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103 通信
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ノアから連絡がきたのは、その日の夜だった。
いろいろあって疲れていたのか、妻はすぐに寝入っていて、俺もそろそろ寝ようと思っていたところだった。
伝書鳩が俺の目の前をくるくる回ったかと思うと、急にしゃべりだしたのだ。
『伊月くん、聞こえるかな?』
ノアの声だ。
伝書鳩からノアの声がする。
俺は戸惑いつつも、返事を返した。
「き、聞こえる……」
『そっちはどうだい?』
「あ……ちょっと大変なことになってて……」
俺はノアに事情を説明した。
この国では魔王誕生時くらいしか起こらない、珍しい地震が発生したこと。
魔物がダンジョンからあふれているらしいこと。
そしてシャルロッテを連れ戻そうとダルモーテ侯爵が行動を起こしたこと。
ノアは驚くことなく、黙って話を聞いていた。
そして俺が話し終えてから、口を開いた。
『ごめんね、地震と魔物の増加はこっちのせいなんだ』
「……は?!」
『女神が代替わりに猛反発して暴れちゃってさ、そっちの世界にも影響しちゃったんだ。代替わりが完了したら落ち着くと思うんだけど、もう少し時間がかかりそうでね』
「そうなのか……」
『それで、伊月くんと詩織ちゃんはさ、コトラやシャルちゃんといっしょに安全な場所で結界を張って閉じこもっておいてほしいんだ。世界の異変はじきに収まるし、わざわざ君たちが危険を冒す必要はない。僕が戻るまで、自分たちの身の安全を最優先に行動してほしい』
ノアはそういったが、目の前で困っている人がいるのに、自分だけのうのうと安全圏で過ごすつもりはない。
自分にできることがあるのに、見て見ぬふりをして、お世話になった人たちにもしものことがあったら、俺は俺を許せないだろう。
俺がそう言うと、ノアは予想していたのか『仕方ないね』とあきれたような声を出した。
顔は見えないが、なんだかノアが笑っているような気がした。
ぽうっと急に伝書鳩が光ったかと思えば、4つの小さな小鳥に分裂した。
そしてそのうちの2羽が妻とコトラの腕にとまったかと思ったら、腕輪に姿を変えた。
驚いていると、俺の前に残った2羽のうち、片方の小鳥が話を続けた。
『その腕輪を身に着けている者同士なら、どんなに離れていても互いの危険を察知できるようになる。無線機能も付けておいたから、いざというときはそれで連絡を取り合うこと。残りの2つは、伊月くんとシャルちゃんの分だよ』
「わ、わかった。シャルちゃんにはちょっと大きい気もするけど……」
『持ち主に合わせて自動でサイズ調節するから、大丈夫。コトラにもぴったりフィットしてるでしょ』
また何とも便利なものを。
そう思いつつも、離れた場所でも互いの危険を知らせ合えるというのは助かる。
明日の討伐にも、安心して臨めるというものだ。
ありがとな、と礼を言うと『あんまり危ないことをしちゃだめだよ』とくぎを刺された。
『前にも言ったけど、僕は君たちに大層な使命を背負わせる気はないからね。命がけの戦いに身を投じたりなんて、絶対しないでよ』
まるで過保護な保護者みたいだ。
そう思うと、なんだか笑えてきた。
俺も過保護なタチだから、娘の柚乃はもちろん、妻の詩織にもついあれこれと口を出しては嫌な顔をされることが多い。
そんな俺が心配され、小言を言われているのというのが、なんだかおかしかった。
『ちなみに、伝書鳩のときと同じように、僕にもコンタクトは取れるからね。困ったことがあればすぐに連絡してね』
「わかったわかった」
『……本当にわかってる?僕は今、そっちの世界にいないから、あんまり君たちのこと把握できないんだからね?』
ノアが、ちょっと拗ねたような声で言う。
俺はノアの気遣いをありがたく思いながら「帰りを待っている」と伝えた。
『……うん、もうすぐ帰るね』
