家から出ない女優の幼馴染を連れ出したら、いつの間にか伝説になっていた件。

Memu(メム)

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第6話 水宮さんと水族館デート①

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凪 「なぁ小鞠。お前最近なんかあったのか?」

小鞠 「…ん?何がぁ~?」
今日は土曜日で学校も休みだ。小鞠を無理に、学校に連れて行く必要もない。だから、小鞠にも会いに行く必要もなかったのだが————。

部屋にはいつの間に忍び込んだのか、朝からずっと、俺の近くでソワソワしている幼馴染の姿があった。(昨日のは、本当に何だったんだ?)
凪 「あのさぁ、お前一人で外、出れたんだな?」

小鞠 「いやぁー久しぶりにクレープ食べたくなってね~なぎに買っていってあげようとしたらね、まさか”知らない女の子”とデートしてるなんて思わなかったよ」「びっくり、びっくり~」
小鞠は真顔で、俺の顔をチラッと見て来る。

凪 「いやっ、デートじゃないから」

俺の発言を無視して続ける。

小鞠 「でっ、あの人とのデート楽しかった?」

凪 「いや、普通かなー。多分あっちも、社交辞令だろうし。それに、永瀬さんも俺とデートしたなんて思いたくないんじゃないかな、恥ずかしくて」
自分で言ってるのに、段々悲しくなってきたぞ?

「ヘェ~、あっそ……」小鞠の声には特に感情が乗っておらず、俺の言うことなんか全く信じていないようだった。

(まぁ、いいんだけどさ、そんなことより……)
疑問に思ったことを口にする。
凪 「あのさ、ここ俺の部屋だよね?」

小鞠 「知らないけど、そうなんじゃな~い?」
小鞠は昔からの癖で、興味がなかったり機嫌が悪かったりすると、足を上下にバタバタさせる。

凪 「俺にはプライバシーとかそういう概念は、ないのかな?小鞠さん……?」

小鞠 「なぎは、裏表ないんだし、隠すところなんて、特に無いからいいんじゃないの~?」
(あーあ、これは完全に俺のことを何年かぶりに舐め切っているな…)

小鞠は、相変わらず帰るつもりがないようで、俺のベッドの上でくつろいでいた。話している途中で毛布に顔を埋める。観察していると、
近くにあった、俺の枕の匂いがどうしても気になるようで、くんくん嗅いでいる。
(っておいっ………💢)
急いで小鞠から、枕を取り上げようとする——
(…………固っ、こいつ、全く離れねぇ!!)
枕から小鞠を引き剥がそうとするが、必死にしがみついて、離れようとしない。

小鞠 「あぁ、やだってばっ!いい匂いだからもう少しだけぇ~」

(あぁっ!!もうっ!!)
凪 「あのぉ~小鞠さん……そろそろ出てってくれませんかね?」

小鞠 「無理ぃ~あと、なぎ今日午後、どっか出かけるの~?」

凪 「いや別に、お前がいるから出かける気はないよ、それに今週はすごい疲れたし……」

小鞠 「ヘェ~、じゃあ今日一日、”暇人”ってことだよねぇ?」

凪 「言い方が悪いな、いつもはお前と違って一生懸命生きてるんだよ」
小鞠が急に無言で、ベッドから立ち上がり、ドアに向かって歩き始める———。
(……怒らせたか?)
やっと出て行くのかと思いきや、いきなり扉の前で静止して、俺の方を見る、

小鞠 「じゃあ、今日私と、午後一緒に水族館に行こうね~それじゃっ……」
そう短く言って部屋から出ていった。

凪 「おーう………って、へっ?」
(何だって?午後、水族館に行こうね?あの小鞠が?俺と?)頭の中ではてなマークがぐるぐると巡回する。

小鞠 「一時に、外集合でよろしく~」

凪 「おいっ、小鞠どう言うことだよっ!?お前そんなアクティブな奴だったか?」

小鞠 「まぁなぁー」
小鞠はそれ以上は、何も返さず部屋から去っていった。まだ俺が行くとも言っていないのに、勝手に出て行くということは、多分、俺が来ると信じて疑っていないんだろう。
(まぁ、信頼されるのは、別に…嫌な気分じゃないからいっか……)

◇ ◇ ◇

その頃、凪は金縁の眼鏡をかけ優雅に読書をしていた、ふと時計に目をやると時計の針は十二時五十分を指していた。(やばいっ!あいつと午後水族館に行くんだった!!)
凪は、お気に入りの本をベッドに投げて、急いで一階にかけて行く。鏡で自分の顔を見て、寝癖を直し、歯を磨く。部屋に戻って、クローゼットを開けると…春物の服が、一着もないではないか!!(あーあっ、本格的にやばいなこれ、どうしたものか……)
凪 「待てよ、そういえば、飛鳥が、昔着ていた服が部屋にまだ、取りに来れてないから、残っているって言ってたな」
(あいつの服を借りるしかないか……)
急いで飛鳥の部屋を探すと、幸いなことに、
ギリギリ男でも着れそうな黒と白のボーダーと、ジーパンが奥に入っていた。
(これ、借りてくかっ)
もう一度時計に目をやると、もう五十五分だった。急いで、一階に降りて行き、もう一度髪をセットする。ワックスで、韓国風に仕上げ、ケープでガッチリ固め完成———!!
(我ながらいい出来だ!!)去年誕生日に、飛鳥から送られてきたショルダーバッグを掴み、急いで、外に出る。

バタンっ

勢いよく、玄関の外に飛び出すと……
凪 「むぐぅっ!!」顔が小鞠の胸辺りにぶつかり、弾き返される。
小鞠 「わぁ~おっ、デートの初っ端からセクハラですか、なぎいい度胸してるね……」

目の前には、いつも凪が見ている小鞠とは全くオーラが違う、黒い帽子とサングラスで隠しているにも関わらず、圧倒的に国民的スターを隠せていない、破壊力抜群のルックスの小鞠が立っていた。

凪 「ギリギリセーフなので、許されるとかありませんかね?小鞠さん…」

小鞠 「うん、じゃぁ~ギリギリアウトってことで、水族館代なぎの奢りねっ♡」
手に持っている手提げ鞄をブンブン振り回して、俺のお腹の一点を集中的に狙って当てて来る。

小鞠 「それと、罰として疲れたから、手を繋いで連れてって……」

凪 「は?流石に疲れるの早すぎだろ、まだ行ってすらいないんだぞ?」
それでも、構わず俺の前に小さな手を「んっ!んっ!」と差し伸べて来る小鞠に凪は根負けして、手を掴んで歩き出す———。
小鞠は黒い帽子の下で満面笑みを浮かべていた。
もちろん、小鞠の前を行く凪にはその表情が見えるはずもなく、バス停まで不機嫌そうな顔で、小鞠の手を引っ張っていった。
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