Cinderella story 〜天涯孤独なわたしの王子様〜

鳴宮鶉子

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迫られて、押されて

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如月から、母の形見の家族写真が入ったペンダントを取り返すにはどうしたらいいかと悩んでいたら、

「葉瀬、月曜日から営業部へ異動。如月のアシスタントについてくれ」

いきなり、商品企画部の部長に言われた。

「営業部部長が人事部長を通して指示してきたから、拒否できなかった。商品企画部としては戦力がいなくなり、困ってる」

経営部長が困った顔をしていた。

如月が御曹司で、何を目的でなのか、わたしと結婚したいらしく、裏で手を回して、わたしを営業アシスタントにつけた。

仕事に私情を挟まないで欲しい。

金曜日の夜で、今日は歌舞伎町の【蝶々2号店】でホステスの仕事がある。
引き継ぎで遅くなり、着替えは歌舞伎町の高級クラブの控え室にもしものために、予備を2着置いてる。

タクシーで歌舞伎町に向かおうとしたら、乗ったタクシーに如月も乗り込んできた。

「ちょっと、なんで、如月、タクシーに乗り込んでくるの!!」

「同伴してやるんだ、ありがたく思え」

「はっ、何言ってるの?」

「探偵雇って、お前の事を調べた。今、歌舞伎町の【蝶々2号店】で働いてるんだろ?でも、借金、今月で払い終わるんだろ。大学の学費と生活費もかかる中、月に50万円ずつ返済してたなんて、よく頑張ったな」

如月が、わたしの頭に手をポンと置いて、わたしの目を見ながら、優しく微笑んだ。

わたしは、如月に何も言わなかった。
だから、如月もわたしに、それだけ言って、後は、何も言わなかった。

歌舞伎町の【蝶々2号店】に着く。
わたしは格好が格好だから、裏口から入り、着替えて、専属のスタイリストさんに化粧を施して貰い、髪のセットをして貰い、店に出た。

如月はわたしだけを指名し、1人、席に座っていた。

「肩苦しい事はしないで、百合ちゃん。今日は、楽しくお酒を飲もう」

いつもより速いペースで、ロックのブランデーを飲む如月。 

わたしにも飲めと言う。
断れないから、ちびちび飲みながら相手をした。
深夜2時のラストまで如月はいた……。

他のお客様もお帰りになり、完全に呑んだくれた如月の肩を揺すって、起こそうと試みても起きなくて、困る。


「百合ちゃんをアフターしていいですか?」

完全に酔い潰れてる如月。

「葉瀬、何もしないから、家まで送ってくれない。ブランデー、度数きついの忘れてた」

【蝶々2号店】の店長に、本業の同僚と伝え、送っていく名目で、アフターに応じた。

如月はゴールドカードで30万円を一括払いで支払った。

高級クラブの中では良心的な金額らしいけれど、たまげてしまう。
わたしの本業のひと月の給料より多いから……。
如月の住むマンションは、赤坂のオフィスビルから徒歩10分の今流行りの、一階にスーパーと飲食店が入ってる高層マンションの中層階の15階だった。


「葵、これ、覚えてる」

如月が、アルバムを持ってきた。
いきなり、わたしの本当の名前を呼ぶから戸惑ってしまったけれど、アルバムを見て如月が、小さい頃によく遊んでくれたお兄ちゃんだと思い出した。

「もしかして、要くん!!」

「そう、小学校低学年ぐらいまで一緒に遊んでただろ?
俺、お前より4歳年上だから、俺が中学に上がってからは会わなくなったけれど、俺、お前が赤ん坊の頃からお前を知ってて、お前の両親に、大人になったら、お前を嫁にくれってお願いしてた。
だから、俺、お前の両親が亡くなった後に、お前を探してた」

アルバムから目を離し、要くんを見上げた。
昔、わたしの面倒を見てくれた、要くんの横顔と、重なった。





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