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野獣御曹司の餌にされそう
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「……辻井さん、瀬崎ゼネラルマネージャー、GW明けから気が立ってて怖いんですけど。同棲始めたんですよね?喧嘩ですか?仕事に響くから我慢して下さいよ!!」
医療機器事業開発部メンバー全員が、次期社長の創真さんのご機嫌を伺ってる。
オメガルで仕事をしながら、関西地区の総合病院でのオペとオンラインオペをして創真さんは多忙だ。
就寝前と就寝後の僅かな時間に楽しんでた憩いのアイテムを没収され、不機嫌極まりない。
仕事もオペも完璧にこなしてはいる。
でも、将生兄も言ってたけどオペの後は興奮してやりたくなると。
彼女がいるのに寝室にあるお人形を抱いてる滑稽な兄に対し、失望してる。
8歳違うけど、将生兄が高校から初期研修医までの11年間、女性と遊んでいたのは知ってる。
うちに連れ込む事はなかったけど、自宅通いでたまにクイズ番組に出演とかしてたからホテルに女性を連れ込むぐらいは稼いでた。
創真さんも絶対に女遊びが激しかったと思う。
卑猥なお人形を開発するぐらいだから、性欲は強いはず。
「結芽、来週のサージカルインテリジェンス本社への出張だけど、準備できてる?」
開発したのは鉗子と内視鏡カメラ。
天才外科医の創真さんが監修した鉗子は使い心地最高なはず。
人間の目で見るよりも拡大された視野を立体的な3D画像で得ることができ狭い空間で精密な作業を正確に行うことができるよう開発された内視鏡カメラも自信がある。
「オリパスも内視鏡カメラで提携を目論んでるって。手術支援内視鏡ロボット本体の開発は無理だと諦めたみたいだな」
AIシステムはうちがサージカルインテリジェンスと契約してる。
内視鏡カメラに関してはオリパスが歴史も技術は上。
「うちは癌や疾患部を探知するシステムを組み込んでる。画像数や綺麗さでは少し劣るかもしれないが勝てる」
オリパスから転職してきたのもあり、内視鏡カメラの開発を全面的に任されてた。
医師免許を持たない医学知識を学んでいない私だけど、画像診断システムを創真さんと将生兄と父に教わり、設計した。
オリパスで手がけようとして準備していた内視鏡カメラシステム。
どういう仕様にしたいかについては遼佑に話していたけど、計画だけで開発には至ってなかった。
医学的データ収集をしてる段階で退職し、その資料は全て削除して持ち出した。
また遼佑さんとたぶん通訳で同行する真中愛里さんと顔を合わせないといけないと思うと気が重い。
今回は創真さんと2人で前夜祭でパーティーも行われるらしく、できるなら出席したくなかった。
アメリカ合衆国カリフォルニア州サニーベール、サージカルインテリジェンス本社側にある格式高いホテル最上階にあるホール。
「創真さん、サージカルインテリジェンス本社には何度か来られた事あるんですか?」
「いや、ずっとマサチューセッツ総合病院にいて、サージカルインテリジェンスの開発技術者が定期的にデータを取りにきて話すぐらいだったな」
サージカルインテリジェンスの社員といつもオンラインオペの依頼をしてくる病院関係者が創真さんのところに次々と挨拶にくる。
婚約者として挨拶に連れ回されてるから、左薬指にハリーヴィストンのダイヤがふんだんに使われてる指輪をはめられ、創真さんにエスコートされて会場内を歩く。
「挨拶もそこそこ終わったし食事を楽しもうか」
ビュッフェスタイルで豪勢な料理が何種類も並んでいて、1枚の皿にオードブルとメインを5種類、少しずつ盛り付ける、
「創真さん、ステーキとローストビーフを山盛りに盛らないで下さい。恥ずかしいです」
