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132 信頼
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どうして俺が異世界人だとわかったのかと問いかけると、情報屋はネックレスを揺らしながら「こいつの効果だ」と返した。
このネックレスは、異世界人を見分けて光を放つ効果が付与されている魔法道具だという。
「異世界人を……?」
「ああ。俺のお手製だ。すごいだろ?」
「確かにすごいですが。どういう仕組みで?この世界には、いろんな世界からやってきた異世界人がいるのでしょう?識別するのは難しいんじゃ……」
「ああ、言葉が足りなかったな。俺の研究結果によって、生物に備わっている魔力には、世界ごとに特性がでることがわかっている。つまり異世界人には、この世界特有の魔力の特性はないということだ。この魔法道具は、この世界の魔力特性がないやつに反応する」
どちらにせよ、すごい仕組みだ。
優秀な魔法道具師だという斎藤の話が、改めて真実味を増す。
「これ、淡く光ってるだろ?これは近くに異世界人がいるってサインなんだ。てっきりこいつに反応しているんだと思ってたが」
情報屋がぎろりと斎藤を睨んだが、斎藤はやはり涼しい顔で無反応を貫いている。
「ほかに仲間はいないのか?」
「一応何人かはいるんですが……」
「……全員異世界人か?」
「……ええ、まぁ……」
俺の答えに、情報屋はため息をついた。
そして、ネックレスを再び俺に向かって投げ渡してくる。
思わず受け取ったが、またあの眩しい光がくるのかと、きつく目を閉じる。
しかし、いくら待っても先ほどのような強烈な光は感じなかった。
恐る恐る目を開けると、宝石は淡い光すら放っていなかった。
「……あれ?」
気の抜けた声を出し、情報屋のほうを見る。
俺の反応がおかしかったのか、情報屋は肩を震わせて笑いをこらえていた。
少しムッとしつつ「次はどうなってるんです?」と問いかける。
「スイッチを切ったんだよ。宝石のとこに小さなボタンみたいなのがついてるだろ。それで効果のオンオフができるから、使えそうな場面以外ではスイッチを切っておくといい」
「あ、ありがとうございます……」
「ま、使える場面があるかは知らないがな。返却するときに使用感をレポートにして提出しろよ?」
そう言って前髪をかきあげながら笑った情報屋は、だらしない恰好とは相反して、相当な美形だった。
俺が驚いて固まっていると、怪訝そうな目を向けてくる。
「なんだよ?」
「あ、いや、いろいろ予想外のことが多くて」
「は?……まあいい。ところでお前、見た目がこいつに似てんな」
情報屋は斎藤を顎で指しながらいう。
同郷なのだと答えると、驚いた顔をした。
「まじかよ!お前、元の世界の人間に会うのなんて、数十年ぶりだろ。よかったじゃねえか」
「まあな」
「お前、元の世界に戻るのはあきらめたって言ってたけど、こいつと探したらまた可能性はあるんじゃねぇの?もうちょっと頑張ってみたらどうだ?」
「……そうだな。まあ、考えておく」
「情報が必要になったら、ぜひうちをご贔屓に。金払いのいい客は歓迎だぜ」
そうして情報屋は、すっかり短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
そして斎藤に向かって、ぽつりと呟いた。
「……死ぬなよ、英雄」
斎藤は軽く眉を下げ「何を藪から棒に」と返したが、情報屋が真面目な顔をしていたので、戸惑った様子だった。
情報屋は俺に視線を向け、こう続けた。
「お前、このおっさんを頼むぞ。こう見えてもういい年だからな。そろそろガタがきてもおかしくない」
「おい……」
「それに、こいつはあほがつくほどお人よしだからな。変なトラブルに巻き込まれないよう、目を光らせとけよ」
なんだかんだ言いつつ、情報屋は単に斎藤を心配しているらしい。
いい友人なんだな。
2人を見て、そう思う。
