく、小さく息を吐くセインさんを眺めながら、私は、今、湧き上がるその感情を抑えようとして……そういえば、素直になるのだったと思い出す。
「セイン、さん……今は、私を、見て、欲しいです」
きっと、この感情は嫉妬だ。セインさんは、私の番なのに、他に目を向けてほしくない、という、恐ろしく狭量な心ゆえの嫉妬。
言った直後に、セインさんはグリンッと私の方に首を回して、目を見開く。そんな反応に、やはり、言わなければ良かったと、後悔が広がって――。
「リコ、さん。その、もしかしたら、返事を、期待しても、良いのでしょうか……?」
ゴクリ、とツバを飲み込んて、緊張した面持ちで告げるセインさんに、私は、セインさんに引かれなかった安堵とともに、本題を話す覚悟を決める。
逃さないようにと、私はセインさんの手を両手でガシッと掴む。
「セイン、さん。私の、運命の番は、セインさん、です。結婚してください」
「…………」
てっきり、すぐに返事が来るものだと思っていたのに、返ってきたのは沈黙。
「…………」
「…………」
しかも、長い。
まさか、片翼というのは、嘘だった……?
そんな、最悪な予想が頭の中に過った直後だった。
「俺が、リコの、最愛の、片翼の、番……? いや、待て、その前に、俺、今、プロポーズされた……?」
思わず、といった具合にセインさんの口からこぼれた言葉達。それによって、最悪の予想は回避された。だから……。
「結婚、式は、いつに、しましょう、か? あっ、その、前に、セインさん、の、ご家族にも、お会い、したいです」
「ちょっ、リコさん!?」
「ずっと、我慢、して、いました。監禁、されたくなかったら、うなずいて、ください」
今すぐにでも襲って、セインさんを私のものだとアピールしたい。しかし、できることなら合意の上で、順序立ててその段階に進みたい。
「……リコさんに先にプロポーズされるとは思っていませんでした。改めて、リコさん。あなたのことが、出会った時から大好きで、愛しています。どうか、俺と結婚してください」
「っ、はいっ!」
そう、答えた直後だった。
「「「おめでとうございます!!!」」」
店内に居た店員全員から祝福の言葉と、どこから調達したのか、大量の花弁が風の魔法によって降り注ぐ。
「これ、は……?」
「予定より早くて、ここまでしか準備ができていませんでしたが、本来は、俺が、リコさんの信頼を勝ち取った後、リコさんをここに連れてきて、プロポーズするつもりだったんです」
つまりは、私が勢い良くプロポーズしたせいで、サプライズが台無しになった、ということなのだろう。
「ご、ごめん、なさい」
「いいえ、これは、俺の予想が悪かっただけです。ですが、この先、改めてリコさんにプレゼントしたかったものをプレゼントさせてもらっても良いですか?」
「は、はいっ」
その二週間後、私は、セインさんから指輪をプレゼントされた。それは、大きなアメジストに金の細工が装飾された婚約指輪。セインさんの色の指輪。
それから一月後、セインさんの家族にも挨拶を済ませた私は、セインさんと、幸せな結婚式を挙げる。
途中、我慢の限界が来て、セインさんを閉じ込めたこともあったが、無事に式を挙げて、私は今、とても幸せだ。
「セイン、さん。子供は、五人、以上、ほしい、です」
「はい、愛していますよ。リコ」
「私、も。愛して、います」
その後、宣言通りに五人の子供が産まれることになるのだが、それはまた、別のお話。
ありがとうございます。女神様。
私は今、幸せです。
(完)
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