シャンパングラスを取り、テーブルへ移動して創真さんに小声で注意するも、「食べれる時に食べとかないと身体が持たない」と言われ、聞く耳持たない。
「結芽、そのドレス、似合ってる」
ドレスコートがあるからとハイブランドアパレルショップに連れていかれ、ベルベットの深い紫色のイブニングドレスをチョイスされた。
イブニングドレスは肌を露出させるほどフォーマルとされてる。
胸元や背中が大きく開いたワンピースでくびれがもろにわかるデザインのドレスを着させられ、かなり恥ずかしい。
「結芽のドレスアップした姿をみながら、料理とワインを味わえるなんて、俺は幸せだ」
立食パーティでは、食べ放題、飲み放題のバイキングとは違い、料理より会話が大切な、交流の輪を広げることが目的なのに、後半はずっと立食コーナーにいた。
料理を取りテーブルで食事をしてる時はお話がしたい相手がいても、挨拶だけするのがマナー。
だから、周りを気にせず、創真さんと美味しい料理とデザートをゆっくり楽しんだ。
「……結芽」
満腹で流石にデザートは2回も取りにいけなくて、テーブルでシャンパンを飲みながら創真さんを待っていたら、遼佑に声をかけられてしまった。
「ご無沙汰しております。東條専務。今日は婚約者の真中愛里さんは同伴されてないんですか?」
パートナーを同伴して出席する人が多いパーティーなのに、遼佑は1人だった。
「愛里はメディカルスクール時代の友人と久しぶりに会って話してる」
ハーバードメディカルスクールを卒業したのに愛里さんは医者にはならなかった。
アメリカでとんでもない医療ミスを何度も犯したらしく、東京大学医学部で教授をされてる父親に医師の素質がないとならせて貰えなかったらしい。
「オリパスを辞めてオメガルにいくは思わなかった」
「今までの経験と学びが活かせるのはオメガルだから」
「俺への当て付けじゃないの?オメガルの御曹司で天才外科医、天才発明家っていわれてる瀬崎創真と婚約して。もしかして、うちの腹腔鏡カメラの開発情報を流して婚約に持ち込んだんじゃないだろうな」
「オリパスでの開発データは持ち出してない」
遼佑の役に立ちたくて、医療機器分野の開発に関しては暗記しちゃうぐらい勉強をした。
持ち出してはいないけれど、記憶してる。
とはいえ、カメラや顕微鏡分野で最大手のオリパスの技術には設備的に近づけるのは不可能。
画質ではなく探索画像処理システムを搭載する事で疾患部を見つけ、どこまでの範囲をオペしないといけないかを知らせる機能をつけた。
これはオリパスで私がしようとした事で願望として遼佑には話していたけど、実現は無理だと思われ、水面下で取り組んでた。
そのデータに関しては私が取り組んだ事だからオリパスの開発データではない。だから、全て削除し持ち出しても問題ない。
「俺の婚約者に言いがかりつけるの辞めてくれませんか」
戻ってきた創真さんが、右手で持っていたてんこ盛りのケーキがのった皿をテーブルに置き、私の前にきて、遼佑を睨みつけた。
「オリパスとうちでは求めている方向性が違う。だから、オリパスの開発データはうちは必要ない。結芽は俺の親友の妹で、俺が心底惚れて婚約者に選んだ。オリパスのデータごときで婚約者に選ぶとか、ないだろ」
多少なりカメラの機能向上にオリパスで得た知識は役だった。
でも、それは経験で得た知識で情報流用じゃない。
「あっ、東條さん。貴方の婚約者、東大病院の有田先生と仲良さそうにしてましたがほっといていいんですか?」
「……失礼します」
真中愛里さんは、妻子持ちの有田先生と親しそうにワインを飲んでた。
明日、各医療機器メーカーが試作の部品をダビンチに搭載してデモンストレーションでオペをする。
オメガルはもちろん創真さんが執刀する。オリパスは東京大学病院の消化器外科医を連れてきてた。
