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婚約破棄を宣言する日程は国王である父上が不在の時を見計らうのがいいとロカリスから聞いた俺は、今度開かれるパーティーでリリィに婚約破棄を突きつけることを決めた。その日はちょうど父上と母上が隣国に出張に行くらしいからだ。……両親の出張と聞いて、弟が絶望した顔をしていたのは何故か分からなかったが。
「いよいよ明日か」
パーティーの前日、俺は感傷に浸っていた。明日、リリィに婚約破棄をする。それはこれからの俺の人生にリリィが干渉してくることはないということになるわけだ。そして、アノマといっしょになる人生になるのだ。
だからこそ、とある女性のことが今更になって気になった。
「ジェシカ……」
ジェシカ・シアター。俺の初恋の女であり、その思いを踏みにじった女騎士。リリィの護衛を努めて学園にまでついてきている。随分とまぁ、忠誠心の高いことだ。だが俺はふと思う。実はリリィに強制されて護衛をしているのではないかと。
「もし、そうなら……」
もしも、ジェシカがリリィに無理やり護衛を強制されているのだとしたら……やっぱり俺の騎士にできるかもしれない。そんな出来心が生まれた。そして、婚約破棄を前に確認してみようと思った。
「リリィ……話がある」
「殿下?」
学園の休み時間、珍しくそばにジェシカがいないのはちょうどよかった。ジェシカが戻って来る前に聞き出さなくてはならない。どうして彼女がリリィの護衛なんかやっているのかを。
「リリィ、ジェシカ・シアターという女は何故お前なんかの騎士をしているのだ?」
「ジェシカですか? 彼女は望んで私の騎士になりたいとお父様に志願したのです。もちろん、公爵家の試験を突破してみせたうえで」
「はぁ!? 自分からお前の騎士になりたいだって!?」
「もともと、公爵家のベテラン騎士の娘でしたので騎士になるのは必然だったのでしょう。才能もあり私とも仲が良かったので」
「そ、そんな馬鹿なことがあってたまるか!?」
思っていたこととは違うことをリリィから聞いた俺は信じなかった。こんな女の騎士に自分からなりたいだなんてありえるはずがない、絶対に嘘だ。リリィは俺に嘘をついているのだ!
嘘つきを許せなかった俺はリリィに掴みかかろうとした。だができなかった。寸前で邪魔が入ったのだ。
「お嬢様に手出しはさせん! 必殺イーヴィルテイル!!」
「ぐわっ!?」
リリィに掴みかかろうとした手を剣で叩きつけられてしまったのだ。鞘を抜いていないから切れなかったとはいえ、この手を剣で弾くように床に叩きつけられるという激痛で俺は悶絶した。
「いよいよ明日か」
パーティーの前日、俺は感傷に浸っていた。明日、リリィに婚約破棄をする。それはこれからの俺の人生にリリィが干渉してくることはないということになるわけだ。そして、アノマといっしょになる人生になるのだ。
だからこそ、とある女性のことが今更になって気になった。
「ジェシカ……」
ジェシカ・シアター。俺の初恋の女であり、その思いを踏みにじった女騎士。リリィの護衛を努めて学園にまでついてきている。随分とまぁ、忠誠心の高いことだ。だが俺はふと思う。実はリリィに強制されて護衛をしているのではないかと。
「もし、そうなら……」
もしも、ジェシカがリリィに無理やり護衛を強制されているのだとしたら……やっぱり俺の騎士にできるかもしれない。そんな出来心が生まれた。そして、婚約破棄を前に確認してみようと思った。
「リリィ……話がある」
「殿下?」
学園の休み時間、珍しくそばにジェシカがいないのはちょうどよかった。ジェシカが戻って来る前に聞き出さなくてはならない。どうして彼女がリリィの護衛なんかやっているのかを。
「リリィ、ジェシカ・シアターという女は何故お前なんかの騎士をしているのだ?」
「ジェシカですか? 彼女は望んで私の騎士になりたいとお父様に志願したのです。もちろん、公爵家の試験を突破してみせたうえで」
「はぁ!? 自分からお前の騎士になりたいだって!?」
「もともと、公爵家のベテラン騎士の娘でしたので騎士になるのは必然だったのでしょう。才能もあり私とも仲が良かったので」
「そ、そんな馬鹿なことがあってたまるか!?」
思っていたこととは違うことをリリィから聞いた俺は信じなかった。こんな女の騎士に自分からなりたいだなんてありえるはずがない、絶対に嘘だ。リリィは俺に嘘をついているのだ!
嘘つきを許せなかった俺はリリィに掴みかかろうとした。だができなかった。寸前で邪魔が入ったのだ。
「お嬢様に手出しはさせん! 必殺イーヴィルテイル!!」
「ぐわっ!?」
リリィに掴みかかろうとした手を剣で叩きつけられてしまったのだ。鞘を抜いていないから切れなかったとはいえ、この手を剣で弾くように床に叩きつけられるという激痛で俺は悶絶した。
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