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侯爵令嬢、夜会に出る
しおりを挟むロアネとジゼル様とお茶をした日から一週間が経ち、再び夜会の日がやってきた。
貴族の夜会の頻度の高さに、前世が庶民だった私は正直なところ時折驚いている。
この前やったばっかりだし、各々選んで参加してるだけで殆ど毎日やってるよね!? という具合に。
前世の記憶があるために庶民感覚がある、などというわけではない。もうこの生活を長いこと続けているし、そもそもこの身体に「貴族」が染み付いている。
だけれど記憶があるからこそ、前世と今世の差を時折感じてしまうのだ。
大して働いていない貴族令嬢は一体何をしているのだろう……淑女の嗜み的な何かだろうか。
いや、まあ前世で言えば私の年はまだ高校生……この世界では貴族令嬢は22歳で結婚適齢期が終わるので、当たり前に働いている場合ではないのだろう。
では、私は一体何なのだろう。
働いて夜会に出ている私は……一体……。
「また百面相してるわよ。」
隣に立っているエリーが私に指摘をした。
あぁ、1人で考え込むのは悪い癖だ。
それにしても隣に立つエリーの美しいこと。
横顔を眺めているだけでご飯を3杯は食べられそうだ。
「な、なによ、ジッと私の顔なんか見て。」
「いや、相変わらずエリーの顔が綺麗だなぁと思って。」
エリーが照れながらも私にそう言ったので、当たり前のことを言い返すとエリーが更に顔を赤くして、プイッと顔を逸らした。
ログレス様、私はやはりエリーを全力で推したいところです。
「レア、エリー!」
あぁ、この声は。
声の主を見ると、想像通りロアネが居た。
以前私とエリーが見立てたログレス様のお詫びを身につけたロアネはとても綺麗で、女の私でも見惚れてしまう。
「ごきげんよう、ロアネ。」
エリーがロアネに挨拶をしたことで私はハッとした。危ない、意識が飛びかけていた。
「ドレスとっても似合っているわ!」
私がそう褒めると、ロアネは嬉しそうに笑顔を浮かべた。その笑顔が輝いていて眩しい。
「レアとエリーに選んで頂いたおかげです! とてもセンスが良くて……もし私が選んでいたらこんなに素敵なものは選べませんでした。」
きっとロアネはどんなものを着ても綺麗に違いない。
その上、皇室が手配したドレスなのだから尚更材質・装飾品など全てが素晴らしいもので、それを身にまとっている今のロアネには敵なしなのではと思わされる。
しかも殿下からの贈り物(お詫びの品ではあるけれど)
一体何を揃えたら今のロアネに太刀打ち出来るというのだろうか。
「私の案は却下されてしまったから何もしてないわ、選んだのはレアよ。」
「待って、そんなに根に持ってたの?」
だって、どう考えてもあのゴテゴテの宝石が散りばめられたドレスは着られないと思わない?
ましてや、売り飛ばすなんて言語道断だと思わない?
どうしよう、私がバッサリと却下してしまったばかりに、エリーのガラスの心 (きっとガラスなどではないのだろうけれど)は傷ついてしまったというの!? そうして私は嫌われてしまうの!?
「フフッ。」
隣でエリーが口元を抑えて笑いを零す。
「アハハ! 冗談よ、全く根に持ってなんかいないわ。こんなにドレスが似合っているんですもの。あなたが面白いからからかっただけよ。」
「もう!」
エリーはよくこうして私のことをからかって遊ぶ、それが大好きみたいだ。
なんて意地悪なんでしょう!!
だけど、エリーの楽しそうな姿を見ると私も嬉しくなるのだ。だからこそ、エリーには悪役になってつらい思いなんてして欲しくない。
もっともっと、幸せになって良いはずなのだから。
「レアって本当に面白いと思わない?」
「はい、コロコロ表情が変わって見ていて楽しいです。」
ロアネも小さく笑いながらそう告げた。
私ってそんなに変な顔してるの……?
少しは気を付けた方が良さそうね、考え事をすると意識が飛ぶのは悪い癖だわ。
ああ、私って悪い癖多すぎ。
「そのドレスを殿下に見せに行ったらどうかしら?」
「お礼も言いたいのでそうしたいのですが……私にはあの壁を越えられそうにありません。」
エリーの提案にロアネは控えめに言いながら、ちらりとログレス様を見た。
私もそちらを見ると、ログレス様の周りには人だかりが出来上がっていて、確かに分厚い壁でもあるかのように感じられた。
当たり前だ、誰もが殿下の寵愛を受けたいと思っている。
顔も美しく、クールだが優しく仕事も出来ると評判の殿下……完璧かよ!!