「オリパスには負けない。明日、インパクト重視のオペを2つやる。だから、うちが選ばれるに決まってる。結芽、あいつと仕事で絡みあったのか?」
「大学時代のゼミの先輩で、元上司だった。東條専務、経営でなく開発の人なんです。かなりお世話になってた」
「結芽、あいつと付き合ってただろう。中途半端な時期に仕事を辞めて京都に帰ってきたの、あいつから婚約者がいると打ち明けられたからか?ちょうど真中がメディカルスクールを卒業して日本に戻ってくる時期と重なる。あいつを見る目が切な気だし、遊びで結芽に手を出したなんて、許せねぇ」
遼佑が去り、山盛りケーキをハイペースで口に入れる創真さん。
カッコいいと胸キュンするシーンなのに、山盛りケーキ爆喰いで台無し。
「オリパスを倒産させたいぐらい、腹が立つ。結芽を抱いた罪はそれぐらい重い……」
ボソリととんでもない発言をし、絶句する。
なんで、変態の域まで創真さんが私を執着し溺愛するのか、理由がわからない。
全室suite roomのホテル。
キングサイズのベッドで創真さんと寝ないといけなくて、明日のオペを理由に抱きしめられ寝るはめになり、創真さんは熟睡していたけれど、私は一睡もする事ができなかった。
世界各国から医療機器メーカーが集まり、15台のダビンチを使用して公開オペ行い、実際にその部品を使用して性能をサージカルインテリジェンスの重役と病院関係者に見て頂く。
63のメーカーが参加して65件のオペが行われる中、創真さんの難易度が高い心臓手術と癌のオペの2件に関して、会場にいる医療関係者全員が騒ついた。
ステージⅣの食道、胃、大腸に癌のある患者さんの体内の胃から、体内に鉗子と内視鏡カメラを入れる。
全身癌に近い患者さんだから、他の臓器にも癌が転移してる。疾患部の切除手術を完璧に終わらせた後、画像処理診断システムで転移した小さな癌細胞を見つけて初期に焼き切る方法で治療した。
心臓手術に関しては難易度ランキングNo.1の、誕生してまもない男の子の先天性心疾患に対してのPDA手術とASD閉鎖術、肺動脈弁切開術などを行い、成長を伴う心臓だから最低限の縫合で手術を終えた。
「デモンストレーションで超難関オペを行うなんて」と非難めいた言葉もかけられたけど、短時間に成功させた事で大きな歓声と称賛に変わった。
『結芽、オペが成功して鉗子と内視鏡カメラの両方が採用されたらさ、抱かせて』
如何わしいお人形と隠し撮り写真を没収され、私以外には発情しないと言い張ってる創真さんは狂気なほどに欲情していて野獣化してる。
私が遼佑と付き合ってた事を知り、それに関して暴かれただけで過去の事だからとやかくは言われなかったけど許せないのか、公開オンラインデモンストレーションオペに行く前にとんでもない事を耳元で囁かれてしまった。
全ての公開オンラインデモンストレーションオペが終わった後に行われた後夜祭の最後。
サージカルインテリジェンス会長から、製品化する部品が読み上げられ、うちの鉗子と内視鏡カメラも両方とも採用されてしまった。
かなり難しいオペを2件執刀し成功させても、単価が他のメーカーよりも高額だから難しいと思った。
それが、鉗子も内視鏡カメラの両方が採用されてしまい、貞操の危機に脅かされてしまった。
「結芽、約束通り、今日の夜、抱かせてね。このドレスを脱がせられるなんて、本当に嬉しい」
ダビンチの部品として採用された事でなく、私を抱けると思い、創真さんはガッツポーズをした。
手術前に独りよがりに私の耳元で言い放ち逃げていったから、この約束は無効にしていいのではと思う。
今日のドレスも露出度が高め。
上品な光沢のあるシルク素材の藍色の華やかなドレスで、胸元と背中は開いてる。