少しの間の後、ノアが言った。
その声は、どこか嬉しそうに聞こえた。
いろいろあって疲れていたのか、妻はすぐに寝入っていて、俺もそろそろ寝ようと思っていたところだった。
伝書鳩が俺の目の前をくるくる回ったかと思うと、急にしゃべりだしたのだ。
『伊月くん、聞こえるかな?』
ノアの声だ。
伝書鳩からノアの声がする。
俺は戸惑いつつも、返事を返した。
「き、聞こえる……」
『そっちはどうだい?』
「あ……ちょっと大変なことになってて……」
俺はノアに事情を説明した。
この国では魔王誕生時くらいしか起こらない、珍しい地震が発生したこと。
魔物がダンジョンからあふれているらしいこと。
そしてシャルロッテを連れ戻そうとダルモーテ侯爵が行動を起こしたこと。
ノアは驚くことなく、黙って話を聞いていた。
そして俺が話し終えてから、口を開いた。
『ごめんね、地震と魔物の増加はこっちのせいなんだ』
「……は?!」
『女神が代替わりに猛反発して暴れちゃってさ、そっちの世界にも影響しちゃったんだ。代替わりが完了したら落ち着くと思うんだけど、もう少し時間がかかりそうでね』
「そうなのか……」
『それで、伊月くんと詩織ちゃんはさ、コトラやシャルちゃんといっしょに安全な場所で結界を張って閉じこもっておいてほしいんだ。世界の異変はじきに収まるし、わざわざ君たちが危険を冒す必要はない。僕が戻るまで、自分たちの身の安全を最優先に行動してほしい』
ノアはそういったが、目の前で困っている人がいるのに、自分だけのうのうと安全圏で過ごすつもりはない。
自分にできることがあるのに、見て見ぬふりをして、お世話になった人たちにもしものことがあったら、俺は俺を許せないだろう。
俺がそう言うと、ノアは予想していたのか『仕方ないね』とあきれたような声を出した。
顔は見えないが、なんだかノアが笑っているような気がした。
ぽうっと急に伝書鳩が光ったかと思えば、4つの小さな小鳥に分裂した。
そしてそのうちの2羽が妻とコトラの腕にとまったかと思ったら、腕輪に姿を変えた。
驚いていると、俺の前に残った2羽のうち、片方の小鳥が話を続けた。
『その腕輪を身に着けている者同士なら、どんなに離れていても互いの危険を察知できるようになる。無線機能も付けておいたから、いざというときはそれで連絡を取り合うこと。残りの2つは、伊月くんとシャルちゃんの分だよ』
「わ、わかった。シャルちゃんにはちょっと大きい気もするけど……」
『持ち主に合わせて自動でサイズ調節するから、大丈夫。コトラにもぴったりフィットしてるでしょ』
また何とも便利なものを。
そう思いつつも、離れた場所でも互いの危険を知らせ合えるというのは助かる。
明日の討伐にも、安心して臨めるというものだ。
ありがとな、と礼を言うと『あんまり危ないことをしちゃだめだよ』とくぎを刺された。
『前にも言ったけど、僕は君たちに大層な使命を背負わせる気はないからね。命がけの戦いに身を投じたりなんて、絶対しないでよ』
まるで過保護な保護者みたいだ。
そう思うと、なんだか笑えてきた。
俺も過保護なタチだから、娘の柚乃はもちろん、妻の詩織にもついあれこれと口を出しては嫌な顔をされることが多い。
そんな俺が心配され、小言を言われているのというのが、なんだかおかしかった。
『ちなみに、伝書鳩のときと同じように、僕にもコンタクトは取れるからね。困ったことがあればすぐに連絡してね』
「わかったわかった」
『……本当にわかってる?僕は今、そっちの世界にいないから、あんまり君たちのこと把握できないんだからね?』
ノアが、ちょっと拗ねたような声で言う。
俺はノアの気遣いをありがたく思いながら「帰りを待っている」と伝えた。
『……うん、もうすぐ帰るね』
少しの間の後、ノアが言った。
その声は、どこか嬉しそうに聞こえた。
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