執着彼氏と別れるのはいつ?

鳴宮鶉子

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別れるなんて認めない side 結翔 2

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工学部のキャンバスは本郷だが、彼女に一目でも逢いたくて、教養学部がある駒場キャンパスへ足を運んでいた俺。
1年のカルキュラムを調べ、片っ端に講義室を覗きにも行ってた。

「堀田、駒場キャンパスで何をしてるんだ!!」

研究でお世話になっている藤嶋教授に声をかけられ、マズイところを見られてしまったと焦る。
研究をサボって一目惚れした彼女を探すために駒場キャンバスに忍び込んでいるなんて、知られたくない。

「堀田、俺の姪っ子。佐倉萌花。電子情報工学科進学希望。京都から親元離れて出てきて友達もいないから世話してやってくれないか!!」

藤嶋教授の隣に、俺が探していた一目惚れした彼女がいた。

彼女が俺の運命の相手と悟る。

地元の友人が誰もいない、男ばかりの理1に進学した萌花はかなり心細いようだった。

2年間の前期課程の成績で、専攻学部が決まる。
幅広い教養学部の講義を受講しないといけなくて、遊んでいる暇はない。

「これ、参考に。教養課程の2年間、興味ない事を叩き込まれるから地獄だよな」

優上をとった先輩方から教養学課程のレポートを譲って貰い、加筆して提出していた俺。
全て優上トップの成績を残した。

「ありがとうございます!!」

レポート作成で図書館で調べ物をしていた萌花の目の下にはクマがあった。

その疲れた姿さえもが可愛いと思った俺は、彼女にかなりぞっこんだった。

藤嶋教授に頼まれたからと駒場キャンバスに通い、彼女に声をかけ、勉強を見てあげたり一緒にご飯を食べに行った。
GWに帰省をしないという彼女と都内中心に関東圏を観光した。

伊豆の恋人岬、江ノ島の龍恋の鐘と彼女と恋人関係になりたい俺は下心しかない観光地へ連れ出す。

彼女に言い寄る男が多く、俺もそうだから告白する勇気がなく、恋人同士に慣れたのは彼女がストーカー被害に遭い助けに入ったのがきっかけだった。

今になって思う。
俺の方がその男よりも重度なストーカーだったと思う。

夏休み直前の出来事で、傷心して地元に帰った彼女。
京都にある任天社に修行を兼ねてのバイトに入り、それを口実に毎日彼女と会って、週末に関西を案内して貰い、彼女との絆を深めた。

****

「総括部長、フルーツのアントニー・
ロバーズさんからテレビ電話入りました」

彼女との想い出に浸っていたら思っていたより早く、無理難題押し付けてきたアントニーからテレビ電話がかかってきた。

「結翔、Thank you、OK。それで頼むよ。ハッピークリスマス、エンジョーイして下さい!!」

設計書を送ってすぐに対応してくれたアントニー。
時差が-17時間で3歳の息子がいるアントニーはクリスマスイブの夜は家族と過ごしたいと言っていたから、前夜は泊まり込みで仕事をしていたらしい。

アメリカは日本よりもクリスマス文化を大切にしてる。

午後1時半。残業している社員に仕事を中断させ、休日出勤は禁止と伝え、退社させ、萌花が待つ帝王ホテル銀座に向かった。

2週間ぶりに彼女に逢える事が嬉しかった。

今週末は今のところ、仕事で呼び出しを喰らう案件はない。

必死に調整した。

大企業の総括部長という立場から、自由が効かない。

萌花に逢いたくても逢えない。

俺はこのクリスマスに、彼女にプロポーズして彼女と結婚して、彼女に俺が住むマンションに越させようと考えてた。


「……はっ、萌花、俺と別れるって」

午前2時に帝王ホテル銀座の予約していたデラックススイートの部屋に着いた。

ベッドで眠ってると思っていた萌花がいなくて、枕の上に薄桃色の桜の花びらがあしらわれた便箋が置いてあった。

中を開けると1度も使われた事がない俺のマンションの合鍵と手紙が同封されていた。

“お互い別々の人生を歩もう。
大学時代に結翔くんと出会って過ごした時間は幸せで楽しかった。
今までありがとう。

佐倉萌花”

クリスマスイブディナーをすっぽかしたせいなのか、でもLINEメッセージは入れた。
萌花は俺の置かれている立場を理解してくれていていた。

「……もしかして、萌花、俺以外の男と付き合ってる」

居ても立っても居られなく、ホテルをチェックアウトして、萌花のマンションに向かう。

合鍵で中に入る。
玄関に男物の靴はない事にほっとするも、萌花が外泊していないかもとしれないと不安に駆られ、恐る恐る寝室に向かう。

萌花はセミダブルのベッドにいつも通りシャツワンピースを着て眠っていた。
目元を見ると紅く腫れていて、泣き腫らした痕があった。

「萌花……、寂しい想いをさせてばかりですまない」

別れの手紙を渡されたが、俺は萌花と別れたくない。
眠る萌花のベッドに入り込み、萌花を抱きしめ俺も眠りについた。

この1週間、仕事に終われてまともに眠れていない。

萌花の甘い香りと柔らかい感触に癒され、彼女を絶対に手放せないと思った。

彼女は俺にとって、かけがえのない存在。

彼女を失いたくなかった。
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