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102 謝罪
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そのとき、部屋にノックの音が響いた。
ロエナの護衛騎士が扉を少し開け、外を確認する。
そして驚いた様子を見せてから、すぐに扉を大きく開けた放った。
扉の先には、王の姿があった。
「邪魔をしたかな?」
そういった王に「とんでもない」というと、王は眉を下げて微笑んだ。
その顔は、やはりロエナとよく似ている。
「シャルロッテ嬢とシオリ嬢に、怖い思いをさせてしまったと聞いてな。会議がなかなか終わらず、様子を見にくるのが遅れてすまなかった」
「え、いえ……。陛下がとりなしてくださったと伺いました。ありがとうございます」
シャルロッテがぺこりと頭を下げる。
「魔物の発生状況を報告してもらうため、各地の領主に召集をかけていたのだ。シャルロッテ嬢の滞在場所とは離れた部屋を指定していたため、遭遇することはないと踏んでいたのだが、まさか城内を探し回るとは……」
「父が勝手をして申し訳ありません……」
「いや、城を出るまで監視を付けなかったこちらの不手際だ。ふたりとも、怪我はなかったか?」
「大丈夫です」
ふたりの無事については報告を受けていたはずだが、実際に姿を見て安心したらしい。
王の緊張が少し和らいだように見えた。
そして王は、俺やコトラにも頭を下げてくれた。
必要ないと固辞すると、王は困ったような顔をした。
「魔物の討伐依頼をイツキ殿にお願いしたのはこちらだ。今回の件も、イツキ殿がそばにいれば回避できたかもしれない」
「それは……」
「シャルロッテ嬢とシオリ嬢を安全な王城で保護しておくのが、そなたの出した条件だっただろう。それを反故にしてしまったのだ。許されるべきことではない」
「……確かに、対処次第ではトラブルを未然に防ぐこともできたかもしれません。しかし緊急事態のさなか、行き届かない部分があるのは仕方のないことです。陛下のおかげで、ふたりとも理不尽な扱いを受けることはなかったと聞きました。ありがとうございます」
俺が笑うと、王は不意を突かれたような顔をした。
そしてふっと笑みをこぼした。
「そなたらが本気を出せば、国を亡ぼすことも可能だろうに。……寛大なお心に感謝する」
国を亡ぼすだなんて、大げさな。
そう思ったが、俺たちが討伐したドラゴンは、いくつかの国を滅ぼしたことのある厄災級の魔物だったとノアが言っていた。
そう考えると、俺たちの力は想像以上に強いものなのかもしれない。
まあ、ノアと神様のくれたチートアイテムによるものが大きいだろうが。
「明日以降は警備体制を強化する。しかしイツキ殿が気になるようであれば、討伐への参加を強要するつもりはない」
つまり、シャルロッテや妻が心配なら、討伐に参加せずにふたりのそばにいてもいいということだろう。
願ってもみない申し出だ。
申し出を受け入れようと口を開こうとしたとき、俺にしがみついたままだった妻が服の裾を引っ張った。
「詩織?」
「……だめだよ」
「何が……」
「討伐、ちゃんといかなきゃだめ!」
意外だった。
俺と一緒にいられるとわかれば、喜ぶかと思ったのだが。
俺が戸惑っていると、妻が続けた。
「伊月くんがお留守番しているとき、強い魔物が出てきたらどうするの?姫様が怪我をすると、シャルも泣いちゃうよ?」
「……でも……」
「詩織は強いから大丈夫!コトラもいるし、シャルもちゃんと守れるよ。今日だって頑張れたもん」
妻がまっすぐに俺を見つめる。
目元は泣きはらして真っ赤になっていて、鼻水まで出ている。
見知らぬ大人に怒鳴りつけられ、涙が止まらなくなるほど怖い思いをしたはずなのに、それでも人を一番に思いやる妻を誇らしく思う。
俺は引き下がりたかったが、こうなった妻が折れないことはよく知っている。