斎藤はこの異世界で孤独に生きてきたのだと思っていたが、信頼しあえる仲間がいたのだ。
それがなんだか、うれしく思えた。
このネックレスは、異世界人を見分けて光を放つ効果が付与されている魔法道具だという。
「異世界人を……?」
「ああ。俺のお手製だ。すごいだろ?」
「確かにすごいですが。どういう仕組みで?この世界には、いろんな世界からやってきた異世界人がいるのでしょう?識別するのは難しいんじゃ……」
「ああ、言葉が足りなかったな。俺の研究結果によって、生物に備わっている魔力には、世界ごとに特性がでることがわかっている。つまり異世界人には、この世界特有の魔力の特性はないということだ。この魔法道具は、この世界の魔力特性がないやつに反応する」
どちらにせよ、すごい仕組みだ。
優秀な魔法道具師だという斎藤の話が、改めて真実味を増す。
「これ、淡く光ってるだろ?これは近くに異世界人がいるってサインなんだ。てっきりこいつに反応しているんだと思ってたが」
情報屋がぎろりと斎藤を睨んだが、斎藤はやはり涼しい顔で無反応を貫いている。
「ほかに仲間はいないのか?」
「一応何人かはいるんですが……」
「……全員異世界人か?」
「……ええ、まぁ……」
俺の答えに、情報屋はため息をついた。
そして、ネックレスを再び俺に向かって投げ渡してくる。
思わず受け取ったが、またあの眩しい光がくるのかと、きつく目を閉じる。
しかし、いくら待っても先ほどのような強烈な光は感じなかった。
恐る恐る目を開けると、宝石は淡い光すら放っていなかった。
「……あれ?」
気の抜けた声を出し、情報屋のほうを見る。
俺の反応がおかしかったのか、情報屋は肩を震わせて笑いをこらえていた。
少しムッとしつつ「次はどうなってるんです?」と問いかける。
「スイッチを切ったんだよ。宝石のとこに小さなボタンみたいなのがついてるだろ。それで効果のオンオフができるから、使えそうな場面以外ではスイッチを切っておくといい」
「あ、ありがとうございます……」
「ま、使える場面があるかは知らないがな。返却するときに使用感をレポートにして提出しろよ?」
そう言って前髪をかきあげながら笑った情報屋は、だらしない恰好とは相反して、相当な美形だった。
俺が驚いて固まっていると、怪訝そうな目を向けてくる。
「なんだよ?」
「あ、いや、いろいろ予想外のことが多くて」
「は?……まあいい。ところでお前、見た目がこいつに似てんな」
情報屋は斎藤を顎で指しながらいう。
同郷なのだと答えると、驚いた顔をした。
「まじかよ!お前、元の世界の人間に会うのなんて、数十年ぶりだろ。よかったじゃねえか」
「まあな」
「お前、元の世界に戻るのはあきらめたって言ってたけど、こいつと探したらまた可能性はあるんじゃねぇの?もうちょっと頑張ってみたらどうだ?」
「……そうだな。まあ、考えておく」
「情報が必要になったら、ぜひうちをご贔屓に。金払いのいい客は歓迎だぜ」
そうして情報屋は、すっかり短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
そして斎藤に向かって、ぽつりと呟いた。
「……死ぬなよ、英雄」
斎藤は軽く眉を下げ「何を藪から棒に」と返したが、情報屋が真面目な顔をしていたので、戸惑った様子だった。
情報屋は俺に視線を向け、こう続けた。
「お前、このおっさんを頼むぞ。こう見えてもういい年だからな。そろそろガタがきてもおかしくない」
「おい……」
「それに、こいつはあほがつくほどお人よしだからな。変なトラブルに巻き込まれないよう、目を光らせとけよ」
なんだかんだ言いつつ、情報屋は単に斎藤を心配しているらしい。
いい友人なんだな。
2人を見て、そう思う。
斎藤はこの異世界で孤独に生きてきたのだと思っていたが、信頼しあえる仲間がいたのだ。
それがなんだか、うれしく思えた。
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