シフォンなどの素材で透け感があり、スカートの前が短いタイプで膝上から脚が見えている。
後夜祭中、創真さんは獲物を見る目を私を見つめてた。
ひたすらレアに近いステーキを咀嚼していて、ホテルの部屋に入るなり襲われる気がしてならなかった。
医療機器事業開発部メンバー全員が、次期社長の創真さんのご機嫌を伺ってる。
オメガルで仕事をしながら、関西地区の総合病院でのオペとオンラインオペをして創真さんは多忙だ。
就寝前と就寝後の僅かな時間に楽しんでた憩いのアイテムを没収され、不機嫌極まりない。
仕事もオペも完璧にこなしてはいる。
でも、将生兄も言ってたけどオペの後は興奮してやりたくなると。
彼女がいるのに寝室にあるお人形を抱いてる滑稽な兄に対し、失望してる。
8歳違うけど、将生兄が高校から初期研修医までの11年間、女性と遊んでいたのは知ってる。
うちに連れ込む事はなかったけど、自宅通いでたまにクイズ番組に出演とかしてたからホテルに女性を連れ込むぐらいは稼いでた。
創真さんも絶対に女遊びが激しかったと思う。
卑猥なお人形を開発するぐらいだから、性欲は強いはず。
「結芽、来週のサージカルインテリジェンス本社への出張だけど、準備できてる?」
開発したのは鉗子と内視鏡カメラ。
天才外科医の創真さんが監修した鉗子は使い心地最高なはず。
人間の目で見るよりも拡大された視野を立体的な3D画像で得ることができ狭い空間で精密な作業を正確に行うことができるよう開発された内視鏡カメラも自信がある。
「オリパスも内視鏡カメラで提携を目論んでるって。手術支援内視鏡ロボット本体の開発は無理だと諦めたみたいだな」
AIシステムはうちがサージカルインテリジェンスと契約してる。
内視鏡カメラに関してはオリパスが歴史も技術は上。
「うちは癌や疾患部を探知するシステムを組み込んでる。画像数や綺麗さでは少し劣るかもしれないが勝てる」
オリパスから転職してきたのもあり、内視鏡カメラの開発を全面的に任されてた。
医師免許を持たない医学知識を学んでいない私だけど、画像診断システムを創真さんと将生兄と父に教わり、設計した。
オリパスで手がけようとして準備していた内視鏡カメラシステム。
どういう仕様にしたいかについては遼佑に話していたけど、計画だけで開発には至ってなかった。
医学的データ収集をしてる段階で退職し、その資料は全て削除して持ち出した。
また遼佑さんとたぶん通訳で同行する真中愛里さんと顔を合わせないといけないと思うと気が重い。
今回は創真さんと2人で前夜祭でパーティーも行われるらしく、できるなら出席したくなかった。
アメリカ合衆国カリフォルニア州サニーベール、サージカルインテリジェンス本社側にある格式高いホテル最上階にあるホール。
「創真さん、サージカルインテリジェンス本社には何度か来られた事あるんですか?」
「いや、ずっとマサチューセッツ総合病院にいて、サージカルインテリジェンスの開発技術者が定期的にデータを取りにきて話すぐらいだったな」
サージカルインテリジェンスの社員といつもオンラインオペの依頼をしてくる病院関係者が創真さんのところに次々と挨拶にくる。
婚約者として挨拶に連れ回されてるから、左薬指にハリーヴィストンのダイヤがふんだんに使われてる指輪をはめられ、創真さんにエスコートされて会場内を歩く。
「挨拶もそこそこ終わったし食事を楽しもうか」
ビュッフェスタイルで豪勢な料理が何種類も並んでいて、1枚の皿にオードブルとメインを5種類、少しずつ盛り付ける、
「創真さん、ステーキとローストビーフを山盛りに盛らないで下さい。恥ずかしいです」
シャンパングラスを取り、テーブルへ移動して創真さんに小声で注意するも、「食べれる時に食べとかないと身体が持たない」と言われ、聞く耳持たない。
「結芽、そのドレス、似合ってる」
