月明かりの下で泣いてる君に恋した

epilogue

「今日は満月なのに泣かないの？」

私と同棲するようになり、平日毎日迎えにきてくれる泣き男でなく香月さんでなく……悟さん。

私がオフィスビルから出て駆け寄ると、いつも笑みを浮かべてる。

「芽衣子が毎日俺の横に居てくれるから吹っ切れた。帰ろうか」

悟さんの右手を取り、繋いで一緒に住んでいるマンションへ歩いて向かう。

「悟さんの泣いてる姿に惹かれて慰めてあげたいって思ったんだけどな」

「じゃあ、泣いたらまた昔みたいに俺を襲ってくれる？」

「……嫌！！」

月1でその場限りの関係だからできた事。
毎日一緒にいる相手とあんな情事はさすがにできない。

来月の3月21日の満月の夜に悟さんと結婚式を挙げる。
悟さんは私を大切にして愛してくれる。
毎日、夜中の２時に悟さんに迎えにきて貰うのが申し訳なく、香月法律事務所の社内システムの仕事が終わったら退職する事にした。
だから、深夜２時の月を眺めながら目黒川の川沿いを歩いて帰るのも後わずか。

目黒川の川沿いで満月を見上げて泣き崩れてた悟さんは、今は満月を見上げ微笑んでる。

泣き顔よりも微笑んだ顔の方がいい。

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「芽衣子、愛してる」

「私も悟さんの事を愛してます」

ーー 満月の日の夜
悟さんと愛し合いながらお互いの身体を味わい繋げる。
哀しみを脳裏から失くために快楽を得るための身体を繋げる行為じゃない。

満月の日の深夜に目黒川の川沿いで泣いてた悟さんの哀しみは癒えた。
私の隣で優しく微笑んでくれてる悟さんとずっと愛し合っていきたいです。