馬鹿王子は落ちぶれました。 〜婚約破棄した公爵令嬢は有能すぎた〜

mimiaizu

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裁判所は、シーン……と静まり返った。俺の心の叫びを聞いた誰もが無言になった。

ただ、リリィは複雑な表情を浮かべ、視線を逸らした。流石に、思うところはあるようだ。だが、ジェシカの方は俺に汚いものを見るような眼差しを向けている。俺がここまでしてしまったのに、なぜそんな冷たい目で見る?

沈黙を破るようにリリィが口を開いた。


「マグーマ殿下、家臣の皆さまをはじめ王宮の方々は決して貴方への意地悪で私と比較しているわけではありません。むしろ貴方のためを思っているはずです」

「何だと?」

「私もそうでした。マグーマ殿下をお支えしなければならないと思うからこそ進言してきたのです。それを拒んだのは殿下ご自身、」

「う、うるさい! 何を言い出すかと思えばここでも小言を言うのか!? 俺を誰だと思ってんだ!?」


リリィは相変わらず厳しいことを言う! こんな状況になってまでこの俺を貶めようというのか!


「貴方は元王太子マグーマ・ツインローズ殿下です。ですが、貴方はその立場の重みを理解せずに逃げてばかりでした」

「な……俺が、逃げただと?」


……逃げたって、どういうことだ?



「貴方はお勉強に一般的な教育、礼儀作法すら十分に身についていません。その理由は家庭教師の方々や家臣の方々が悪いのではなく貴方が逃げたからでは?」

「それは……」

「王宮の家庭教師の方々に有能な家臣の皆様は貴方に期待をされていました。高度な教育を受けるのは貴方の責務ですから当然、教育を受けた貴方に期待します。しかし、それはとても恵まれたことであるのに貴方は理由をつけて受けるのを渋ってきました。それは王子の責務から逃げたのと同義です」

「う……」


リリィの言うことは厳しい、聞きたくない、嫌だ。だが、何だ? リリィ以上に自分が嫌になる気持ちが……


「最高の教育を受けることを放棄すれば成績が落ちて周りよりも下回っていくのは当然のこと。それは貴方が逃げた結果、そんな酷い結果を見せる貴方に味方したいと思う人は限られることでしょう? お分かりになりますか?」

「ぐっ……」


リリィの言うことは分かる。それは俺が悪いと言っていることだ……つまり、


「つまり……俺の自業自得って、言いたいわけか……」

「ご理解いただけてなによりです」

「は、ははは……はははははは……」


俺は笑った。だが、きっと目が死んだ笑い方だろう。……本当は分かっていたんだよ。俺が、俺の方から周りから遠ざかって孤立したんだって。俺が勝手に自滅したんだって……。

だけど、その理由は俺だけってわけじゃないんだよ……

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