LOVE marriage

鬼畜が改心した？

日曜日の21時に目を覚ましたわたし。

結婚式場に居たはずが、わたしはビジネスホテルでホテルの浴衣を着て眠っていた。

ホテルの机の上に、カクテルドレスとわたしのフォーマル仕様のバックが置いてあった。

誰がわたしをここに連れて来て、髪を解いて、カクテルドレスを脱がし浴衣を着せてくれたかわからないけど感謝した。

何か悪さされた形跡もない。

カクテルドレスを着てホテルを出ようと、カウンターに鍵を返しに行くと支払済みだった。

ホテルを出ると、うちのマンションの側で、急いで帰宅した。

帰ってからカクテルドレスから普段着に着替えて、バスタブに湯を溜めてる間に1階の食品スーパーに何か食べ物を買いに行く。

1人の食事だと味気ないからか何を見ても食欲がわかない。

それでも、食べないと倒れてしまうから、鶏ハムのサラダとサーモンアボカド丼と、朝食用に卵とハムレタスのサンドイッチを購入した。

帰宅後、すぐに食べて、片付け、週に1回の楽しみ、いい香りがする入浴剤を入れてゆっくり湯に浸かった。

ゆっくり入浴タイムを楽しんだからか、また眠くなり、そのまま、ベッドに倒れ込むように、眠りについた。

明日から、また、激務が始まる。

……そう思っていた。

なのに、結城拓馬鬼畜課長は、改心したのか、わたしに投げてくる仕事量を2/3に減らしてきた。

そして、昼前に、

「香坂、着いてこい」

と、内装デザインの参考にするためと、お洒落なお店にわざわざタクシーを使って連れて行ってくれて、奢ってくれた。

結城課長と何を話題にランチタイムを過ごそうと考えてたら、結城課長が色々話題を振ってくれて楽しい時間を過ごした。

結城課長はイギリスのケンブリッジ大学の修士課程を卒業したとかで、イギリスの歴史的建築物の話を聞かせてくれた。
時に写真も見せてくれて、とても勉強になった。

結城課長とのランチタイムがいつの間にか、楽しみになっていた。

鶏ガラのように痩せていた身体に、少しずつだけど、柔らかい肉がついてきた気がする。

手足のガリガリと肋が見えそうだった身体に、柔らかいマシュマロみたいな肉が付き嬉しく思った。

でも……

「結城課長、なんで、毎日パスタとかステーキとかハンバーグとかハイカロリーのお店ばかりに連れてくるんですか？
さすがに週6でこんな食事をしてたら、身体に悪そうなんですけど。
わたし、和食が好きなんで、和食のお店に連れて行ってくれませんか？」

１ヶ月で5kgも太ってしまったわたし。
さすがにまずいと、連れて行って貰ってる身だけど、お願いしてみた。

「香坂、お前ガリガリなんだから、肉になる物をしっかり食べろ。ぶっ倒れるぞ」

最近、香坂課長が仕事が終わってなくて23時にわたしを帰るよう促し帰宅させる。

帰宅しても、家で社内社外コンペの建築物デザインを描いて仕事をするけど、シャワーを浴びると眠気が来て１時間も仕事ができない。

毎日、6時間は眠ってるからか、最近身体の調子が良い。


「結城課長が仕事量を調整して下さり、早めに帰宅させて下さるから体調は良好です。
体重が……ひと月で5kgも増えて、このままだとこぶた化します」

せっかく痩せたのに、太りたくない。

朝ごはんをフルーツとヨーグルトにして、夜を食べないようにしてるのにランチのハイカロリーメニューで完全に体重が急上昇してる。

「多少は肉ついたんだ。週2回は和食の店に行こっか。急激に太るのもまずいだろう……」

結城課長は、わたしを太らせたいらしい。

友人の結婚披露宴の後に、わたしをオフィスビル近くのビジネスホテルに連れて行ってくれて、浴衣に着替えさせたの、もしかしたら結城課長かもしれないと、気づいた。

ガリガリすぎた身体を知られてる。

結城課長は、あれから本当にわたしに対しては優しい。
他の社員には、鬼畜に檄を飛ばしてるけど……。