スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー

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34話。虐げられた村娘。新たなざまあの予感

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 おっさんと別れた後も、街道で何人かの村民と遭遇した。

 牛にひかせた荷車で野菜を運ぶ者。
 手押し車で麦らしき袋を運ぶ者。
 豚の群れを連れている者も見かけた。

 道行く人々に「7日後に空が紫に染まり、世界は滅びる! 祈りなさい! 祈るのです!」と叫ぶように語りかける二人組の僧侶もいた。

 聖地巡礼した先で拾ってきた石を、金貨と交換しないかと詐欺を試みる歯抜けのジジイもいた。

 狩ったばかりの野ウサギを買わないかと声をかけてくる者もいた。狩猟特権というのが領主にあるので、庶民が許可なく狩猟をするのは犯罪だが、まあ、俺に取り締まる権利があるのかよく分からないし、その人が俺の父から許可を得ていたかどうか分からないし、見逃してやった。
 なお、鹿やイタチは許可は下りにくいが、狼とかうさぎとかイノシシとかは割と簡単に許可は下りる(※)。

 ※:鹿の皮は品質の良い服や靴の材料になる。イタチの毛は高級品だ。狼とかイノシシとか、農場や牧場を荒らすような害獣は許可が下りやすい。

 大都市2個と近隣の村20個で構成された生活圏なので日々の交流は多く、道はけっこう賑やかだ。

 これが他の領主が治める土地の大都市へと向かうような道になると往来は減り、巡礼者や遠距離行商人くらいになるだろう。

 やがて俺たちは、人口300~500人程度の比較的大きい村に到着した。現代日本で例えると、ニュルンが特急列車が止まる駅なら、ここは急行列車が止まるくらいの存在感だ。

 一応、俺の実家がある山の麓に位置するので、そこそこ起伏があり木も多く、村の全体像は見えない。

 小屋がそこそこあって人によって踏み固められた地面の道があり、木や岩やぽつぽつある、いかにも村って感じの村だ。土地は余っているので、ゲームや漫画ほど建物は密集していない。

 あちこちで鶏を飼育しており、こーっこっこっこっと聞こえてくる。

 今は近所の森で餌を与えているらしく空っぽだが、豚や羊を飼育しているらしき柵もあちこちにある。

 異変はないし、道中ですれ違った人たちからも、特別な話は聞いていない。

 鞍を売っているような店があれば買いたいがなさそうだし、村の中央にある通りをそのまま通り抜けて、次の村に行こう。

「んみゃ?」

 サフィの耳がぴくぴくと揺れた。
 やはり、何かあると最初にサフィが気づくようだ。

「ブヒ?」

 メルディも何かに反応したが、どうせ、道ばたに蛙でもいたのだろう。

「何か言い争っているみゃ」

「なんだろう。もめ事かな。様子を見てみよう」

 サフィに先導してもらって進むと、俺にも言い争いの声が聞こえてきた。

 どうも中央通り脇にある古物商(※)で揉めているようだ。

 ※:小屋の前に売り物らしき壊れた武具や籠やかめや木材が置いてあるから古物商だろう。こんな田舎には新品を取り扱う店なんてないので、基本的に古物商だ。

 中から男の声と女の声が聞こえてくる。

「俺の鑑定スキルに文句をつけるというのか!」

「そ、そんな、で、ですが、10ドメールで買い取っていただくお約束だったはずです!」

「3ドメールが気に入らないのなら、他の村にでも行くんだな! お前のような小娘は、途中でモンスターに襲われて食われちまうだろうがな! おら、それ以上商売の邪魔をするなら、役人に突きだすぞ! 出てけ!」

「ああっ! そんな! せめて、お父さんが作ったくわは返してください!」

「黙れ! お前達親子は、言われた数を納入できなかったんだ! これは没収だ!」

「そんな! あんまりです! 返してください!」

「黙れ! これ以上居座るなら、お前の親父が作った鍬が、生意気なことを言えるほどの性能かどうか、お前の体で試してやるぞ!」

「うっ、ううっ……!」

 木造一階建ての建物から、シャルロットと同じ年頃の女がよろよろと飛びだしてきた。
 今にもその場に倒れてしまいそうなほど、ふらふらして――。

「危ない!」

 俺は女の人を支えてあげた。

「大丈夫ですか?」

 ふにょんっ。

 胸が当たっている気がする。
 お互いに厚手の服を着ているから分からないが……。
 当たっている気がする!

「す、すみません。通りすがりのお方……」

「……」 ← 背中に感じるシャルロットの視線。女と密着していることを問い詰めたいのだろうが、我慢しているっぽい

「ブヒヒヒヒッ!」 ← 特に意味はないだろうが、なんか馬鹿にされた気になる鳴き声。
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