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接待で本業の営業No.1がやってきた
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銀座の高層ビルの最上階にある高級クラブ【蝶々】。
今日も麗しきホステスに癒されに、紳士達が訪れる。
「中川様、お逢いでき、とても嬉しいです。お隣失礼致します」
「ゆりちゃん、今日も綺麗だね!!」
「ありがとうございます。中川様、お酒をお造り致しますが、いつもので宜しいでしょうか?」
黒服の男が持ってきたおしぼりを広げ、常連客の40代独身商社マンに渡す。
「いつものお願い」
わたしの常連客は現時点で、25人いる。
【蝶々】でNo.3のホステス嬢。
お酒を作って差し上げて、中川様からお酒を一杯頂き、乾杯をする。
中川様のお話を笑顔で伺い、相槌を打つ。
黒服の男がわたしに近づいてきて、わたしの常連客がもう1方来客された事を伝えてきた。
新人のホステスに目線を向け、中川様の相手をお願いし、来店して席に案内されたばかりの会計士をされていらっしゃる50代の佐藤様のところへ向かう。
月・水・金曜日、週3回、わたしは【蝶々】で百合の花のような清楚なホステスとして仕事でお疲れな紳士の心を癒すホステスをしている。
金曜日の深夜。
今日は常連客が訪れず、新規で来られたお客様や先輩ホステスのヘルプに入る。
「百合ちゃん、8番テーブルをお願い」
黒服の男の指示で、8番テーブルに向かったわたし。
「ゆりです。お隣、失礼いたします」
いつもの営業スマイルを浮かべる。
そして、目の前にいた男と目が合い、固まりそうになる。
本業の住宅設備機器会社【TATA】で、営業No.1の同期、如月要(きさらぎ かなめ)がいた。
空吹不動産の御曹司 神崎様とサシ飲みをしに訪れたようだ。
【蝶々】の顧客に、若い御曹司もいる。
神崎様は指名するホステスはいない。
だから、よくホステス達が、神崎様の接客をする座を得る為にバックルームでいざこざが起きている。
若い独身の御曹司とのシンデレラストーリーを夢見てるのだと思う。
遊ばれて終わりと思うわたしは、そのいざこざには入ってない。
「成瀬、新横浜駅側に建築予定のタワーマンションの住宅設備、お前の所に受注するよう話を進めてるから」
「ありがとう、神崎」
2人が和気藹々に話を楽しんでいるから、わたしはお酒を作るタイミングだけ気にかけて、会話には入らない。
こういう空気の時は、会話に入る方が嫌がられる。
「てか、神崎、俺の妹と結婚するって親父が言ってたけどマジか?」
「ああ、今日、逢ってきたよ」
「あいつ、箱入り娘で世間知らずだからさ、兄として、神崎が貰い受けてくれるのはありがたいが、本当に、あれと結婚するの?」
「ああ、前から可愛いなって思ってた。まさか、お前の妹とは思ってなかった。
政略結婚するなら、お前の会社と結びついた方がやりやすいしな」
興味がある話だから、聞き耳を立てる。
神崎様が如月の妹と政略結婚すると言ってる事から、如月がノーリツの御曹司という事になる。
営業成績No.1で、コミュニケーション能力が高くて、愛嬌のあるアイドル系の端整な顔立ちをしてる如月。
勤め先の同期が隠れ御曹司だったという、オートドックスな展開。
社内の女性社員が知ったら、大興奮で、今以上にモテモテになりそうな気がする。
神崎様と如月は、その後は仕事の話をしていた。
今日も麗しきホステスに癒されに、紳士達が訪れる。
「中川様、お逢いでき、とても嬉しいです。お隣失礼致します」
「ゆりちゃん、今日も綺麗だね!!」
「ありがとうございます。中川様、お酒をお造り致しますが、いつもので宜しいでしょうか?」
黒服の男が持ってきたおしぼりを広げ、常連客の40代独身商社マンに渡す。
「いつものお願い」
わたしの常連客は現時点で、25人いる。
【蝶々】でNo.3のホステス嬢。
お酒を作って差し上げて、中川様からお酒を一杯頂き、乾杯をする。
中川様のお話を笑顔で伺い、相槌を打つ。
黒服の男がわたしに近づいてきて、わたしの常連客がもう1方来客された事を伝えてきた。
新人のホステスに目線を向け、中川様の相手をお願いし、来店して席に案内されたばかりの会計士をされていらっしゃる50代の佐藤様のところへ向かう。
月・水・金曜日、週3回、わたしは【蝶々】で百合の花のような清楚なホステスとして仕事でお疲れな紳士の心を癒すホステスをしている。
金曜日の深夜。
今日は常連客が訪れず、新規で来られたお客様や先輩ホステスのヘルプに入る。
「百合ちゃん、8番テーブルをお願い」
黒服の男の指示で、8番テーブルに向かったわたし。
「ゆりです。お隣、失礼いたします」
いつもの営業スマイルを浮かべる。
そして、目の前にいた男と目が合い、固まりそうになる。
本業の住宅設備機器会社【TATA】で、営業No.1の同期、如月要(きさらぎ かなめ)がいた。
空吹不動産の御曹司 神崎様とサシ飲みをしに訪れたようだ。
【蝶々】の顧客に、若い御曹司もいる。
神崎様は指名するホステスはいない。
だから、よくホステス達が、神崎様の接客をする座を得る為にバックルームでいざこざが起きている。
若い独身の御曹司とのシンデレラストーリーを夢見てるのだと思う。
遊ばれて終わりと思うわたしは、そのいざこざには入ってない。
「成瀬、新横浜駅側に建築予定のタワーマンションの住宅設備、お前の所に受注するよう話を進めてるから」
「ありがとう、神崎」
2人が和気藹々に話を楽しんでいるから、わたしはお酒を作るタイミングだけ気にかけて、会話には入らない。
こういう空気の時は、会話に入る方が嫌がられる。
「てか、神崎、俺の妹と結婚するって親父が言ってたけどマジか?」
「ああ、今日、逢ってきたよ」
「あいつ、箱入り娘で世間知らずだからさ、兄として、神崎が貰い受けてくれるのはありがたいが、本当に、あれと結婚するの?」
「ああ、前から可愛いなって思ってた。まさか、お前の妹とは思ってなかった。
政略結婚するなら、お前の会社と結びついた方がやりやすいしな」
興味がある話だから、聞き耳を立てる。
神崎様が如月の妹と政略結婚すると言ってる事から、如月がノーリツの御曹司という事になる。
営業成績No.1で、コミュニケーション能力が高くて、愛嬌のあるアイドル系の端整な顔立ちをしてる如月。
勤め先の同期が隠れ御曹司だったという、オートドックスな展開。
社内の女性社員が知ったら、大興奮で、今以上にモテモテになりそうな気がする。
神崎様と如月は、その後は仕事の話をしていた。
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