認知しろとは言ってない〜ヤンデレ化した元カレに溺愛されちゃいました〜

鳴宮鶉子

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鬼部長がやってきた

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「ママ、お腹すいた」

「もうこんな時間か。夕ご飯にするね」

徹夜でやり直したGoogloマップの新規追加コンテンツ。
午前4時にデータ送信後にご飯の下拵えと作り置きおかずを作っておいた。

「翔琉、ハンバーグとマカロニサラダ、食べられる?」

「うん。お熱下がったから食べられる」

朝方、38.5℃の熱を出した翔琉。
幼稚園を休ませ家でゆっくりさせてたら夕方には下がり、食欲も出たようだ。

急いでハンバーグを焼き、マカロニサラダと茹でたブロッコリーを皿に添え、ワンプレート皿に盛り付ける。
ハンバーグを焼いた汁でデミグラスソースを作ってかけたら完成。
同時進行で玉ねぎとわかめと絹豆腐の味噌汁も作った。

ピンポーン

翔琉と夕食を食べようとしたらインターフォンが鳴り、モニターを確認する。

「……葛城部長、なにか御用ですか!!」

「子供が熱を出してるんだろっ!!アイスとか買ってきたから、開けてくれ!!」

「えっ!!は、……はい」

午後7時45分。
いつもなら仕事をしている時間。
管理職だから早朝から深夜までオフィスに居座って仕事をしている葛城部長。

「わざわざすみません」

「息子の容態はもう大丈夫なのか?」

「は、はい。熱は下がって食欲もあるので大丈夫です」

両手に買い物袋を4つ下げて現れた葛城部長。
ポカリスエットの500mlのペットボトルが6本にアイスやフルーツ、ゼリーをどっさり買ってきてくれた。

「お金払います。いくらかかりました?」

「お金はいい。息子体調が良くなって、安心した」

朝のミーティング時に鬼扱いされたのに、葛城部長は翔琉の病状を心配してくれていた。

「ママ、ご飯、冷めちゃうよ!!早く食べよう!!あっ、鬼部長だ!!」

ダイニングで待たせていた翔琉が玄関に来てしまった。

「翔琉にって葛城部長がアイスとか買ってきてくれたんだよ。鬼部長って言ったらダメ。御礼言いなさい」

「ありがとうございます、葛城部長」

私の足にしがみつき、葛城部長を見上げてる翔琉。
葛城部長は翔琉の姿をじっと見つめていた。

「ママ、お腹空いた」

「そうだね、待たせてごめんね。葛城部長、夜ご飯まだすませていらっしゃらなかったらウチ食べていきません?こんなに買ってきて頂いたのでせめてのお返しで」

葛城部長は私が作るハンバーグとマカロニサラダが好物だった。

「いいのか」

「はい。多めに作ってるので大丈夫です」

リビングダイニングに葛城部長を通す。

「先に翔琉と食べてて下さい」

冷めてしまったけど、用意していた私の分のハンバーグプレートとお味噌汁を食べて貰う。

「ママのは?」

「あるから大丈夫」

作り置きのハンバーグとマカロニサラダとブロッコリーを皿に盛り付けて、私もダイニングテーブルにつく。

「葛城部長、おかわりはいかがですか?ハンバーグもマカロニサラダもまだあります」

「ありがとう。頂く」

目の前に座っている翔琉が箸を使って食べてる姿を見ながら、こぶし大のハンバーグ3個とマカロニサラダお茶碗1杯分でご飯3杯食べた。


「また、来ていいか」

「えっ!?」

食事を終えたら翔琉をお風呂に入れて寝かしつける時間。
それを察して葛城部長はすぐにお暇してくれた。
だけど、玄関に見送った時にとんでもない事を言い出した。

「翔琉、俺の息子なんだろ。会わせて欲しい。認知して責任を取らせて欲しい」

まさかの提案に戸惑いしかない。
だけど、

「認知しないでいいです。私が勝手に産んで育ててるんですから責任を感じなくていいです。翔琉には父親は死んだ事にしてるので、父親らしい事をされたら困ります」

シングルマザーで翔琉を育てると妊娠に気づいた時に心の中で決断した。

「子供に父親は必要だ。知ってしまった以上、俺は翔琉の父親を務める。また、来る」

翔琉に聞かれたらマズい話。
葛城部長はそう言い放つと帰っていった。
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