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76 ドラゴン討伐の褒賞
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王は、想像よりも若い美丈夫だった。
短く切りそろえられた金髪は爽やかで、瞳は鮮やかな赤色をしている。
年頃の娘がいるくらいだから、それなりの年齢なのだろうが、どう見ても20代にしか見えない。
付き添いのイルの真似をして、片膝をついて頭を下げる。
「面を上げよ」
そう言われ、ゆっくりと頭を上げる。
視線は玉座の足元辺りにあわせる。
高貴な方の顔をまじまじ見るのは、失礼に当たるらしい。
「そなたたちが、ドラゴン討伐を成し遂げたというのは事実か?」
「はい、嘘偽りはございません」
飄々とノアが答える。
俺は心臓が口から出そうなほど緊張しているのに、普段と変わらぬ様子のノアが妬ましい。
ちらりと横目で妻を見る。
妻も緊張しているのか、青い顔をして震えながらコトラを抱きしめていた。
……自分よりも焦っている人がいると、冷静になれるという話は事実のようだ。
妻を見ていると、気分がすっと落ち着くのがわかった。
謁見の間には、多くの貴族が集まっていた。
ドラゴンを討伐した冒険者がいるという噂は、瞬く間に王都に広がったらしい。
王都に滞在中の貴族がこぞって同席することになったと、王城までの道中でイルが教えてくれた。
「ドラゴンの素材はつま先から血の一滴に至るまで、すべて貴重なもの。ぜひ国で買い取らせてもらいたいのだが、かまわぬか?」
王の側近らしき男が問いかける。
ノアは二つ返事で了承した。
ドラゴン討伐はめったにないため、正確な鑑定には時間がかかるらしい。
買取金額については、後日通達されることになった。
「こたびの活躍を称え、そなたらに褒賞を授けよう。何か、希望はあるか?」
「褒賞でございますか?」
「ああ爵位や領地などはどうだ」
どうやら、俺たちをさっそく囲い込もうとしているのだろう。
爵位や領地を与え、国に縛り付けてしまおうという魂胆が透けて見える。
「いいえ、我々には爵位も領地も不要です」
はっきりノアが答えると、どよめきが広がった。
断ることはないだろうと、この場にいる貴族の誰もが思っていたに違いない。
「それでは、何を望む?」
王が問いかける。
ノアはふっと不敵に笑って「ただ一人、救っていただきたい娘がおります」と言った。
それは誰なのだと、王が訊ねる。
しかしノアは、首を横に振った。
「娘の尊厳にかかわることにございます。この場で仔細を語るのは、ご容赦いただきたく存じます」
王は少し考え、ノアの言葉を了承した。
そして、謁見が終わったら、個別に話を聞くことを約束してくれた。
一歩前進だ。
そう思い、心の中でガッツポーズをした。
※
謁見の間を退出したあと、俺たちは応接間に案内された。
ここは王の個人的な来客用の応接間だという。
そんな場所に、こんな平民がいてもいいものかとそわそわする。
室内は追いついた雰囲気だが、見る目のない俺でもわかるほど、調度品はどれも一流の品ばかり。
また緊張がぶり返してきた俺は、妻をちらりと見た。
しかし妻は先程とは打って変わり、キラキラと瞳を輝かせて部屋の中を見渡している。
どうやらこの場は、妻にとっては緊張の対象外らしい。
自分の以外の人が落ち着いていたら、緊張はさらに増すものなんだなぁ。
そんなことを思いながらうつむいていると、コンコンコンとノックの音が響いた。
ゆっくりと開いた扉の先には、きれいな少女が立っていた。
照明の光を受けてキラキラ光るブロンドは美しく編み込まれ、リボンや花で飾られている。
シックな色合いのドレスには小さな宝石がちりばめられていて、揺れるたびに輝く。
圧倒的な美少女だ。