「……わかったよ。でも、無理はしないように」
俺がそう言うと、妻は嬉しそうに頷いた。
ロエナの護衛騎士が扉を少し開け、外を確認する。
そして驚いた様子を見せてから、すぐに扉を大きく開けた放った。
扉の先には、王の姿があった。
「邪魔をしたかな?」
そういった王に「とんでもない」というと、王は眉を下げて微笑んだ。
その顔は、やはりロエナとよく似ている。
「シャルロッテ嬢とシオリ嬢に、怖い思いをさせてしまったと聞いてな。会議がなかなか終わらず、様子を見にくるのが遅れてすまなかった」
「え、いえ……。陛下がとりなしてくださったと伺いました。ありがとうございます」
シャルロッテがぺこりと頭を下げる。
「魔物の発生状況を報告してもらうため、各地の領主に召集をかけていたのだ。シャルロッテ嬢の滞在場所とは離れた部屋を指定していたため、遭遇することはないと踏んでいたのだが、まさか城内を探し回るとは……」
「父が勝手をして申し訳ありません……」
「いや、城を出るまで監視を付けなかったこちらの不手際だ。ふたりとも、怪我はなかったか?」
「大丈夫です」
ふたりの無事については報告を受けていたはずだが、実際に姿を見て安心したらしい。
王の緊張が少し和らいだように見えた。
そして王は、俺やコトラにも頭を下げてくれた。
必要ないと固辞すると、王は困ったような顔をした。
「魔物の討伐依頼をイツキ殿にお願いしたのはこちらだ。今回の件も、イツキ殿がそばにいれば回避できたかもしれない」
「それは……」
「シャルロッテ嬢とシオリ嬢を安全な王城で保護しておくのが、そなたの出した条件だっただろう。それを反故にしてしまったのだ。許されるべきことではない」
「……確かに、対処次第ではトラブルを未然に防ぐこともできたかもしれません。しかし緊急事態のさなか、行き届かない部分があるのは仕方のないことです。陛下のおかげで、ふたりとも理不尽な扱いを受けることはなかったと聞きました。ありがとうございます」
俺が笑うと、王は不意を突かれたような顔をした。
そしてふっと笑みをこぼした。
「そなたらが本気を出せば、国を亡ぼすことも可能だろうに。……寛大なお心に感謝する」
国を亡ぼすだなんて、大げさな。
そう思ったが、俺たちが討伐したドラゴンは、いくつかの国を滅ぼしたことのある厄災級の魔物だったとノアが言っていた。
そう考えると、俺たちの力は想像以上に強いものなのかもしれない。
まあ、ノアと神様のくれたチートアイテムによるものが大きいだろうが。
「明日以降は警備体制を強化する。しかしイツキ殿が気になるようであれば、討伐への参加を強要するつもりはない」
つまり、シャルロッテや妻が心配なら、討伐に参加せずにふたりのそばにいてもいいということだろう。
願ってもみない申し出だ。
申し出を受け入れようと口を開こうとしたとき、俺にしがみついたままだった妻が服の裾を引っ張った。
「詩織?」
「……だめだよ」
「何が……」
「討伐、ちゃんといかなきゃだめ!」
意外だった。
俺と一緒にいられるとわかれば、喜ぶかと思ったのだが。
俺が戸惑っていると、妻が続けた。
「伊月くんがお留守番しているとき、強い魔物が出てきたらどうするの?姫様が怪我をすると、シャルも泣いちゃうよ?」
「……でも……」
「詩織は強いから大丈夫!コトラもいるし、シャルもちゃんと守れるよ。今日だって頑張れたもん」
妻がまっすぐに俺を見つめる。
目元は泣きはらして真っ赤になっていて、鼻水まで出ている。
見知らぬ大人に怒鳴りつけられ、涙が止まらなくなるほど怖い思いをしたはずなのに、それでも人を一番に思いやる妻を誇らしく思う。
俺は引き下がりたかったが、こうなった妻が折れないことはよく知っている。
「……わかったよ。でも、無理はしないように」
俺がそう言うと、妻は嬉しそうに頷いた。
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