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愛する人がいない生活 side 遥希
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愛する人が突然、俺の前から居なくなった。
3月末まで仕事で常に俺の傍にいた。
彼女が入社して部署に配属された日。ひと目見ただけで俺は彼女に恋をした。
だから彼女が俺のサポートについた事に思わずガッツポーズをした。
彼女は見た目の美しさだけでなく、気遣いができて仕事もできた。
そんな彼女に俺はかなり惚れ込んでた。
「須賀さん、かなりイラついてるね。佐倉さん、帰って来てくれないかな……」
真凛が居なくなって半年が経とうとしていた。
俺は社内での仕事中は常に不機嫌だった。
キャパオーバーな数の案件を受けていて忙しく、広告制作会社やクライアント先への連絡などサポート社員に任せていたらポカをやらかす。
真凛はこんなミスはやらかさなかったと比べて、かなりイラついて怒鳴り散らしていた。
真凛がいたら、多少は怒りを抑えられた。
真凛の前で部下を怒鳴り散らす姿を見せられないから……。
真凛が退職した次の日の土曜日。
うちに来るように言ったのに、真凛から、
“遥希、今までありがとう。わたしの事は忘れて下さい”
とLINEメッセージが来て、その後ブロックされ連絡が取れないから真凛の実家に行った。
インターホンを鳴らしたら真凛のお母さんが出てきて、真凛が脚本家の勉強をするため実家を出て一人暮らしを始めたと伺った。
真凛の1人暮らしをしてる先については教えて貰えなかった。
『須賀さんがクリエイティブディレクターとして売れっ子だから、あの子は貴方みたいに別の道で成功したいと思って転職をしたんだと思う。だから、しばらく、そっとしておいて下さい』
真凛のお母さんにそう言われ、引き下がるしかなかった。
さくらテレビに仕事で月に数回くるから、偶然という必然で真凛に再会する事を願い、彼女がいない生活を送る事になった。
4月から始まった新ドラマ【ハメられ婚~最低な元彼とでき婚しますか?~】。
真凛が脚本を手掛けたから録画して、仕事から帰ってから見た。
元彼に呼び出されて酔わされて避妊なしのSEXして次の日にプロポーズされて第1話は終わった。
真凛がこんなドラマの脚本を書いてる事に驚く。
依頼されて原本を脚本に仕立ててるだけだと思うが衝撃的だった。
真凛が居なくなってから、仕事が多忙なのと他の女に欲情しない事からすっかり男が枯れてた。
夜中に目が覚めた時にiPhoneに保存している真凛の写真を見て1人で抜く……。
昔付き合っていた元カノとヨリを戻したいからと酔わせて動けくして身体を貪り抱くヒーローの幹太に、俺もやりかけないなと思ってしまった。
「佐倉さんに昨日、JR新橋駅で会った。夏ドラと夏の東映映画の脚本を担当するんだって。【ハメられ婚】視聴率いいもんね。コメディーチックな中にたまにシリアス入って、ハマるわ」
営業の宮田が真凛の後任になった浅井紗希に仕事の件で広告クリエーティブ部にきていて用件が終わったのか雑談を始めた。
真凛の名前が出たから聞き耳を立てる。
「佐倉さん、仕事できる人ですもんね。脚本家としても活躍できる人です。佐倉さんの後任がわたしでクライアント先で比べられるからきつい」
浅井がため息をつく。
真凛の仕事ぶりは素晴らしいものだった。手掛けたCMの構成や紙面広告などセンスが良いものだった。
真凛が脚本家として売れてきている。
真凛に負けていられないなと、新規の案件の企画から制作過程を進めることにした。
「めざましTV見た?佐倉さん出てたね。あいかわず綺麗だった」
「さくらテレビで1番人気の久米アナよりの隣に並んで、佐倉さんの方に目がいく。本当に神々しい美しさだった」
「YouTubeで佐倉さんが出た特ダネが早速上がってて、閲覧回数が半端ない。美人脚本家として注目されてるね」