ドレスコートがあるからとハイブランドアパレルショップに連れていかれ、ベルベットの深い紫色のイブニングドレスをチョイスされた。
イブニングドレスは肌を露出させるほどフォーマルとされてる。
胸元や背中が大きく開いたワンピースでくびれがもろにわかるデザインのドレスを着させられ、かなり恥ずかしい。
「結芽のドレスアップした姿をみながら、料理とワインを味わえるなんて、俺は幸せだ」
立食パーティでは、食べ放題、飲み放題のバイキングとは違い、料理より会話が大切な、交流の輪を広げることが目的なのに、後半はずっと立食コーナーにいた。
料理を取りテーブルで食事をしてる時はお話がしたい相手がいても、挨拶だけするのがマナー。
だから、周りを気にせず、創真さんと美味しい料理とデザートをゆっくり楽しんだ。
「……結芽」
満腹で流石にデザートは2回も取りにいけなくて、テーブルでシャンパンを飲みながら創真さんを待っていたら、遼佑に声をかけられてしまった。
「ご無沙汰しております。東條専務。今日は婚約者の真中愛里さんは同伴されてないんですか?」
パートナーを同伴して出席する人が多いパーティーなのに、遼佑は1人だった。
「愛里はメディカルスクール時代の友人と久しぶりに会って話してる」
ハーバードメディカルスクールを卒業したのに愛里さんは医者にはならなかった。
アメリカでとんでもない医療ミスを何度も犯したらしく、東京大学医学部で教授をされてる父親に医師の素質がないとならせて貰えなかったらしい。
「オリパスを辞めてオメガルにいくは思わなかった」
「今までの経験と学びが活かせるのはオメガルだから」
「俺への当て付けじゃないの?オメガルの御曹司で天才外科医、天才発明家っていわれてる瀬崎創真と婚約して。もしかして、うちの腹腔鏡カメラの開発情報を流して婚約に持ち込んだんじゃないだろうな」
「オリパスでの開発データは持ち出してない」
遼佑の役に立ちたくて、医療機器分野の開発に関しては暗記しちゃうぐらい勉強をした。
持ち出してはいないけれど、記憶してる。
とはいえ、カメラや顕微鏡分野で最大手のオリパスの技術には設備的に近づけるのは不可能。
画質ではなく探索画像処理システムを搭載する事で疾患部を見つけ、どこまでの範囲をオペしないといけないかを知らせる機能をつけた。
これはオリパスで私がしようとした事で願望として遼佑には話していたけど、実現は無理だと思われ、水面下で取り組んでた。
そのデータに関しては私が取り組んだ事だからオリパスの開発データではない。だから、全て削除し持ち出しても問題ない。
「俺の婚約者に言いがかりつけるの辞めてくれませんか」
戻ってきた創真さんが、右手で持っていたてんこ盛りのケーキがのった皿をテーブルに置き、私の前にきて、遼佑を睨みつけた。
「オリパスとうちでは求めている方向性が違う。だから、オリパスの開発データはうちは必要ない。結芽は俺の親友の妹で、俺が心底惚れて婚約者に選んだ。オリパスのデータごときで婚約者に選ぶとか、ないだろ」
多少なりカメラの機能向上にオリパスで得た知識は役だった。
でも、それは経験で得た知識で情報流用じゃない。
「あっ、東條さん。貴方の婚約者、東大病院の有田先生と仲良さそうにしてましたがほっといていいんですか?」
「……失礼します」
真中愛里さんは、妻子持ちの有田先生と親しそうにワインを飲んでた。
明日、各医療機器メーカーが試作の部品をダビンチに搭載してデモンストレーションでオペをする。
オメガルはもちろん創真さんが執刀する。オリパスは東京大学病院の消化器外科医を連れてきてた。
「オリパスには負けない。明日、インパクト重視のオペを2つやる。だから、うちが選ばれるに決まってる。結芽、あいつと仕事で絡みあったのか?」
