精霊の加護

Zu-Y

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精霊の加護123 マリー様への御機嫌伺とわが妻たちのクエスト

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精霊の加護
Zu-Y

№123 マリー様への御機嫌伺とわが妻たちのクエスト

 うーん!今朝の目覚めはいつになく爽快だ。
 昨晩、わが妻たちからあれだけ絞り取られたと言うのに、朝の生理現象でマイドラゴンが鎌首をもたげてやがる。笑

 わが妻たちはすでに起き出していて誰もいない。
 精霊たちはと言うと、ふわふわと漂っている。いつものことだが、部屋なので服は着ていない。第五形態になったら朝から楽しみである。

 ローブを纏って部屋から出て行くと、わが妻たちからおはようと挨拶された。
 すでに、馴染みの侍女たちが朝餉のセッティングをしている最中だった。
「「おはようございます。」」
「あ、おはよう。昨夜もお勤めだったのに今朝も早くから大変だね。」労ったつもりだったのだが…。
「もう監視はしてませんよっ!」
「それなのに精霊様たちに痴女と呼ばせるなんて、あんまりですっ!」え?ふたりとも、激おこ?
「いや、俺が呼ばせてる訳じゃないよ。」わが妻たちが、笑いを堪えている。
「じゃあ誰が呼ばせてるんですか?」
「いや、精霊たちが勝手に…。」
「スピリタス卿がそうお呼びになるから、精霊様たちが真似するんでしょう!」
「いや、まあそうかもしれないけど…。」
「「やっぱり!」」
 なんか朝から俺のせいじゃないのに絡まれたし。

 で、朝餉を摂りながら今日の予定の確認。
「俺はマリー様の御機嫌伺に行くけど、皆はどうするの?」
「あたしたちゃ、クエストに行くよ。」
「危ないクエストは受けるなよ。」
「主様、誰に言っておるのじゃ?」
「そうよ、あなた。私たちは、Aランク相当2人、Bランク4人、Cランクひとりですからね。」
「うむ。それにな、ドーラとトーラは、実力的には十分にAランクだぞ。」
「そうだよー。僕たちかなり強いよー。」
「それでも、油断は禁物だからな。」
「旦那様、ご心配、ありがとうございます。でも大丈夫ですわ。」
「トーラ、戦う。皆、守る。」
 しかしわが妻たちは働き者だな。

「じゃあ、くれぐれも気を付けてな。それと夕方は仕立屋で合流な。」
「「「「「「「はい。」」」」」」」
 朝餉の後、クエストを受けに行くわが妻たちを見送ってから、俺は精霊たちを連れて、三の姫殿下のマリー様へ、御機嫌伺に行った。
 応接室でしばらく待っていると、マリー様が侍女たちを引き連れてやって来た。

『『『『『『『『『マリー!』』』』』』』』』
 ダクはマリー様とは初対面なんだが、他の精霊たちと記憶を共有しているから、最初から垣根がない。笑
「まあ!精霊様方、大きくなられましたのね。」
『『『『『『『『そだよー。』』』』』』』』
「あら?新しい精霊様?」
『ダクだよー。マリーのことは知ってるよー。』
「!」驚くマリー様。
「俺と契約した精霊たちは、互いの記憶を共有するんですよ。それでダクは、他の精霊たちの記憶から、マリー様のことを知ってるんです。」
「まあ、どう言う仕組みですの?」
「さあ。精霊たちに、俺たちの常識は通じませんから、俺はありのままを受け入れてますよ。」
「流石ゲオルク様。」何が流石なのだろ。まあいい。笑

「ところでこれは帝都のお土産です。なかなかおいしいお茶菓子ですよ。こちらがマリー様、こちらが侍女どのたち。」
「いつもすみません。
 これ、頂いたわ。お茶の準備をして下さいな。準備が済んだらあなたたちも別室で頂きなさい。」おっと、マリー様が侍女そのたちに気を利かせろってか?
 ふふふ、そんな訳ねぇな。

 侍女たちはそそくさとお茶の準備をして隣の控えの間に移って行った。
「やっとふたり切りになれましたわね。」え?じゃあ、やはり侍女たちを追い払ったのか。苦笑
 マリー様は対面で用意された茶器を移動させ、なんと俺の横に座った。恋人座りかよ。ははあ、侍女どのたちに入れ知恵されたな。
 そしてもたれ掛かって来た。
「お会いしとうございました。」
「俺もですよ。」
 折角だから肩ぐらいは抱いてやるか。苦笑

