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プロローグ
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早朝5時に母に叩き起こされ、連れてかれたのは、京都駅側にある格式高いホテル。
寝ぼけ頭に、ユニシロの長袖キャラクターとブラックの楽なルームズボン姿で中に連れ込まれ、身ぐるみ剥がれて着させられたのは、ウェストがギュッと絞られたプリンセスラインのウェディングドレス。
背中が丸見え、オフショルダーから胸の谷間も丸見え、前の脚も丸見え、だけどたっぷりとボリュームのある純白のティアードドレスだから、清楚なシルエットになってる。
「心愛はスリムだけど出るとこ出てるから、このドレスを着こなせてよかった!!一生に1度の結婚式だからね。雅輝くんがどうしても着せないっていうから、ひやひやしてたのよ」
私を置いてどこかに行っていた父と母が、仕立てのいいモーニングと最高級京友禅黒留袖を身に纏って、ブライズルームと思われるこの部屋に入ってきた。
「ーーお母さん、どういうこと?なんで私、こんな所に連れてこられて、ウェディングドレスを着させられてるの?」
丁寧にメイクを施され、茶色かかったふんわりてんぱの長い髪をサイドで編み込まれ、スタッフにお姫様ディアラとベールを着けられた。
「膨れっ面しないの。雅輝くんがサプライズで結婚式をして入籍したいっていうから、そうしたの」
「……はっ、雅輝って!?」
「幼馴染で心愛が長くお付き合いしていた愛しの恋人 土屋雅輝くんよ!!」
「藤宮様、お時間です」
「心愛、行こうか。雅輝くんが待ってる!!」
感慨深そうに私を見つめる父に手を掴まれ、引っ張られるようにチャペルへ連れてかれる。
「……私、結婚なんてしたくない!!」
「心愛と結婚するために、雅輝くんは優秀な外科医になって戻ってきたんだ!!」
「ーーはっ!?」
「個人の総合病院が大学病院と肩を並べ、優秀な外科医が必要なんだ!!雅輝くんは私が求めていたレベル以上の技術を身につけた。ーー心愛、藤宮総合病院を経営存続させるために、大人しく雅輝くんと結婚しなさい!!」
チャペルの前に到着するし、母が私の顔にベールを下げると、スタッフによって両隣の戸が開かれた。
チャペル内には親族と藤宮総合病院に勤務しているドクターと看護師長達がいた。
父に肘を差し出され、仕方なく、自分の手をそこに添え、パイプオルガンの厳かな音色が響く中、壁面のステンドグラスから差し込む幻想的な光に照らされながら、祭壇の前にいる白いタキシード姿の花婿のところへ向かう。
長身でシャープな輪郭に目鼻が整った端正な顔立ちをした雅輝。
サイドに流した黒髪にシルバーフレームの眼鏡をかけた彼は、知的な雰囲気を醸し出してる。
「汝、健やかなるときも、辞めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、褒め合い、ともに助け合い、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
流暢に日本語を話す青い瞳をした牧師さんの問いかけに、『嫌です!!』と答えたいのをぐっと堪え、雅輝が「はい」と答えた後に、声のトーン低めに、私も「はい」と誓約をした。
寝ぼけ頭に、ユニシロの長袖キャラクターとブラックの楽なルームズボン姿で中に連れ込まれ、身ぐるみ剥がれて着させられたのは、ウェストがギュッと絞られたプリンセスラインのウェディングドレス。
背中が丸見え、オフショルダーから胸の谷間も丸見え、前の脚も丸見え、だけどたっぷりとボリュームのある純白のティアードドレスだから、清楚なシルエットになってる。
「心愛はスリムだけど出るとこ出てるから、このドレスを着こなせてよかった!!一生に1度の結婚式だからね。雅輝くんがどうしても着せないっていうから、ひやひやしてたのよ」
私を置いてどこかに行っていた父と母が、仕立てのいいモーニングと最高級京友禅黒留袖を身に纏って、ブライズルームと思われるこの部屋に入ってきた。
「ーーお母さん、どういうこと?なんで私、こんな所に連れてこられて、ウェディングドレスを着させられてるの?」
丁寧にメイクを施され、茶色かかったふんわりてんぱの長い髪をサイドで編み込まれ、スタッフにお姫様ディアラとベールを着けられた。
「膨れっ面しないの。雅輝くんがサプライズで結婚式をして入籍したいっていうから、そうしたの」
「……はっ、雅輝って!?」
「幼馴染で心愛が長くお付き合いしていた愛しの恋人 土屋雅輝くんよ!!」
「藤宮様、お時間です」
「心愛、行こうか。雅輝くんが待ってる!!」
感慨深そうに私を見つめる父に手を掴まれ、引っ張られるようにチャペルへ連れてかれる。
「……私、結婚なんてしたくない!!」
「心愛と結婚するために、雅輝くんは優秀な外科医になって戻ってきたんだ!!」
「ーーはっ!?」
「個人の総合病院が大学病院と肩を並べ、優秀な外科医が必要なんだ!!雅輝くんは私が求めていたレベル以上の技術を身につけた。ーー心愛、藤宮総合病院を経営存続させるために、大人しく雅輝くんと結婚しなさい!!」
チャペルの前に到着するし、母が私の顔にベールを下げると、スタッフによって両隣の戸が開かれた。
チャペル内には親族と藤宮総合病院に勤務しているドクターと看護師長達がいた。
父に肘を差し出され、仕方なく、自分の手をそこに添え、パイプオルガンの厳かな音色が響く中、壁面のステンドグラスから差し込む幻想的な光に照らされながら、祭壇の前にいる白いタキシード姿の花婿のところへ向かう。
長身でシャープな輪郭に目鼻が整った端正な顔立ちをした雅輝。
サイドに流した黒髪にシルバーフレームの眼鏡をかけた彼は、知的な雰囲気を醸し出してる。
「汝、健やかなるときも、辞めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、褒め合い、ともに助け合い、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
流暢に日本語を話す青い瞳をした牧師さんの問いかけに、『嫌です!!』と答えたいのをぐっと堪え、雅輝が「はい」と答えた後に、声のトーン低めに、私も「はい」と誓約をした。
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