「大学時代のゼミの先輩で、元上司だった。東條専務、経営でなく開発の人なんです。かなりお世話になってた」
「結芽、あいつと付き合ってただろう。中途半端な時期に仕事を辞めて京都に帰ってきたの、あいつから婚約者がいると打ち明けられたからか?ちょうど真中がメディカルスクールを卒業して日本に戻ってくる時期と重なる。あいつを見る目が切な気だし、遊びで結芽に手を出したなんて、許せねぇ」
遼佑が去り、山盛りケーキをハイペースで口に入れる創真さん。
カッコいいと胸キュンするシーンなのに、山盛りケーキ爆喰いで台無し。
「オリパスを倒産させたいぐらい、腹が立つ。結芽を抱いた罪はそれぐらい重い……」
ボソリととんでもない発言をし、絶句する。
なんで、変態の域まで創真さんが私を執着し溺愛するのか、理由がわからない。
全室suite roomのホテル。
キングサイズのベッドで創真さんと寝ないといけなくて、明日のオペを理由に抱きしめられ寝るはめになり、創真さんは熟睡していたけれど、私は一睡もする事ができなかった。
世界各国から医療機器メーカーが集まり、15台のダビンチを使用して公開オペ行い、実際にその部品を使用して性能をサージカルインテリジェンスの重役と病院関係者に見て頂く。
63のメーカーが参加して65件のオペが行われる中、創真さんの難易度が高い心臓手術と癌のオペの2件に関して、会場にいる医療関係者全員が騒ついた。
ステージⅣの食道、胃、大腸に癌のある患者さんの体内の胃から、体内に鉗子と内視鏡カメラを入れる。
全身癌に近い患者さんだから、他の臓器にも癌が転移してる。疾患部の切除手術を完璧に終わらせた後、画像処理診断システムで転移した小さな癌細胞を見つけて初期に焼き切る方法で治療した。
心臓手術に関しては難易度ランキングNo.1の、誕生してまもない男の子の先天性心疾患に対してのPDA手術とASD閉鎖術、肺動脈弁切開術などを行い、成長を伴う心臓だから最低限の縫合で手術を終えた。
「デモンストレーションで超難関オペを行うなんて」と非難めいた言葉もかけられたけど、短時間に成功させた事で大きな歓声と称賛に変わった。
『結芽、オペが成功して鉗子と内視鏡カメラの両方が採用されたらさ、抱かせて』
如何わしいお人形と隠し撮り写真を没収され、私以外には発情しないと言い張ってる創真さんは狂気なほどに欲情していて野獣化してる。
私が遼佑と付き合ってた事を知り、それに関して暴かれただけで過去の事だからとやかくは言われなかったけど許せないのか、公開オンラインデモンストレーションオペに行く前にとんでもない事を耳元で囁かれてしまった。
全ての公開オンラインデモンストレーションオペが終わった後に行われた後夜祭の最後。
サージカルインテリジェンス会長から、製品化する部品が読み上げられ、うちの鉗子と内視鏡カメラも両方とも採用されてしまった。
かなり難しいオペを2件執刀し成功させても、単価が他のメーカーよりも高額だから難しいと思った。
それが、鉗子も内視鏡カメラの両方が採用されてしまい、貞操の危機に脅かされてしまった。
「結芽、約束通り、今日の夜、抱かせてね。このドレスを脱がせられるなんて、本当に嬉しい」
ダビンチの部品として採用された事でなく、私を抱けると思い、創真さんはガッツポーズをした。
手術前に独りよがりに私の耳元で言い放ち逃げていったから、この約束は無効にしていいのではと思う。
今日のドレスも露出度が高め。
上品な光沢のあるシルク素材の藍色の華やかなドレスで、胸元と背中は開いてる。
シフォンなどの素材で透け感があり、スカートの前が短いタイプで膝上から脚が見えている。
後夜祭中、創真さんは獲物を見る目を私を見つめてた。
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