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鬼部長と息子
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『永倉、今日もリモートか。やる気あるのか!!』
ホワイト企業で名高い外資系企業、Googloに就職して4年目。
エンジニアリングの部署に配属され、現在、アメリカ本社から出向してきた部長の元、日本版のGoogloMAPの開発に取り組んでいる。
「やる気はありますが、出社したくないです」
出社なんかしたら、強制的残業で家に帰れなくなる。
シングルマザーで5歳の息子を育てるから、出社だけはなるべくしたくない。
『恵比寿駅から徒歩5分圏内に住んでるんだろ。近くに住んでるんだから出社しろよ!!』
朝のリモートミーティング。
ノートパソコンの画面にビシッと仕立てのいいスーツに身を包んだ葛城部長が鬼の形相で映っていて、出社しろと脅してくる。
「フルリモートで雇用契約結んでますし、強要しないで下さい」
IT企業なのもあり、リモートワークの環境は整っている。
部署の大半の社員がリモートで勤務していて、私だけ名指しで出社を強要されるのはおかしな事だ。
それに、今日は出社できない理由がある。
「……ママ、どこ!?」
『はっ、永倉、お前、独身のはずなのに子供がいる……』
寝室で寝ていた翔琉が仕事部屋に入ってきて、ノートパソコンの画面を覗きにきた。
ノートパソコンに取り付けてあるWEBカメラ。
葛城部長のノートパソコンの画面に自分そっくりの顔立ちをした翔琉が鮮明に映り出されているだろう。
「ママをいじめてる鬼だ!!」
私の膝に座り、ノート型パソコンの画面を指差す翔琉。
葛城部長は思考が停止して、動作が固まり黙り込んでいる。
『……君、名前は?何歳?誕生日はいつ?』
「永倉翔琉、5歳。誕生日は3月15日!!」
葛城部長のハイテク過ぎる頭の中の電卓で、翔琉ができたと思われる日を計算してると思われる。
葛城部長と別れてから4ヶ月後に交換留学先のアメリカで妊娠に気づいた。
留学でバタバタしていたのもあり、妊娠20週まで気づかなかった。
彼の子を堕す事ができず、産んで育てる事にした。
留学先のホストファミリーが良い人で、子育てに協力してくれたから大学に通いながら育てる事ができた。
「ママ、また鬼部長にいじめられたの?」
小さい子供は思ってる事をすぐに口にする。
ノートパソコンの画面に小さく映っているグループメンバーは必死に笑いを堪え、鬼扱いされている葛城部長は目を見開き固まっている。
「息子が熱を出して幼稚園を休ませたので今日は出社は無理です。仕事はできます。ご配慮頂けたら有難いです」
小さな息子がいる事を隠し通す事は不可能。
瓜二つな翔琉の姿と授かった日がわかっても、浮気女と罵って私と別れたのもあり、葛城部長は自分の血をひく息子だとは認めないだろう。
認知は求めていない。
シングルマザーで翔琉を育てると覚悟を決めてるから。
恨みを晴らすかのごとく仕事でイビってくるのだけは辞めて欲しかった。
「翔琉、朝ごはん、食べれる?」
「うん」
「卵がゆ作ってくるから待ってて」
朝のミーティングが終わり、翔琉に遅い朝食を食べさせる。
翔琉の乱入で葛城部長の思考回路が停止したのもあり、復旧してからも必要最低限の仕事の指示だけで終わった。
翔琉を気にしてなのか、いつもみたいに鬼電をかけてくる事もなく、平和な1日を遂げようとしていた。
ホワイト企業で名高い外資系企業、Googloに就職して4年目。
エンジニアリングの部署に配属され、現在、アメリカ本社から出向してきた部長の元、日本版のGoogloMAPの開発に取り組んでいる。
「やる気はありますが、出社したくないです」
出社なんかしたら、強制的残業で家に帰れなくなる。
シングルマザーで5歳の息子を育てるから、出社だけはなるべくしたくない。
『恵比寿駅から徒歩5分圏内に住んでるんだろ。近くに住んでるんだから出社しろよ!!』
朝のリモートミーティング。
ノートパソコンの画面にビシッと仕立てのいいスーツに身を包んだ葛城部長が鬼の形相で映っていて、出社しろと脅してくる。
「フルリモートで雇用契約結んでますし、強要しないで下さい」
IT企業なのもあり、リモートワークの環境は整っている。
部署の大半の社員がリモートで勤務していて、私だけ名指しで出社を強要されるのはおかしな事だ。
それに、今日は出社できない理由がある。
「……ママ、どこ!?」
『はっ、永倉、お前、独身のはずなのに子供がいる……』
寝室で寝ていた翔琉が仕事部屋に入ってきて、ノートパソコンの画面を覗きにきた。
ノートパソコンに取り付けてあるWEBカメラ。
葛城部長のノートパソコンの画面に自分そっくりの顔立ちをした翔琉が鮮明に映り出されているだろう。
「ママをいじめてる鬼だ!!」
私の膝に座り、ノート型パソコンの画面を指差す翔琉。
葛城部長は思考が停止して、動作が固まり黙り込んでいる。
『……君、名前は?何歳?誕生日はいつ?』
「永倉翔琉、5歳。誕生日は3月15日!!」
葛城部長のハイテク過ぎる頭の中の電卓で、翔琉ができたと思われる日を計算してると思われる。
葛城部長と別れてから4ヶ月後に交換留学先のアメリカで妊娠に気づいた。
留学でバタバタしていたのもあり、妊娠20週まで気づかなかった。
彼の子を堕す事ができず、産んで育てる事にした。
留学先のホストファミリーが良い人で、子育てに協力してくれたから大学に通いながら育てる事ができた。
「ママ、また鬼部長にいじめられたの?」
小さい子供は思ってる事をすぐに口にする。
ノートパソコンの画面に小さく映っているグループメンバーは必死に笑いを堪え、鬼扱いされている葛城部長は目を見開き固まっている。
「息子が熱を出して幼稚園を休ませたので今日は出社は無理です。仕事はできます。ご配慮頂けたら有難いです」
小さな息子がいる事を隠し通す事は不可能。
瓜二つな翔琉の姿と授かった日がわかっても、浮気女と罵って私と別れたのもあり、葛城部長は自分の血をひく息子だとは認めないだろう。
認知は求めていない。
シングルマザーで翔琉を育てると覚悟を決めてるから。
恨みを晴らすかのごとく仕事でイビってくるのだけは辞めて欲しかった。
「翔琉、朝ごはん、食べれる?」
「うん」
「卵がゆ作ってくるから待ってて」
朝のミーティングが終わり、翔琉に遅い朝食を食べさせる。
翔琉の乱入で葛城部長の思考回路が停止したのもあり、復旧してからも必要最低限の仕事の指示だけで終わった。
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