さよなら、あいしていたひと

prologue

～相瀬 恵 (あいせ めぐ)～

５歳の時に、突然できた、2歳年上の兄。
いつも、優しくて、賢くて、カッコいい、わたしにとって、ヒーローのような人だった。

血の繋がりがなくても、わたしの兄で、決して、好きになってはいけない人。

わかってた。
でも、気持ちが抑えられなかった。

いつも勉強を教えてくれたり、なにかあったらすぐに駆けつけて助けてくれた。
そんな兄の事が、いつのまにかわたしは好きになってた。

兄には親同士が決めた許嫁がいる。
だから、絶対に好きになったらいけない。

それでも、わたしは兄の事が好きで愛してしまった。

許されない事とわかってた。
でも気持ちが抑えられなかった。

優しい兄はわたしを受け入れてくれた。

でも、時間にはリミットがある。
兄が許嫁と結婚するまでの期間と…。

それでも、兄といけない関係でも、恋人同士になれた事が幸せだった。


～相瀬 翔 (あいせ しょう)～

俺が小学生に上がる時、父さんが再婚し、俺に２歳年下の妹ができた。

肌がが雪のように白く透き通っていて、目が大きくてまつ毛が長い、鼻と口は小さく、柔らかいゆるいパーマの髪の、フランス人形みたいな、とてもきれいな女の子。

俺は、一目惚れした。

俺には親同士が決めた許嫁がいる。
物心がついた頃から言われ、幼稚園から常に気持ちはなくても、側に許嫁がいた。

美しく成長していく妹。

無邪気で明るくて、いつも俺にじゃれついてきた妹。

美少女で大人しい引っ込み思案な性格だから、悪い虫がつかないよう、俺は監視した。

ぼうっとしてるからか勉強ができないから、俺が家で教えた。

可愛い妹に対する、好きな気持ちが抑えられなかった。

血の繋がらない妹に、『好き』と言われ、許嫁と結婚するまでの期間だけ、誰にもばれないよう付き合う事にした俺。

手に入らないと思っていた、美しい妹を、俺は夢中で愛した。

許されない背信行為だとしても、止まらなかった。

それでも、俺は、この気持ちを止める事ができなかった。