朝の6時半に出社してる俺はめざましTVは見てない。
8時半過ぎに出社してきた社員達がめざましTVのエンタメ情報に真凛が出ていたと話してるのを聞き、タブレットを持って人気のない資料室へ行き、YouTubeで真凛が出演したエンタメ情報番組を検索して再生した。
桜色のワンピースを身にまとってる真凛は、看板女子アナが見劣りするぐらい清廉とした美しさを放っていた。
小顔で肌が雪のように白く、大きなぱちっとした二重の瞳、小さな形のいい唇。
華奢だから服を着てたらあまり目立たないけれど、女性らしいラインがあり、俺は真凛の身体に溺れてしまった。
仕事に戻らないといけないのに3度も再生して見てしまった。
サポートの松坂からの電話で、仕方なく部署に戻る。
真凛に逢いたい……。
脳裏に真凛の姿が何度も浮かび、雑念で仕事にならなかった。
暇を見つけてはYouTubeで真凛が出たエンタメ情報番組を見てる俺。
真凛が恋しくて堪らない………。
スポンサーの資金提供でCMで流す回数が決められている。
依頼をかけた番組のCMとして視聴者の年齢層と嗜好傾向から相応しくないとさくらテレビから連絡を受け、営業の葉山に泣きつかれ一緒に交渉に出向く。
「ハメられ婚は20代から50代後半の女性からの支持を受けてる。だから、女性向けの化粧品や下着、シャンプーを優先的に流したいんですよ」
任天社から新作のスーパーマリトのCMを視聴率が高いハメられ婚の番組内に流したいという意向を受けた。
「アニメ番組内で回数を増やして放送するので任天社さんに説明して頂けないでしょうか」
さくらテレビのCM放送担当の舛岡さんに言われ、確かにそうだなと思ってしまった。
「ハメられ婚で5回流す代わりに、アニメ番組で8回流します」
「任天社の担当者に相談をしてみます」
舛岡さんがハメられ婚にCMを流さない代わりとして人気アニメ番組で流す回数を増やす便宜を図ってくれた。
さくらテレビを出る。
お台場で観光施設も軒並みに建っているのもあり多くの人で賑わっていた。
5月の終わり、私鉄ゆりかもめに乗るためさくらテレビから離れようとしたら、さくらテレビからずっと逢いたかった人が出てきた。
3月末まで仕事で常に俺の傍にいた。
彼女が入社して部署に配属された日。ひと目見ただけで俺は彼女に恋をした。
だから彼女が俺のサポートについた事に思わずガッツポーズをした。
彼女は見た目の美しさだけでなく、気遣いができて仕事もできた。
そんな彼女に俺はかなり惚れ込んでた。
「須賀さん、かなりイラついてるね。佐倉さん、帰って来てくれないかな……」
真凛が居なくなって半年が経とうとしていた。
俺は社内での仕事中は常に不機嫌だった。
キャパオーバーな数の案件を受けていて忙しく、広告制作会社やクライアント先への連絡などサポート社員に任せていたらポカをやらかす。
真凛はこんなミスはやらかさなかったと比べて、かなりイラついて怒鳴り散らしていた。
真凛がいたら、多少は怒りを抑えられた。
真凛の前で部下を怒鳴り散らす姿を見せられないから……。
真凛が退職した次の日の土曜日。
うちに来るように言ったのに、真凛から、
“遥希、今までありがとう。わたしの事は忘れて下さい”
とLINEメッセージが来て、その後ブロックされ連絡が取れないから真凛の実家に行った。
インターホンを鳴らしたら真凛のお母さんが出てきて、真凛が脚本家の勉強をするため実家を出て一人暮らしを始めたと伺った。
真凛の1人暮らしをしてる先については教えて貰えなかった。
『須賀さんがクリエイティブディレクターとして売れっ子だから、あの子は貴方みたいに別の道で成功したいと思って転職をしたんだと思う。だから、しばらく、そっとしておいて下さい』
真凛のお母さんにそう言われ、引き下がるしかなかった。
さくらテレビに仕事で月に数回くるから、偶然という必然で真凛に再会する事を願い、彼女がいない生活を送る事になった。
4月から始まった新ドラマ【ハメられ婚~最低な元彼とでき婚しますか?~】。
