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全消去されたお宝動画 side 相馬涼羽
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コロンウイルスに15回も感染したから免疫ついたと油断していた。
猛烈な体の怠さに気持ち悪い汗が流れる。
タクシーで自宅マンションに戻り、ソファーに横たわったら最後、体が全く動かない。
カッターシャツとスラックスが汗を吸収し、ひんやりと冷たく、体が冷えて猛烈に寒い。
寒さに凍えていると玄関の戸が開く音が聞こえた。
「相馬社長、大丈夫ですか!!」
鈴原が俺の部屋に入ってきてリビングのソファーに横たわる俺に駆け寄り、オデコに小さな手を当てた。
「……凄い熱!!」
リビングテーブルの上に置いていた体温計で俺の熱を測り、買ってきてくれた差し入れの袋から箱を取り出し、中身を取り出し、俺の鼻に綿棒みたいな棒をぶっ込んできた。
「……抗原検査、陽性か。コロン感染往診サービスに電話かけますね」
病院に電話をかけてくれて、汗でびっしょりと濡れたスーツからルームウェアに着替えさせてくれた事に感謝する。
「……汗、たくさんかいてるから水分補給した方がいいです。スポーツドリンクか麦茶、飲めないですか?」
「……無理。起き上がれない」
「……仕方がない。相馬社長、少しずつ飲んで下さい」
寝室のベッドまで連れて行ってくれた鈴原が、汗をかいて脱水症状を起こしている俺に口移しで経口補水液をペットボトル1本分飲ませてくれた。
さすがに500mlを飲み干すのはきつかった。
コロンウイルスの経口抗ウイルス薬が開発され、早期だったのもあり、2日ほど高熱でうなされるも肺炎などの後遺症なく完治した。
「鈴原、助かった、ありがとう」
「いえ、相馬社長の回復が早くて良かったです」
自分の部屋には戻らず、俺の看病をしてくれた鈴原。
具が入ったお粥を作ってくれ、氷枕を替えてくれた。
「あのう……相馬社長、ウォーキングクローゼット内にある私の私物、返して貰ってもいいですか?」
「えっ」
段ボールに入れガムテープで封をしていたのに、開けられ中身を見られてしまった。
「後……ここに保存されているファイルデータ、全消去して下さい!!」
鈴原の盗撮動画保存用iPad。
見られたらマズい物を見られてしまった。
「その代わりに盗撮しなくても私が相馬社長の側にいますから」
鈴原に部屋に不法侵入した事を咎められると思っていた。
盗撮だけではない。
下着泥棒や冷蔵庫の中に入っていた手作りのおかずを勝手に食べたりした。
それを俺は婚活相手のせいと言い張っていた。
「スズハラ、スキダ、アイピテル、オレトケッコンピテクレ!!」
コミックバードの宣伝部長のソロモンオウムのヨムが雄叫びをあげる。
「はい。相馬涼羽さん、私をお嫁さんにして下さい」
ヨムが俺の代わりにプロポーズしてくれて、それに鈴原が応えてくれた。
「鈴原、……いいのか?」
「はい、その代わり、盗撮した動画、全て消して下さいね」
本当は全消去したくない。
だけど、鈴原と結婚したいから、iPadに保存しているお宝動画を全消去した。
猛烈な体の怠さに気持ち悪い汗が流れる。
タクシーで自宅マンションに戻り、ソファーに横たわったら最後、体が全く動かない。
カッターシャツとスラックスが汗を吸収し、ひんやりと冷たく、体が冷えて猛烈に寒い。
寒さに凍えていると玄関の戸が開く音が聞こえた。
「相馬社長、大丈夫ですか!!」
鈴原が俺の部屋に入ってきてリビングのソファーに横たわる俺に駆け寄り、オデコに小さな手を当てた。
「……凄い熱!!」
リビングテーブルの上に置いていた体温計で俺の熱を測り、買ってきてくれた差し入れの袋から箱を取り出し、中身を取り出し、俺の鼻に綿棒みたいな棒をぶっ込んできた。
「……抗原検査、陽性か。コロン感染往診サービスに電話かけますね」
病院に電話をかけてくれて、汗でびっしょりと濡れたスーツからルームウェアに着替えさせてくれた事に感謝する。
「……汗、たくさんかいてるから水分補給した方がいいです。スポーツドリンクか麦茶、飲めないですか?」
「……無理。起き上がれない」
「……仕方がない。相馬社長、少しずつ飲んで下さい」
寝室のベッドまで連れて行ってくれた鈴原が、汗をかいて脱水症状を起こしている俺に口移しで経口補水液をペットボトル1本分飲ませてくれた。
さすがに500mlを飲み干すのはきつかった。
コロンウイルスの経口抗ウイルス薬が開発され、早期だったのもあり、2日ほど高熱でうなされるも肺炎などの後遺症なく完治した。
「鈴原、助かった、ありがとう」
「いえ、相馬社長の回復が早くて良かったです」
自分の部屋には戻らず、俺の看病をしてくれた鈴原。
具が入ったお粥を作ってくれ、氷枕を替えてくれた。
「あのう……相馬社長、ウォーキングクローゼット内にある私の私物、返して貰ってもいいですか?」
「えっ」
段ボールに入れガムテープで封をしていたのに、開けられ中身を見られてしまった。
「後……ここに保存されているファイルデータ、全消去して下さい!!」
鈴原の盗撮動画保存用iPad。
見られたらマズい物を見られてしまった。
「その代わりに盗撮しなくても私が相馬社長の側にいますから」
鈴原に部屋に不法侵入した事を咎められると思っていた。
盗撮だけではない。
下着泥棒や冷蔵庫の中に入っていた手作りのおかずを勝手に食べたりした。
それを俺は婚活相手のせいと言い張っていた。
「スズハラ、スキダ、アイピテル、オレトケッコンピテクレ!!」
コミックバードの宣伝部長のソロモンオウムのヨムが雄叫びをあげる。
「はい。相馬涼羽さん、私をお嫁さんにして下さい」
ヨムが俺の代わりにプロポーズしてくれて、それに鈴原が応えてくれた。
「鈴原、……いいのか?」
「はい、その代わり、盗撮した動画、全て消して下さいね」
本当は全消去したくない。
だけど、鈴原と結婚したいから、iPadに保存しているお宝動画を全消去した。
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