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228 食事会
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それから数日は、あわただしい日が続いた。
5ヶ月放置したスマホに溜まっていた連絡を返したり、仕事復帰の手続きをしたり、そして異世界転移被害者の会へ顔を出したり。
佐々木に連絡を入れると、俺の帰りを喜んでくれた。
帰還者やその家族を含め、食事会をしようと言ってくれ、俺は妻や義母とともに参加することにした。
家族の隣で幸せそうに笑う帰還者たちの姿を見ていると、今までの努力が報われるような思いだった。
ちなみに、絵美と翔、由佳里、奈央、そして蓮とは元の姿で会うのは初めてだったから「本当におじさんだったんだ……」と軽く戸惑われてしまった。
しかし話しているうちに「やっぱり本人だ」と受け入れてくれたのか、異世界のときと同様に砕けた口調で会話できるようになった。
親ほど年の離れた相手にため口で話すことを「失礼でしょ」と窘める家族もいたが、事情を話して納得してもらった。
しかし、妻の変化にはみな一様に戸惑ったようだった。
異世界で彼らに出会ったころの妻は子どもそのもので、外見も中身も全然違うのだ。
記憶が戻ってよかったと言ってくれはしたが、ちょっと寂しそうな視線を向ける者もいた。
ちなみに妻には、幼児退行時の記憶はしっかり残っているようで、帰還者のこともきちんと覚えていた。
しかし記憶を取り戻した今となっては、当時の自分の言動は穴があったら入りたいほど恥ずかしいらしい。
そのせいもあって、妻と帰還者たちの距離感はなかなか縮まらなかった。
ただ、それも最初の30分程度の話。
お酒の入った妻はとにかく楽しくなるタイプで、気づくと奈央の隣に座ってきゃっきゃと話し込んでいた。
みんなにまた会えてうれしいと無邪気に笑う妻にほだされたようで、その後は気楽に会話を楽しんでいてほっとした。
「瀬野さん……本当に、ありがとうございました」
そう言って、被害者の会のメンバーに何度も頭を下げられた。
しかし俺は俺のできることをしただけだし、あくまで娘を助けることが最優先だった。
それに彼らが本当は、自分の手で家族を救い出したかったであろうことも理解していたから、頭を上げてほしいとお願いした。
「事前にみなさんのお話を聞いていたから、説得を進めることができたんです。俺だけの力じゃ、成し遂げられなかったはずです。そしてそれは、新参者の俺に事情を話してくださったみなさんと、被害者の会を運営・設立してくれた佐々木さんのおかげでもあります」
「しかし、瀬野さんの娘さんは……」
そう言って、佐々木が目を伏せる。
娘が異世界に残ったことで、気を使わせてしまったようだった。
俺は笑顔を作って「娘が幸せでいてくれることが、何より大事ですから」と答えた。
「それに……きっとノアは、娘の事情を知っていたからこそ、俺たちを異世界へ連れていくことに決めたんじゃないかなって思うんです。娘が向こうに残っても、俺たちが娘に会えるように……ご褒美を与えられるように……」
正直、この場に娘がいないことが寂しくはある。
しかし俺以外の人間が娘のもとに行っていたとしたら、娘はきっと俺たちを優先して魔王との別れを選んだだろう。
魔王もその背中を押したはずだ。
そして、一生の後悔を抱えることになっていたかもしれない。
「きっとこれが、最善だったんだと思います」
そう言った言葉に、嘘はなかった。
佐々木は少し悲しそうに微笑み、それでもそれ以上追及はしなかった。
代わりに「俺もそのノアくんって子に会ってみたいですね」と言う。
今回の食事会にはノアも誘ったが、断られてしまったのだ。
俺は頷き「機会があれば、ご紹介させてください」と笑った。
5ヶ月放置したスマホに溜まっていた連絡を返したり、仕事復帰の手続きをしたり、そして異世界転移被害者の会へ顔を出したり。
佐々木に連絡を入れると、俺の帰りを喜んでくれた。
帰還者やその家族を含め、食事会をしようと言ってくれ、俺は妻や義母とともに参加することにした。
家族の隣で幸せそうに笑う帰還者たちの姿を見ていると、今までの努力が報われるような思いだった。
ちなみに、絵美と翔、由佳里、奈央、そして蓮とは元の姿で会うのは初めてだったから「本当におじさんだったんだ……」と軽く戸惑われてしまった。
しかし話しているうちに「やっぱり本人だ」と受け入れてくれたのか、異世界のときと同様に砕けた口調で会話できるようになった。
親ほど年の離れた相手にため口で話すことを「失礼でしょ」と窘める家族もいたが、事情を話して納得してもらった。
しかし、妻の変化にはみな一様に戸惑ったようだった。
異世界で彼らに出会ったころの妻は子どもそのもので、外見も中身も全然違うのだ。
記憶が戻ってよかったと言ってくれはしたが、ちょっと寂しそうな視線を向ける者もいた。
ちなみに妻には、幼児退行時の記憶はしっかり残っているようで、帰還者のこともきちんと覚えていた。
しかし記憶を取り戻した今となっては、当時の自分の言動は穴があったら入りたいほど恥ずかしいらしい。
そのせいもあって、妻と帰還者たちの距離感はなかなか縮まらなかった。
ただ、それも最初の30分程度の話。
お酒の入った妻はとにかく楽しくなるタイプで、気づくと奈央の隣に座ってきゃっきゃと話し込んでいた。
みんなにまた会えてうれしいと無邪気に笑う妻にほだされたようで、その後は気楽に会話を楽しんでいてほっとした。
「瀬野さん……本当に、ありがとうございました」
そう言って、被害者の会のメンバーに何度も頭を下げられた。
しかし俺は俺のできることをしただけだし、あくまで娘を助けることが最優先だった。
それに彼らが本当は、自分の手で家族を救い出したかったであろうことも理解していたから、頭を上げてほしいとお願いした。
「事前にみなさんのお話を聞いていたから、説得を進めることができたんです。俺だけの力じゃ、成し遂げられなかったはずです。そしてそれは、新参者の俺に事情を話してくださったみなさんと、被害者の会を運営・設立してくれた佐々木さんのおかげでもあります」
「しかし、瀬野さんの娘さんは……」
そう言って、佐々木が目を伏せる。
娘が異世界に残ったことで、気を使わせてしまったようだった。
俺は笑顔を作って「娘が幸せでいてくれることが、何より大事ですから」と答えた。
「それに……きっとノアは、娘の事情を知っていたからこそ、俺たちを異世界へ連れていくことに決めたんじゃないかなって思うんです。娘が向こうに残っても、俺たちが娘に会えるように……ご褒美を与えられるように……」
正直、この場に娘がいないことが寂しくはある。
しかし俺以外の人間が娘のもとに行っていたとしたら、娘はきっと俺たちを優先して魔王との別れを選んだだろう。
魔王もその背中を押したはずだ。
そして、一生の後悔を抱えることになっていたかもしれない。
「きっとこれが、最善だったんだと思います」
そう言った言葉に、嘘はなかった。
佐々木は少し悲しそうに微笑み、それでもそれ以上追及はしなかった。
代わりに「俺もそのノアくんって子に会ってみたいですね」と言う。
今回の食事会にはノアも誘ったが、断られてしまったのだ。
俺は頷き「機会があれば、ご紹介させてください」と笑った。
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