真凛が脚本を手掛けたから録画して、仕事から帰ってから見た。
元彼に呼び出されて酔わされて避妊なしのSEXして次の日にプロポーズされて第1話は終わった。
真凛がこんなドラマの脚本を書いてる事に驚く。
依頼されて原本を脚本に仕立ててるだけだと思うが衝撃的だった。
真凛が居なくなってから、仕事が多忙なのと他の女に欲情しない事からすっかり男が枯れてた。
夜中に目が覚めた時にiPhoneに保存している真凛の写真を見て1人で抜く……。
昔付き合っていた元カノとヨリを戻したいからと酔わせて動けくして身体を貪り抱くヒーローの幹太に、俺もやりかけないなと思ってしまった。
「佐倉さんに昨日、JR新橋駅で会った。夏ドラと夏の東映映画の脚本を担当するんだって。【ハメられ婚】視聴率いいもんね。コメディーチックな中にたまにシリアス入って、ハマるわ」
営業の宮田が真凛の後任になった浅井紗希に仕事の件で広告クリエーティブ部にきていて用件が終わったのか雑談を始めた。
真凛の名前が出たから聞き耳を立てる。
「佐倉さん、仕事できる人ですもんね。脚本家としても活躍できる人です。佐倉さんの後任がわたしでクライアント先で比べられるからきつい」
浅井がため息をつく。
真凛の仕事ぶりは素晴らしいものだった。手掛けたCMの構成や紙面広告などセンスが良いものだった。
真凛が脚本家として売れてきている。
真凛に負けていられないなと、新規の案件の企画から制作過程を進めることにした。
「めざましTV見た?佐倉さん出てたね。あいかわず綺麗だった」
「さくらテレビで1番人気の久米アナよりの隣に並んで、佐倉さんの方に目がいく。本当に神々しい美しさだった」
「YouTubeで佐倉さんが出た特ダネが早速上がってて、閲覧回数が半端ない。美人脚本家として注目されてるね」
朝の6時半に出社してる俺はめざましTVは見てない。
8時半過ぎに出社してきた社員達がめざましTVのエンタメ情報に真凛が出ていたと話してるのを聞き、タブレットを持って人気のない資料室へ行き、YouTubeで真凛が出演したエンタメ情報番組を検索して再生した。
桜色のワンピースを身にまとってる真凛は、看板女子アナが見劣りするぐらい清廉とした美しさを放っていた。
小顔で肌が雪のように白く、大きなぱちっとした二重の瞳、小さな形のいい唇。
華奢だから服を着てたらあまり目立たないけれど、女性らしいラインがあり、俺は真凛の身体に溺れてしまった。
仕事に戻らないといけないのに3度も再生して見てしまった。
サポートの松坂からの電話で、仕方なく部署に戻る。
真凛に逢いたい……。
脳裏に真凛の姿が何度も浮かび、雑念で仕事にならなかった。
暇を見つけてはYouTubeで真凛が出たエンタメ情報番組を見てる俺。
真凛が恋しくて堪らない………。
スポンサーの資金提供でCMで流す回数が決められている。
依頼をかけた番組のCMとして視聴者の年齢層と嗜好傾向から相応しくないとさくらテレビから連絡を受け、営業の葉山に泣きつかれ一緒に交渉に出向く。
「ハメられ婚は20代から50代後半の女性からの支持を受けてる。だから、女性向けの化粧品や下着、シャンプーを優先的に流したいんですよ」
任天社から新作のスーパーマリトのCMを視聴率が高いハメられ婚の番組内に流したいという意向を受けた。
「アニメ番組内で回数を増やして放送するので任天社さんに説明して頂けないでしょうか」
さくらテレビのCM放送担当の舛岡さんに言われ、確かにそうだなと思ってしまった。
「ハメられ婚で5回流す代わりに、アニメ番組で8回流します」
「任天社の担当者に相談をしてみます」
舛岡さんがハメられ婚にCMを流さない代わりとして人気アニメ番組で流す回数を増やす便宜を図ってくれた。
さくらテレビを出る。
お台場で観光施設も軒並みに建っているのもあり多くの人で賑わっていた。
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