もちろん、そんなログレス様にも欠点はあるのだけれど。
「では、私と共に行きましょう。私が行けばあの人だかりでも道を作ってくれるでしょうから。」
「だ、ダメよ!!!」
私は咄嗟に声を荒げてしまった。
エリーとロアネは驚いて目を丸くしていた。
だって、ロアネの姿を見たら絶対ログレス様はロアネに気を留めてしまう。
その状況を見て悲しくなるのはエリーだ。
ロアネはとてもいい子だ、幸せへの恋路を阻むことは私も心が痛い。
だけど……エリーの苦しむ姿を見る方がもっとつらい。
「ど、どうしたの?」
エリーが少し眉を下げて私に問いかける。
「わ、私、1人は心細くて。」
なんて、苦し紛れの言い訳をしてみる。
こんな言い訳通用するわけないか……そもそもロアネが殿下にお礼を言いにドレスを見せに行くことは至極真っ当で、逆にそれをしない方が礼を欠くことになる。
「大丈夫よ、そこにジゼル様がいらっしゃるもの。」
「えっ!?」
私がエリーに言われて振り向くと、そこにはジゼル様がニコリと笑みを浮かべて立っていた。
「こんばんは、レア、エライザ、ロアネ嬢。」
「いつからそこに……。」
「ちょっと前にね。いつ気が付くかなぁと思っていたけれど全然気が付いてくれないから、僕は少し悲しいよ。」
私の問いかけにジゼル様がわかりやすくしょんぼりとしてみせる。
「レア、心配しなくてもすぐ戻って来るわよ。」
エリーはロアネを連れて人だかりへ向かっていく。
きっと私のしている心配も不安もエリーはわかっていない。
前世の漫画で悪役が断罪されていくのをたくさん見た。
そのたびに私はスッキリとした気持ちになっていたというのに、その時の悪役の悔しそうな表情も苦しそうな表情も……全部エリーが経験しなければならないのだと思うと心苦しくて仕方がない。
漫画の中の話だとわかっている、この世界がそうではなくて現実だということも。
だけれど、登場人物も設定も同じだというのに同じ運命を疑わないでいられる?
私には無理だった。
私の大好きな人たちみんなが幸せになって欲しいと願うことは傲慢?
傲慢だっていい、それに伴って誰かに不幸になって欲しいとも思っていない。
全ての人にとっての幸せの道を示すことが、前世の記憶を持つ私の使命なんだ。
「一体、何がそんなに心配で不安なんだい?」
「え?」
私、声に出していた?
「君の顔を見ればわかるよ。」
ジゼル様の優しい表情が全てを話してしまいたくなる。そしていつも、彼に惹かれる。
それは、感じてはいけない感情なのだけれど。
彼が幸せになることが私にとっての幸せのはずなのに、いつも私の目指す「全ての人」にとっての幸せに「私」は含まれていないような気分になってしまう。
それこそ、傲慢だと思わない?
「通して頂いてもよろしいでしょうか。」
凛としたエリーの声が会場に響く。
その声を聞いて、ログレス様の周りできゃいきゃいと騒いでいた令嬢たちが道を譲った。
「ご機嫌よう、ログレス殿下。」
「エライザ、元気そうで何よりだ。何か用事でもあったか?」
挨拶をするエリーにいつも通りの調子で返すログレス様。
「殿下に挨拶したいというご令嬢がいらっしゃるので私が連れて参りました。では、私は失礼します。」
「え、ええ……。」
ロアネをズイッと前に押し出してから一礼してその場を去るエリーに、急に引っ張り出されてしかも1人にされたロアネは困惑でオドオドとする。
すぐ戻るといっても、それは早すぎないかしら? エリー。
「で、殿下……あの……。」
「エイミッシュ嬢、久方ぶりだな。」
これは絶対イベントだわ!!
