ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第3章 組織編

残酷な判断

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 メルガーとトーレンは地下の中央室に向かっていた。

「急ぐぞトーレン! 騒ぎが大きくなっている!」
「はい、会長! それにしても、我が魔法協会でこんなことが起こるなんて……!」


魔法協会・地下中央室。

「どういうことだ! 実験体が逃げ出しただと!?」
「本当なんですか!?」

 メルガーは研究員の一人に食って掛かる。研究員は怯えながらも、分かる範囲で事態を説明する。

「ひいっ! は、はい、しゅ、収容施設の扉のほぼ全てのロックが、何故か、解除されたようなのです……。『首輪』のほうも間違いなく……。それで、好機と見た、実験体が脱走したものかと……」
「何ということだ!」
「ひいい!」

 メルガーは顔を真っ赤にして怒る。実験体の中には希少な魔法持ちも多いため、『首輪』という魔法を抑える魔道具も付けていたがそれも外れていたというのだ。だが、一旦落ち着いて、少し考えたメルガーは研究員に指示を出す。

「……やむを得ん。収容所付近を全て封鎖しろ。その後、我々が地下から出た後で地下施設自体を封鎖する!」
「そ、そんな!? 一部の構成員や研究員を見捨てるのですか!?」
「会長……いくら何でもそれは……」

 指示を受けた研究員の顔が蒼白になった。トーレンも絶句している。地下施設の封鎖をすれば確かに脱走者を外に出すことはないが、地下に残る構成員たちも閉じ込められてしまう。彼らに危険が及ぶのは間違いない。何故なら……。

「収容施設には、魔物もいるんですよ!? そいつらの首輪も外れていたとしたら……」
「多くのものが被害に遭う。分かっていることだ。魔物の首輪も外れているだろうからな」
「「っ!」」

 収容施設にいるのは人間だけではない。魔法協会が過去に捕獲した魔物たちがいるのだ。彼らも実験体として利用されていたが、今逃げ出す可能性は十分にある。しかし、会長のメルガーは……。

「おそらく、多くの犠牲者を出すことは分かっている。貴重な人材の損失になるが、そうしなければ我々の秘密が外に漏れてしまうだろう。脱走者が外に出れば、魔法協会の実態が国民に知れ渡り、ましてや魔物が外に出るなど不祥事どころではないのだ」
「…………」
「会長……」

 メルガーの言っていることは事実だ。脱走者や魔物が外に出れば、国民の魔法協会に対する不信感が強くなる。下手をすれば暴動になりかねない。魔法協会は場所なのだ。

「そもそも、この事態は外部からの襲撃の可能性が非常に高い。現在進行形で微弱な魔力を流しているのだからな。地上でも何かが起こっているに違いあるまい。首謀者も侵入してきた可能性もあるしな。それならば、ここの対処は後に回して、首謀者を捕らえるべきだ」
「会長のおっしゃる通りです。賢明なご判断です」
「……分かり、ました。各、研究員に、伝えます……」

 残酷なことを落ち着いた口調で話すメルガーに、研究員は顔を蒼白したまま、指示に従った。トーレンはメルガーを褒め称えるだけだった。


数時間後。

 トーレンとメルガーが、地下から出た後で、地下への扉は封鎖されてしまった。

「そ、そんな……! わ、私たちまで……!? 会長~!」

 指示を受けた研究員も中にいる間に。
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