 それから俺は今度の帝国紀行を語った。
 マリー様が特に興味を示したのは、ゲオルク学校の連中との和解、エカチェリーナとトーラへの処遇、虎林の里でのワイルドブル狩り、帝都奪還作戦であった。

 ゲオルク学校との和解では、
「ゲオルク様は、先だって無礼を働いた弟子たちをお許しになりましたのね。なんと慈悲深いことでしょう。」いや、ほとぼりが冷めただけですけどね。
「反省したようですので。」
「その後のクエスト勝負の駆け引きもお見事ですわ。冒険者としての心構えを弟子たちにお授けになったのですね。」
「いやいや、そんな大層なものじゃありませんよ。」

 エカチェリーナの処遇では、
「まあ、あのエカチェリーナ様がそのようなことを!信じられませんわ。」
「エカチェリーナは、帝国を憂いているところを第二帝子にいいように利用されたのですよ。でもすぐに間違えに気付き、責任を取って自害すると言うので、その覚悟があるのならと、王国行きを勧めたんです。」
「なぜですの?」
「王国にはマリー様やアイチャがいますからね。」
「わたくしとアイチャですか?」
「そうです。エカチェリーナに不足しているのは視野の広さです。王国で見聞を広めるのと、年下の優秀なおふたりが、必死に研鑽を積んでいるところを垣間見れば、自分が井の中の蛙であることに気付くと思いました。」
「それでなのですね。エカチェリーナ様は、王国に来るとすぐ、わたくしとアイチャに面会を申し込んで来たんですのよ。」
「どんな印象ですか?」
「生真面目で、一途な方ですわ。ゲオルク様には申し訳ありませんが、それ以来、わたくしもアイチャも、エカチェリーナ様とは懇意にしていますの。」
「俺は、その方が嬉しいですよ。」

 トーラの処遇では、
「エカチェリーナ様の従者は、ゲオルク様が引き取られたんですのね。」
「ええ。でももう従者ではありませんよ。仲間として対等の関係です。」
「ホワイトタイガー族の虎獣人と伺いましたわ。わたくし、獣人の方と会ったことはございませんの。ゲオルク様、今度紹介して下さいね。」マリー様は、龍人のドーラのときも紹介しろと言って来たっけな。
「もちろんですよ。」

 虎林の里のワイルドブル狩りや王都奪還作戦では、
「ワイルドブル狩りでも王都奪還作戦でも、ダクが大活躍でしたのね。」
「見た目は派手な攻撃ではありませんが、じわじわと確実に効く感じですね。戦略の幅が広がりました。」
「と、仰いますと?」
「まず、王国の7精霊は、直接的な属性攻撃です。具体的な属性は、ツリの植物、クレの土、フィアの火、チルの冷気、ワラの水、ウィンの風、メタの金属ですね。それと、教国のチルの回復とバフだったんですが、そこに、帝国のダクのデバフと状態異常攻撃が加わりました。」
「えー、それではほとんどの攻撃と回復と支援の、すべての魔法を網羅してるんじゃありませんの?」
「まあそう言うことになりますかね。」
「素晴らしいですわっ!」おお、おめめがハートマークになってるぞ。笑

 マリー様は聞き上手で、しかも的確な質問を入れて来る。俺とマリー様はそのまま時間を忘れ、午前中ずっと、マリー様と話し込んでしまったのだった。

~~わが妻たち目線・王都近郊~~

 ゲオルクを除くスピリタス女性メンバーは、王都からレンタル馬車で、南に2時間程掛けて、湖畔の村に到着した。まだ昼前である。
 王都ギルドで受けた、湖に棲むジャイアントクロコダイルの討伐クエストのためだ。

 本来、初冬のこの時期には、ワニなど爬虫類の活動が鈍るはずなのだが、ワニが大型化して魔獣化したジャイアントクロコダイルは、まだ普通に活動しているのだ。
 そして越冬に備えて、食いだめをする訳だが、魔獣化したために湖から這い出て来て、湖畔の村を襲い、家畜が被害に遭っている。人がいつ犠牲になってもおかしくない状況となり、ギルドに討伐依頼が来た。
 1週間前にCランクパーティが依頼を受けて向かったが、未だに討伐達成報告がなく、しびれを切らした王都ギルドが増援依頼を出し、Bランクパーティのスピリタスが請け負った。