ログレス様とロアネの様子を見て、前世でいくつもの少女漫画を読んだ私の勘が告げている。
「殿下、この前はお詫びの品としてドレスを頂きありがとうございました。レア……オールクラウド侯爵令嬢とノグワール公爵令嬢に選んで頂きましたドレスを本日着て参りました。あの……いかがでしょうか?」
ロアネは少し言葉に詰まりながらもハッキリとした口調でログレス様にお礼と、それから頂いたドレスを見せた。
「ほう、そのドレスが……うむ、とても良く似合っている。」
ログレス様が口角を上げて満足気にそう言った。
なぜ貴方が満足そうなんだ、選んだのは私たちだぞ。
しかし、その2人の様子を見て周りがロアネに敵対的な目を向けているのは心苦しい。
いや、だけれど当たり前のことだ。
そうして悪役令嬢に虐められてしまうのだし、そもそも前世だってこういう場面があったはずだ。
人気者と仲良く話す異性へ向けられる嫉妬の目のようなもの。
だからこそ、ログレス様にはもっと配慮といったものをして欲しいものだが……今まで浮いた話の1つも上がったことがないログレス様のことだ。
恋愛事情について配慮をしろ、という方が無理難題だろう。
どうせ、何か言っても「ドレスについて話していただけなのに」と頭の中が『?』で一杯になってしまうことだろう。
「ね、早く戻るって言ったでしょう?」
ログレス様とロアネが会話をしているのを眺めていると、エリーが私に声をかけた。
「早すぎてびっくりよ。」
「レアが心細いなんて言うから頑張って早くしたのよ。」
エリーは「感謝しなさい」と言うようにニヤリと笑ってこちらを見た。
本当は心細いことが本心ではなかったけれど、エリーが私のことを気遣って行動してくれたことが嬉しかった。
再びログレス様とロアネのやり取りに目を向けるとログレス様がスッとロアネに手を差し出していた。
「ドレスの機動性も確認したいだろう、良ければ私と1曲踊ってはくれないだろうか。」
「え、あ……はい!」
なんと、ログレス様がロアネにダンスを申し込んだのだ。
あああ! そういうイベントかーっ!
私の見立てでは、話し足りないと感じたログレス様がロアネと抜け出して庭園で話すのかと思ったのだけれど、見事に外れてしまったようだ。
「ちょっと、何よあのダンスの誘い方。」
エリーが目をこれでもかという程にカッと開いて言う。迫力がありすぎて怖い。
そうか、自分がダンスに誘われなかったことが悲しいのか……。
「ムードもクソも無いじゃないのよ!」
「ちょっと、令嬢がクソとか言わないで……。」
「あぁ、驚きすぎてつい、ごめんあそばせ。」
エリーの令嬢らしくない言葉についツッコミを入れると、エリーは悪びれもなく言葉だけの謝罪を述べた。
本当に公爵令嬢が「クソ」とか言っちゃダメ。
昂ぶると口が悪くなるのはエリーの大きな欠点だと思うわ。
ログレス様とロアネが曲に合わせて踊り出した。
ログレス様とロアネの美しい容姿と軽やかなダンスにその場の人々は目を奪われていた。
最初に敵対的な視線を向けていた人たちも2人の圧倒的な美しさには敵わなかったようで、最後は見惚れてしまっていた。
2人はダンスを心から楽しんでいるようで、踊り終わった後は名残惜しそうに離れた。
待って、これはどう考えても進展しているし、そもそもエリーはログレス様とロアネがダンスをしていて悲しくて苦しくないわけがない。
私はとてつもなく焦っていた。
このままではエリーの恋は実らなくなってしまう!
そして、更にはジゼル様が当て馬になる未来が見えてしまう!!
「エリー! ログレス様がロアネと踊っていたわよ!」
「知ってるわよ、見てたもの。」
「い、良いの!? いや、良いわけがない!!」
私の追及にエリーは顔色一つ変えない。
私1人焦っているみたいだ、どうして、なぜ。
「何でレアが決めつけてるのよ。良いじゃない、本人たちが楽しそうで。」
あああ、何故だ!!
自分の好きな人が他の人と踊ってるなんて嫉妬しないわけがないじゃない!
じゃあ、何でエリーはあんなに冷静なの。
もしかして、感情を押し殺しているというの?
そんなの苦しい、苦しすぎる!
次こそは必ず私が幸せなダンスシーンへ導いてみせる。必ず! 私が!!
「レアのあの百面相はどうにかならないものかな。」
「私は見ていて楽しいから別に良いわ。大抵、私の前でああしている時は、私のことを考えているのよ。」
ジゼルの呟きに、エライザがニコニコと笑いながら答えた。
エライザがレアルチアの百面相を面白そうに見ていると同時に嬉しさも感じていることを、レアルチアは知る由もなかった。
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