スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー

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37話。突如始まる濃厚なユリ。俺は何を見せられているんだ

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 小道に入り、そこから少し離れて、見晴らしのいい場所で作戦会議だ。

「エナ。大丈夫?」

「ありがとう。シャルロット。私は大丈夫よ」

 ふたりは寄り添い百合の花びらが舞いそうな雰囲気で見つめあった。

「さて。腑に落ちないことがある。アーサー」

「ん?」

「なんでずっと股間を押さえているんだ。怪我したのか?」

「……分かれよ」

「え?」

「この現象を敢えて名付けるなら共感性珍痛だ」

「なんだそれは? まあいい。もうひとつ気になることがある」

「なんだ?」

「あの店主は、俺のとエナののしまりがどうとか言っていたが、あれはいったい」

「分からなくていい」

「しかし、それが分からなければ、やつが不正をしていたのかどうかが分からない」

「買い取り金をごまかす不正より、もっと悪質なことをしていたんだよ」

の何が悪質なんだ? くわすきならを深く挿入して濡らしてキツくはめるものなんだろう?」

「やめろ。すきならに柄を深く挿入して濡らしてキツくはめるとか、汚れなきまなこで言うな! 世が世なら切り抜かれるぞ!(※)」

 ※:動画や配信の名シーンの一部を切り抜いて短くした動画を作成すること。もしくはその動画を公開すること。例えば、女性VTuberが意図せず「ちんちんだね(愛知の方言で「熱い」という意味)」のようにエッチなことを言っちゃうと、切り抜かれる。

「それでお前は、いつまで股間を押さえているんだ?」

「お前の発言のせいだ……!」

「な、なぜ……」

「すきならひつに挿入しろとか可愛い声で言うから、が水に浸したみたいになったんだよ!」

が膨らんで太くなったのか?」

「だから、そういうことを言うな……!」

 エナも不思議そうにしている。

「膨らみすぎると割れてしまうので、は抜いた方が良いです」

「うむ。アーサー。抜いてやろう」

「やめろ……!」

 くっ。俺がアウェイなのか。
 言うしかないのか!

「シャルロット! 聞け! 例えるなら、お前の鞘に、俺の剣を収めさせろ。ということだ」

 シャルロットの顔が一瞬で真っ赤になった。

「……! そ、そういうことは、夜に……。エ、エナが見ているんだぞ……」

「剣を例にしたら通じるのか。まあ、それは例だからいったん置いておいて話を戻す。あの店主、鑑定スキルは使えないんじゃないのか?」

「う、うむ。私も同意見だ」 ← 真っ赤でそわそわ

「そうなんですか?」 ← 分からないまま

「ああ。農具が売れなかったらエナの家が困るだろ? 飯も食べられなくなる。あの店主の態度から察するに、私のエナの体目当てで嫌がらせしてきているのかもしれないぞ」

 私のエナって言った?
 深い意味はないよな?
 フランス語でマダムが、マ(私の)ダム(貴婦人)という意味だけど、それくらいのニュアンスだよな?

「そんな……」

「よし。ならば、一芝居うとう。エナよ。脱げ」

「え?」

「お、おい、シャルロット、何言ってんだ」

 俺が股間から手を離せないままなんだぞ!

「私とエナで服を交換し、私が物を売りに行き、あいつの鑑定スキルが本物か確かめる。ほら。これを見ろ」

 シャルロットが魔法の革袋アイテムボックスから、黒い物体を取りだす。

「なにこれ。貝殻?」

「ええ。貝殻……ですよね? 先日、呼び売りの方が村にいらっしゃって、たくさん売っていました。カラが村はずれのゴミ捨て場に捨ててあります。シャルロットも同じ物を食べたの?」

「ほう。ゴミ捨て場にこれと似た貝殻が捨ててあるのか。それは都合がいいぞ。これは貝殻に似ているが、海竜の鱗だ。ほら。内側をよく見ると、違うだろう。貝殻は日に当てると不思議な色合いで輝くが、鱗は表とそう変わらない。これは水中呼吸魔道具の素材にもなる貴重品だ。数を集めれば防具にもなる。私がこの手で討ったから正真正銘、本物の海竜の鱗だ。これを鑑定させてみよう」

「なるほど。たしかに鑑定スキルがあるなら間違えるはずはないし、逆に鑑定スキルがなければ今の俺やエナみたいに勘違いする。いい手だ。しかし、服を交換する作戦はなしだ。こんな屋外で着替えるな。もし通りすがりの男がお前の裸を見たら、俺はそいつの眼球をえぐり出すかもしれない」

「こら! 物騒なことを言うな。せめてステータスウインドウにしておけ」

 こら、に愛を感じる。
 へへっ、可愛いよ。俺のシャルロット! ← 声に出す度胸はない

「ああ……。それよりも、売る役はサフィに任せよう。獣人の子どもだからシャルロットよりもっと侮られるはずだ」

 シャルロットは髪が美しく肌が透きとおっていて明らかに貴人だから、服を交換しても庶民になりきるのは難しい。

 肌や髪を汚すと言いだしかねないが、俺はやだ。

「うむ。そうだな。そうしよう。ん。エナ?」

「……ねえ。海竜の鱗を獲れるなんて、シャルロット、貴方はただの旅人ではないの?」

「くっ……。我が身分を告げたい。しかし……」

 そっ……。

 シャルロットは両手で、エナの両手を包むように握る。

「私が身分を明かせば、私たちの友情が壊れてしまうかもしれない。私の瞳には、夏のひまわりのように明るく元気な貴方の笑顔を焼き付けておきたいんだ」

 なに言ってんだこいつ。

「シャルロット……」

「エナ……」

「私も貴方の、霊峰れいほうに咲く高貴な白い花エーデルワイスのような姿を瞳の中に閉じこめてしまい、私だけのものにしていつまでも愛していたいわ」

 こいつもなに言ってんだ。

「私のエナ!」

「私のシャルロット!」

 ふたりは抱きあった。

「エナ。君の肌の柔らかなぬくもりが伝わってくるよ」

「シャル。貴方の好機で謎めいた香りが私の肺を満たします。ああっ。どうしよう。貴方なしでは生きていられなくなってしまうわ」

「ああっ! 私の小さなエナ!」

「私の愛するシャル!」

 間に入ったら俺は殺されるな……。

 ……。

 なんかシャルロットの手の位置がやけに低いというか、少しずつ腰を抱き寄せて、そのあと尻を触ろうとしていないか?

 同性同士で合意の上なら何してもいいけど、こんな屋外ではやめようぜ。
 土地が余っていて広い田舎だから通行人はいないけどさ、見られる恐れはあるだろ。

「ブヒブヒ!」

 俺はメルディの鳴き真似をした。

 ふたりはばっと勢いよく離れた。

 エナは顔を真っ赤にして俯き、シャルロットは若干不機嫌そうに俺を睨んだ。

 これは、もう、確信だ。
 シャルロットが所属していた王国騎士団ロワイヤル・シュバリエの第一団は女騎士だけで構成された団だ。
 女子高生がふざけあって乳を揉みあったり、キスしたり腰をうちつけあったりするノリで、いちゃいちゃしていたに違いない。

 俺があと数年早く転生していたら「女だけの騎士団に俺が?!」な展開もありえたのだろうか……。
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