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【名有】不感症な受けは単なる開発不足でした♡
3話 一歩ずつ
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───後日。
「で、その、確認なんだけど。………他に好きな子ができたとか、本当は女の子の方が好きだとか……は、ない?」
「それは───ない」
「………よ、よかっ……たあああ……!俺たち、まだ付き合ってていいんだよね?」
「………うん」
改めて確認された事に少し恥じらいを感じつつも返事を返すと、浅海の表情がふにゃりと緩み、思わず抱き着きたかったのか、腕を上げたと思ったら持て余したまま、その手を降ろした。
「………スマホ見る?」
「えぇ!?そんなプライバシー踏み込むことは色々抑え効かなくなっちゃうからダメ……!」
見たいような見たくないようなそんなアタフタとした様子で浅海は返す。
「……ごめん。オレが浅海に甘えてばっかりだったから」
「そんな事……!俺の方こそ、ごめん。深鳥のこと襲っちゃって……」
「ううん、そういうの期待する関係になったんだし……はっきりさせなきゃいけなかったよね」
「………うん。それについて、なんだけどさ」
浅海は言葉を選んでいるのか、考え込んだり話そうとする仕草をしては思い悩んだりを繰り返し、神妙な面持ちで、ゆっくりと口を開いた。
「あの、ね。段階は踏むし、踏まなきゃいけない事は前提として。……最終的には、その……」
「あ……うん……、調べたから、最終的にナニするかは……知ってる」
身振り手振りで、ナニをするかを説明しようとしてアタフタとする浅海を察して、きちんと興味があった事はきちんと伝える。
「そ、そっか…!そっか…調べてくれて…たんだ」
ほっとしたような恥ずかしいような目を白黒させたり顔を赤らめたりで、普段はない慌ててばかりの忙しい浅海はとても新鮮に感じる。今回の事は、最初でさえ驚き、戦慄したが、感情をコロコロ表現してくれる今の浅海を見て、ただ拒否するだけにせずに本当に良かったと思える。
そんな浅海を見ていると、ついこちらも頬が緩む。それに気づいたのか、浅海も咳払いしつつ、少しずつ肩を撫で降ろす。
「ンン"ッ…!えと、それで。……調べて、どう思った?」
「………うわっ、とは思った」
浅海を気遣って抑えた表現にはしたが、実際にはウゲ、無理……と思って全部読むまでは至っていない。ただドコの何を使うか、程度の知識だ。
「だよね………」
しばらくの沈黙。
やる事は決まってはいるけれど、すぐに快諾してやり出そう!というにはハードルが高く、しばし気持ちの整理のためにもどうしても悩んでしまう。
そんな重い空気になりつつも浅海がその場を切り出す。
「ちょっとずつ、慣れていってもらいたいんだけど……いいかな?」
「……ちょっとずつなら……たぶん、大丈夫」
本当ならそれを目的として慣らしていくという事を始める事態がとても気が重い。でもやらなきゃ、いつまでも慣れることもないし、親友止まりの関係のままだ。
プラトニックな関係を続けるという手もあるけれど、恐らく、このままだと浅海にとって同居を続けるのはキツイだろう。本当にできないなら、お互いの為に区切りをつけなきゃいけない。
「深鳥って女の子含んでシタ経験ってそもそもなんもないんだっけ?」
唐突に経験の事を聞かれ、思わず吹き出しそうになるが、ぐっと堪えて慎重に言葉を紡ぐ。
「な゛…ない、けど」
そう。なんもないのだ。浅海はそれを茶化すことはしないし、いまは経験あるかないかは恐らく必要な事なのだろうけれど、どこか変なプライドが働いて、明確に答えるのがしんどい。
「あ、ごめん。悪い意味で言ったんじゃなくて………何から慣れていけばいいかの基準を決めたくてさ。まず肌が触れ合うことから慣れる方がいいのかなって」
「……それってすぐには後ろ慣らし始めないって、こと?」
「うん。……昨日の夜、その、した時さ。勃起もできてなかったでしょ?」
「それは………」
浅海、気づいていたんだ。こちらが何も性的な反応ができなかったことに。自分でも悔しかったが、好きな相手に自分に興奮してくれているのに反応できなかった。
「あ、これもね、確認の為だから気にしないで。……こっちもあんな事して悪かったんだけど……リラックスできなきゃ中々難しいと思うから」
色々話し合った結果、まずはお互いが触り合うことや、肌を委ねることに慣れてリラックスできることを目指そうということになった。
少し気が楽になったようで、こんな牛歩でいいのだろうかという焦りと、結局浅海に甘えていることに変わらないのではないかという複雑な気持ちを抱えつつ、初歩的な一歩から歩み始めることに決め、明日から実践していくこととなった。
「で、その、確認なんだけど。………他に好きな子ができたとか、本当は女の子の方が好きだとか……は、ない?」
「それは───ない」
「………よ、よかっ……たあああ……!俺たち、まだ付き合ってていいんだよね?」
「………うん」
改めて確認された事に少し恥じらいを感じつつも返事を返すと、浅海の表情がふにゃりと緩み、思わず抱き着きたかったのか、腕を上げたと思ったら持て余したまま、その手を降ろした。
「………スマホ見る?」
「えぇ!?そんなプライバシー踏み込むことは色々抑え効かなくなっちゃうからダメ……!」
見たいような見たくないようなそんなアタフタとした様子で浅海は返す。
「……ごめん。オレが浅海に甘えてばっかりだったから」
「そんな事……!俺の方こそ、ごめん。深鳥のこと襲っちゃって……」
「ううん、そういうの期待する関係になったんだし……はっきりさせなきゃいけなかったよね」
「………うん。それについて、なんだけどさ」
浅海は言葉を選んでいるのか、考え込んだり話そうとする仕草をしては思い悩んだりを繰り返し、神妙な面持ちで、ゆっくりと口を開いた。
「あの、ね。段階は踏むし、踏まなきゃいけない事は前提として。……最終的には、その……」
「あ……うん……、調べたから、最終的にナニするかは……知ってる」
身振り手振りで、ナニをするかを説明しようとしてアタフタとする浅海を察して、きちんと興味があった事はきちんと伝える。
「そ、そっか…!そっか…調べてくれて…たんだ」
ほっとしたような恥ずかしいような目を白黒させたり顔を赤らめたりで、普段はない慌ててばかりの忙しい浅海はとても新鮮に感じる。今回の事は、最初でさえ驚き、戦慄したが、感情をコロコロ表現してくれる今の浅海を見て、ただ拒否するだけにせずに本当に良かったと思える。
そんな浅海を見ていると、ついこちらも頬が緩む。それに気づいたのか、浅海も咳払いしつつ、少しずつ肩を撫で降ろす。
「ンン"ッ…!えと、それで。……調べて、どう思った?」
「………うわっ、とは思った」
浅海を気遣って抑えた表現にはしたが、実際にはウゲ、無理……と思って全部読むまでは至っていない。ただドコの何を使うか、程度の知識だ。
「だよね………」
しばらくの沈黙。
やる事は決まってはいるけれど、すぐに快諾してやり出そう!というにはハードルが高く、しばし気持ちの整理のためにもどうしても悩んでしまう。
そんな重い空気になりつつも浅海がその場を切り出す。
「ちょっとずつ、慣れていってもらいたいんだけど……いいかな?」
「……ちょっとずつなら……たぶん、大丈夫」
本当ならそれを目的として慣らしていくという事を始める事態がとても気が重い。でもやらなきゃ、いつまでも慣れることもないし、親友止まりの関係のままだ。
プラトニックな関係を続けるという手もあるけれど、恐らく、このままだと浅海にとって同居を続けるのはキツイだろう。本当にできないなら、お互いの為に区切りをつけなきゃいけない。
「深鳥って女の子含んでシタ経験ってそもそもなんもないんだっけ?」
唐突に経験の事を聞かれ、思わず吹き出しそうになるが、ぐっと堪えて慎重に言葉を紡ぐ。
「な゛…ない、けど」
そう。なんもないのだ。浅海はそれを茶化すことはしないし、いまは経験あるかないかは恐らく必要な事なのだろうけれど、どこか変なプライドが働いて、明確に答えるのがしんどい。
「あ、ごめん。悪い意味で言ったんじゃなくて………何から慣れていけばいいかの基準を決めたくてさ。まず肌が触れ合うことから慣れる方がいいのかなって」
「……それってすぐには後ろ慣らし始めないって、こと?」
「うん。……昨日の夜、その、した時さ。勃起もできてなかったでしょ?」
「それは………」
浅海、気づいていたんだ。こちらが何も性的な反応ができなかったことに。自分でも悔しかったが、好きな相手に自分に興奮してくれているのに反応できなかった。
「あ、これもね、確認の為だから気にしないで。……こっちもあんな事して悪かったんだけど……リラックスできなきゃ中々難しいと思うから」
色々話し合った結果、まずはお互いが触り合うことや、肌を委ねることに慣れてリラックスできることを目指そうということになった。
少し気が楽になったようで、こんな牛歩でいいのだろうかという焦りと、結局浅海に甘えていることに変わらないのではないかという複雑な気持ちを抱えつつ、初歩的な一歩から歩み始めることに決め、明日から実践していくこととなった。
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