 最初に村長宅を訪ねた。
「村長はいるか?私たちは王都ギルドから、ジャイアントクロコダイル討伐の増援で来たのが?」
「村長は私だが、お嬢さんがリーダーかね?」
「いや、パーティリーダーは、所用があって今日はおらぬ。」
 村長はスピリタス全員を見渡して、
「あんたら、全員、女か?」
「今日のメンバーはそうだが、何か問題があるのか?」
 村長があからさまに溜息をついた。
「呑んだくれパーティーの次は、女だけのパーティか!王都ギルドは何を考えてるんだ。」

「ちょっと、小父さん。失礼だなー。僕たち、それなりに強いんだぞ。ワルキューレだよ、ワルキューレ。」ワルキューレとは戦乙女である。
「まあまあビーチェ、抑えて下さいな。
 村長さん、呑んだくれパーティと仰いましたが、1週間前に先行したパーティは呑んだくれているんですの?」
「ああ、獲物が湖から出て来ないと討伐できんと言ってな、湖畔にベースキャンプを張ってるんだが、『湖畔の風が寒いから、暖房液を差し入れろ。』と、酒を要求して来たんだ。仕方ないのでワインを差し入れてやったんだが、そのまま1週間湖畔で呑んだくれとる。追加の差し入れ要求もして来てな、遠慮なくやりたい放題だ。」
「なんだい、そりゃ。クエスト中に飲酒とか、あり得ないね。ジャイアントクロコダイルが襲って来たらイチコロだろう?」
「それがこの1週間、出て来んのだ。」

「なあ、村長。ひょっとしてそのパーティは、湖畔で焚火をしてるんじゃないかい?」
「しとるよ。焚火だけじゃなく、篝火も焚いとる。その薪も村から出しとるんだ。」
「呆れた。ジャイアントクロコダイルは、火には近付かないのよ。間違いなく確信犯だわ。」
「そうなのか?」
「その通りですわ。篝火でジャイアントクロコダイルが近付かせないようにして、ワインを要求し、呑んだくれてますのね。」
「それが1週間なのじゃな。かなり悪質な連中よの。」
「ひどい。トーラ、そいつら、懲らしめる。」
「村長、いいようにやられたね。でも安心しな。今の話が本当なら、ワイン代と薪代は王都ギルドに請求できるよ。」
「え?」
「村長、私たちに任せるがいい。とっとと片付けてやろうではないか。」

 スピリタス女性メンバーは、そのまま村長に案内させて、湖畔で呑んだくれてるCランクパーティのベースキャンプに向かった。
 男4人がワイワイと酒盛りをしている。
「あいつらだ。せいぜい頼むぞ、ワルキューレさんたち。」さっきビーチェが、自分たちのことをワルキューレと言ったのを村長が引用したが、その口調から、まったく信用していないのは明らかだ。

「おい、貴様ら。王都から来たCランクパーティか?」
「おお、そうだが、姉ちゃんたちは?」
「貴様らが1週間も帰らぬゆえ、王都から増援で派遣されて来たのだ。」
「夜伽の増援部隊とは、ギルドめ、気が利くじゃねぇかよ。わはははは。」
「皆、上玉じゃねぇか!じゅるるっ。」
「ひひひ、7人か?それぞれが3Pするには、ひとり足りねぇな。」
「リーダーの俺がまずふたり選ぶぜ。後はお前らで残りの女どもを…。」

 カルメンが速度上昇のバフを皆に掛けた瞬間、
「むん。」トーラがリーダーの顔面を張り飛ばすと、
「ぶへっ。」ッと情けない声を上げて、リーダーは3m程吹っ飛び、そのまま動かなくなった。トーラのビンタ1発で気絶したのだ。
「てめえ、いきなりぶん殴るとはどう言う料簡だ?」
「グーじゃない。パーだ。だから、トーラ、殴ってない。」トーラ的には、グーじゃなければ殴ったとは言わないらしい。流石、ホワイトタイガー族。笑

「なんだと!」剣を抜き掛けた男は、鞘から半分も出さないうちに…、
 キーン。
 …ビーチェの居合で、剣を刀身の根元からからへし折られた。手にしているのは剣の柄だけである。
 抜いたはずの剣が柄だけになってることに、呆気に取られていたその男は、ビーチェの二の太刀が、まともに胴に入って昏倒した。もちろん峰打ちだ。

 ビーチェの峰打ちと同時に、残りの男ふたりは、ベスとドーラに胸板を一発蹴られて、そのまま蹴転がされ、仰向けに倒れたところを、胸を踏まれて押さえられ、顔面のすぐ横、頬と耳を掠るように、槍と大剣を突き立てられた。
 仰向けにされたふたりは、ベスとドーラから片足を胸板に乗せられたまま、得物を耳の下の付け根に、ぴたりと当てられ、動けない。もし下手に動けば、得物を軽く動かすだけで頸動脈を断ち切られるだろう。
 ニターッと冷酷に笑うベスとドーラに、ふたりの股間には、じわーッと無様なシミが広がった。