「はじめまして、私はこの国の第一王女、ロエナ・エスタートと申します」
そう名乗り、少女は花がほころぶように微笑んだ。
短く切りそろえられた金髪は爽やかで、瞳は鮮やかな赤色をしている。
年頃の娘がいるくらいだから、それなりの年齢なのだろうが、どう見ても20代にしか見えない。
付き添いのイルの真似をして、片膝をついて頭を下げる。
「面を上げよ」
そう言われ、ゆっくりと頭を上げる。
視線は玉座の足元辺りにあわせる。
高貴な方の顔をまじまじ見るのは、失礼に当たるらしい。
「そなたたちが、ドラゴン討伐を成し遂げたというのは事実か?」
「はい、嘘偽りはございません」
飄々とノアが答える。
俺は心臓が口から出そうなほど緊張しているのに、普段と変わらぬ様子のノアが妬ましい。
ちらりと横目で妻を見る。
妻も緊張しているのか、青い顔をして震えながらコトラを抱きしめていた。
……自分よりも焦っている人がいると、冷静になれるという話は事実のようだ。
妻を見ていると、気分がすっと落ち着くのがわかった。
謁見の間には、多くの貴族が集まっていた。
ドラゴンを討伐した冒険者がいるという噂は、瞬く間に王都に広がったらしい。
王都に滞在中の貴族がこぞって同席することになったと、王城までの道中でイルが教えてくれた。
「ドラゴンの素材はつま先から血の一滴に至るまで、すべて貴重なもの。ぜひ国で買い取らせてもらいたいのだが、かまわぬか?」
王の側近らしき男が問いかける。
ノアは二つ返事で了承した。
ドラゴン討伐はめったにないため、正確な鑑定には時間がかかるらしい。
買取金額については、後日通達されることになった。
「こたびの活躍を称え、そなたらに褒賞を授けよう。何か、希望はあるか?」
「褒賞でございますか?」
「ああ爵位や領地などはどうだ」
どうやら、俺たちをさっそく囲い込もうとしているのだろう。
爵位や領地を与え、国に縛り付けてしまおうという魂胆が透けて見える。
「いいえ、我々には爵位も領地も不要です」
はっきりノアが答えると、どよめきが広がった。
断ることはないだろうと、この場にいる貴族の誰もが思っていたに違いない。
「それでは、何を望む?」
王が問いかける。
ノアはふっと不敵に笑って「ただ一人、救っていただきたい娘がおります」と言った。
それは誰なのだと、王が訊ねる。
しかしノアは、首を横に振った。
「娘の尊厳にかかわることにございます。この場で仔細を語るのは、ご容赦いただきたく存じます」
王は少し考え、ノアの言葉を了承した。
そして、謁見が終わったら、個別に話を聞くことを約束してくれた。
一歩前進だ。
そう思い、心の中でガッツポーズをした。
※
謁見の間を退出したあと、俺たちは応接間に案内された。
ここは王の個人的な来客用の応接間だという。
そんな場所に、こんな平民がいてもいいものかとそわそわする。
室内は追いついた雰囲気だが、見る目のない俺でもわかるほど、調度品はどれも一流の品ばかり。
また緊張がぶり返してきた俺は、妻をちらりと見た。
しかし妻は先程とは打って変わり、キラキラと瞳を輝かせて部屋の中を見渡している。
どうやらこの場は、妻にとっては緊張の対象外らしい。
自分の以外の人が落ち着いていたら、緊張はさらに増すものなんだなぁ。
そんなことを思いながらうつむいていると、コンコンコンとノックの音が響いた。
ゆっくりと開いた扉の先には、きれいな少女が立っていた。
照明の光を受けてキラキラ光るブロンドは美しく編み込まれ、リボンや花で飾られている。
シックな色合いのドレスには小さな宝石がちりばめられていて、揺れるたびに輝く。
圧倒的な美少女だ。
「はじめまして、私はこの国の第一王女、ロエナ・エスタートと申します」
そう名乗り、少女は花がほころぶように微笑んだ。
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