1 / 17
プロローグ
しおりを挟む
度重なる訂正依頼に怒りの感情が沸き立つ。
他のメンバーだと無言で訂正を入れて終わらすのに、私にだけは納得するレベルに達するまでひたすら“やり直し”とメールしてくる。
「ママ、今日も寝れないの?」
「鬼からやり直しってメールがきたからね。翔琉が寝つくまではいるから、安心して」
5歳になる愛息子の翔琉をぎゅっと抱きしめ、寝かしつける。
愛おしくて堪らない存在。
ぐっすりと眠る彼を見守りながら、寝室に置いてあるパソコンを立ち上げ、真っ暗な中、仕事を始める。
「ビックリするぐらい、似てきたな」
鼻筋が通った二重瞼の切れ長な瞳。
端正な顔立ちは鬼と瓜二つ。
「父親だから、似ていて当然だよね」
鬼畜な仕事を押し付けてくるアメリカ本社から出向してきた部長は、私の元彼だ。
「私の事、浮気女だと思ってるもんね」
彼が私にだけキツい態度をとるのは、多感な思春期に長く付き合っていた恋人だったから。
浮気なんかしてない。
だけど、アメリカに留学している彼に誤解を解く事ができず、破局してしまった。
翔琉を見てると、鬼化する前の彼の事を思い出し、涙が溢れてくる。
「翔琉がいるから大丈夫。過去は忘れよう」
明日の午前6時までに訂正箇所を直してメールで送信しないといけない。
徹夜仕事になる。
他のメンバーだと無言で訂正を入れて終わらすのに、私にだけは納得するレベルに達するまでひたすら“やり直し”とメールしてくる。
「ママ、今日も寝れないの?」
「鬼からやり直しってメールがきたからね。翔琉が寝つくまではいるから、安心して」
5歳になる愛息子の翔琉をぎゅっと抱きしめ、寝かしつける。
愛おしくて堪らない存在。
ぐっすりと眠る彼を見守りながら、寝室に置いてあるパソコンを立ち上げ、真っ暗な中、仕事を始める。
「ビックリするぐらい、似てきたな」
鼻筋が通った二重瞼の切れ長な瞳。
端正な顔立ちは鬼と瓜二つ。
「父親だから、似ていて当然だよね」
鬼畜な仕事を押し付けてくるアメリカ本社から出向してきた部長は、私の元彼だ。
「私の事、浮気女だと思ってるもんね」
彼が私にだけキツい態度をとるのは、多感な思春期に長く付き合っていた恋人だったから。
浮気なんかしてない。
だけど、アメリカに留学している彼に誤解を解く事ができず、破局してしまった。
翔琉を見てると、鬼化する前の彼の事を思い出し、涙が溢れてくる。
「翔琉がいるから大丈夫。過去は忘れよう」
明日の午前6時までに訂正箇所を直してメールで送信しないといけない。
徹夜仕事になる。
59
あなたにおすすめの小説
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる