ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
72 / 252
第3章 組織編

幹部と会長

しおりを挟む
魔法協会。

 魔法協会の地下実験室で、非人道的な実験の準備が行われていた。暗い顔をする被験者、つまり実験体が実験室に連れていかれていく。そんな様子をまったく気にしない者たちが実験を取り仕切る。それは魔法協会の研究員と構成員たちだ。

「よし。全員、実験室に入ったな。実験開始!」
「了解! 身体強化魔術・A-015開始!」

シュウウウウウウウウ!

 実験室に白い煙が入ってくる。実験室に取り付けられた窓から中が見えなくなるころになって、悲鳴や叫びが聞こえ始める。

「うあああああああああああ!」
「苦しいいいいいいいいいい!」
「出して! 出してくれええええええええ!」
「助けてく……あっ!? ああああああああああああああああああああああああ!?」
「う……う、あ……あ……………」

バタッ バタッ バタッ ドシャッ

 やがて、悲鳴も叫びも聞こえなくなった。実験室から白い煙が無くなった後に残っていたのは、死体の山だけだった。その結果を二人の人物が眺めていた。

「生存者はなしか、つまらんな。このところ変化がない」
「そうですな。身体強化魔術の開発なのですが、もう少し工夫が必要かもしれませんな」
「工夫と言ってもどうする? 魔術の術式を下手に変えれば、反動が起こりやすくなるぞ?」
「それならば、魔法を使える実験体にやらせればよいでしょう。反動も実験体が担うのなら問題ありますまい」
「ほう。斬新な案だな。しかしそれだと、我らの保有する魔法が増えなくなるぞ?」
「ありふれた魔法しか持ってないものを実験体にすればよいでしょう。我々が求める魔法は、もっと有能な魔法なのですから」
「もっともだな。検討しておこう」

 あまりにも残酷な話をする二人。白い服に身を包む細身の男が幹部研究員の『ビルグ・トーレン』で、白い服に身を包む小太りな大男が魔法協会の『会長』こと『メルガー・メンデス』だ。この二人こそが魔法協会の中心人物なのだ。先ほど行われた実験は、この二人と他の二人の幹部たちが考えて計画したものだ。他にも、様々な非人道的な実験に携わってきたのだ。

「ところで、我が魔法協会に魔力を流して探りをかけた輩はまだ見つからんのかね?」
「その件で新しい報告は入っていませんね。バルムドとハイドが探していますが連絡が途絶えたままです。あの二人はそこそこの実力者だったのですが……」

 二人の話題が変わった。それは、何者かが魔法協会全体に、時間をかけて魔力を流してきたのだ。誰が何のためにそんなことをしたのか探るために、こちらから追手を差し向けてみたのだが、あれから音信不通になってしまったのだ。

「……連絡がこないままか。捕まったか殺された可能性があるということだな。気は進まんが騎士団の連中にも声をかけて警戒すべきかもしれん」
「騎士団ですか? 我々の構成員だけでよいのではないでしょうか?」
「魔法協会全体に魔力を流すような奴だ。希少な魔法持ちかもしれん。可能なら生け捕りにすべきだ。騎士団の上層部も我々の実態をよく知っているのだ。共通の敵だということにすれば問題あるまい」
「……そうですか。ではさっそく、騎士団に連絡を入れましょう」

 ビルグは、騎士団に連絡を入れるためにその場を離れようとした。その直後だった。

ズウゥ……

 何者かの微弱な魔力が流れてきたのは。


「「これは!?」」

 魔力を感じ取ったビルグとメルガーの声が重なった。そして、同時に察した。さっき話していた輩が再び動きを見せたことを。しかし、これが単なる探りではなく攻撃だったことを後から思い知った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

母を訪ねて十万里

サクラ近衛将監
ファンタジー
 エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。  この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。  概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。

処理中です...