 トーラのビンタとビーチェの峰打ちで気絶していたふたりに、ジュヌがヒールを掛けて打撲を治療し、それからふたりを起こして、4人をまとめた。
 完全に力量の差を見せ付けられたCランクパーティの4人は、スピリタスのワルキューレたちから、下帯1枚にひん剥かれ、両腕は後ろ手に縛られ、両脚も縛られて、湖畔の杭に繋がれた。

 昼間だと言うのに明々と焚かれていた篝火と焚火はすべて消されたので、湖からの寒風にガチガチと震えている。いや、震えている真の理由は、ジャイアントクロコダイルの襲撃を心配してのことかもしれない。
 湖畔に下帯1枚で繋がれた理由。それは…、
「1週間、タダ酒を呑んだ分はきちんと働け。」と、スピリタスのワルキューレたちに言われ、ジャイアントクロコダイルを引き寄せる囮にされていたのだ。

 ちなみに、スピリタスのワルキューレたちを、ここまで案内して来た村長は、一部始終を目の当たりにして、完全に絶句していた。
「呑んだくれパーティーの次は、女だけのパーティか!」と罵り、「せいぜい頼むぞ、ワルキューレさんたち。」と当てこすったことを、ひたすら後悔していたのだった。

 待つこと30分。沖合からVの字の波形が、スーッと近付いて来た。
 それを見たCランクパーティの4人は、絶叫とも言うべき悲鳴を上げて暴れるが、しっかり縛られているので、その場で芋虫運動をするだけだった。
 篝火が消えてしばらくの間、沖から様子を窺っていたジャイアントクロコダイルが、もう安全と判断したようで、囮の4人を狙って、今まさに上陸しようと近付いて来ているのだ。

 ジャイアントクロコダイルの上陸直前で、カルメンが皆に各種バフを掛け、ジャイアントクロコダイルが湖畔に上陸すると同時に、ジャイアントクロコダイルに各種デバフを掛けた。
 動きが鈍り、魔法防御が落ちたジャイアントクロコダイルに、リーゼが渾身のブリザードを見舞った。冷気の上級魔法だ。
 真正面からリーゼのブリザードをまともに受けたジャイアントクロコダイルは、その場で氷漬けになり、さらにジャイアントクロコダイルが泳いで来た湖面も、ジャイアントクロコダイルを要とした、約30度の扇形で、20m以上先まで凍り付いていた。

 その後、ドーラが飛び上がって、上段からの大剣の一撃で、氷漬けジャイアントクロコダイルの首を落とした。ジャイアントクロコダイルは、全長およそ10mにもなる大物だった。

 王都までの帰還の道中は、「ワルキューレ様。」と掌を返した村長以下、村人たち数人の手を借りて、凍った大物のジャイアントクロコダイルを、荷車で運んでもらった。もちろん、Cランクパーティの4人にも手伝わせたのは言うまでもない。

 王都ギルドでは、氷漬けのジャイアントクロコダイルが運び込まれて、大騒ぎになった。10m級のワニ革高級素材だ。
 素材買取で得たのは金貨5枚。そこから村人たちに手間賃としてひとり大銀貨1枚を渡した。もちろんCランクパーティの4人にもだ。4人はぬか喜びしたが、そのタイミングで、村長から1週間のワイン代と薪代を、王都ギルドに請求させた。
 顔面蒼白になる4人。
 王都ギルドからの関係者への聞き取りが終わると、ギルドはCランクパーティの非を全面的に認め、ギルドがワイン代と薪代を立替えた。
 Cランクパーティは、全員が1ランク降格。そして、ワイン代と薪代を、今後のクエスト報酬から取り立てて行くことになった。
 今回のクエスト報酬は、Cランクパーティの4人は除外。スピリタス・ワルキューレに支払われた。
 当然、ジャイアントクロコダイルを運んで得た手間賃は、立替分のごく一部として、ギルドに回収された。

 なお、この大活躍が切っ掛けで、ゲオルクを除いたスピリタスの女性メンバーのことを、スピリタスの分隊として、スピリタス・ワルキューレと言う呼び名が定着したのである。
 湖畔の村の村長が、王都ギルド内で「ワルキューレ様。」と連呼したことが原因だったのは言うまでもなかろう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

設定を更新しました。R4/10/2

更新は火木土の週3日ペースを予定しています。

2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664

カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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