執着彼氏と別れるのはいつ?

鳴宮鶉子

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クリスマスデートに別れ話を  1

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『萌花さん、今日は残業禁止ですよね?』

ほぼ在宅勤務な“ヘルシーライフ”。
コアタイムのあるフレックスタイムだから、ミーティングの時間以外はいつでも好きな時間帯に仕事ができる。

「うん、花金のクリスマスイブだからね」

代表取締役社長の私は例外で、社員から仕事に関するメール及び電話がきたら随時対応しないといけない。
コンビニやファミレス、ファーストフードの新商品のカロリー栄養素データの追加登録と、レシピ開発で料理研究家や料理ブローカーさんとミーティングが今取り組んでいる業務。
至急の連絡は滅多にかかってこないけど、今日はかかってきて欲しくないから、残業禁止にした。

午後10時半。帝王ホテル銀座、フレンチレストラン、ソレイユ。
待ち人現れずで1人でクリスマスコースディナーを堪能する。

「……レイボーライオンで待っててって何時間待たせばいいの」

午後9時にレストラン予約を入れてた結翔くん。 
いつもの事だけど、待ち合わせ時間に現れた事はない。
結翔くんが座るはずだった席に冷めたスープやステーキが置かれてる。
せっかくの料理がもったいないと思いつつ、次の予約客がいるからかギャルソンが時間を気にしてる。

最後のコース料理、カフェとプティフールを食べ終えた。
美しい夜景が一望できるVIPルームでスマホを片手に食事をとる。

レストラン内は幸せそうなカップルやファミリーが会話と食事を楽しんでいて、ぼっちな私は孤独感に駆られた。

午後11時45分。レインボーライオンのカウンター席で、甘いカクテルを口に含む。

結翔くんと別れ話をするつもりでいるから、酔い潰れるわけにはいけない。
フレンチレストランでコース料理と共にソムリエが料理に合うワインをグラスに注いでくれた。
口に含むだけにすればいいのに、飲み干してしまい、それだけで酔ってしまってる。

普段お酒を飲まないからか酔いが回るのが速い。

「はっ、部屋で待っててって……」

仕事のキリが悪いのだろう。
年末年始休暇前だから終わらせないといけない仕事はたくさんあると思う。

スマートフォンのカメラに使われるセンサーの開発リーダーをしてる結翔くん。
フルーツやグーグレ、ファーウェンと海外の顧客と仕事をしているから、時差から夜中にかけて問い合わせが殺到するのは仕方がない事。

食事の後に、結翔くんに別れを告げるつもりだった。
結翔くんの仕事の都合に合わせ、いきなり来て、ホテルかお互いのマンションで身体を合わすだけの関係。

私もベンチャー企業の取締役社長をしてる。
仕事柄在宅勤務で時間に都合がつく。
だからといっていつでも逢えて性の捌け口にできると思わないで欲しい。

僅かな時間でいい。
クリスマスイルミネーションで輝いている夜景を一緒に眺め、会話を楽しみながら食事をしたかった。

夜中の2時過ぎにやってきて、眠ってる私の身体を触り、滾った雄の欲望を私の雌の秘部に挿入し、激しく腰を打ちつけ起こすのは辞めて欲しい。
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