ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
99 / 252
第3章 組織編

暴いた者

しおりを挟む
数分前。

 魔法協会の裏側にある倉庫からローグが出てきた。ローグは倉庫の外で待機していたミーラとルドガーに合流する。

「待たせたな、二人とも」
「ローグ!」
「坊主!」

 この二人を外に待機させたのは、トーレンとメルガーとの会話を誰にも邪魔させないためだった。その会話を王都中に聞かせることが目的だったため、二人に見張りを頼んだのだ。魔法協会をほぼ制圧した後で。

「「…………」」
「ん? どうした二人とも?(まあ、そうなるよな)」

 ローグはミーラとルドガーが複雑な顔をしていたのに気づいた。その理由はすぐに分かった。二人も知らなかった真実に戸惑っているのだ。

「ローグ! さっきの話って本当なの!?」
「ああ、本当だ」
「魔法で寿命が縮むとか、神じゃなくて国が与えたとかもか!?」
「それも本当だ」
「そんな!?」
「それをどう証明する!?」
「ここの幹部のトーレンとメルガーが否定しなかっただろ」
「「っ!?」」

 二人は、ローグに近づいて真偽を確かめてくるので、ローグは淡々と答えた。二人はローグの返事を聞いても、すぐには受け入れられないでいた。

「……私達が生まれて生きてきた国って、そんなところだったの?」
「……俺は、俺達は……そんな国のために……兵士になって、騎士になっていたのか?」

 この二人の反応は無理もない。おそらく、各地でもこんな感じの人が大勢いるだろう。自分たちの信じてきた常識が否定されることは、人にとって大きなショックになる。たやすく受け入れられるはずがないのだ。たとえ、証拠を揃えたとしても。

 ローグの狙いは、にあったのだ。ローグは前世の記憶を持っている。その記憶から、魔法の発現方法とリスクを知っていた。は、研究機関である魔法協会なら既にたどり着いていると予想できた。ローグがを魔法協会の幹部の前で口に出せばどうなるだろう、食いつかないはずがない。つまり、勝手に肯定してくれるというわけだ。

(まあ、魔法協会が思ってたよりも無能な組織だったら上手くはいかなかっただろうが、上手くいかなかったら力づくで潰す方針になったけどな。尤も、ルドガーに集めてもらった連中に制圧されるようだと大した戦力は残ってなかったのかもな)

 ローグが今度の作戦のことで考えていると、ルドガーが顔を上げた。どうやら、落ち着いてきたようだ。

「……とりあえず、ここから離れないか……あの二人は、もうすぐ出てくるんだろ?」
「…………っ!」
「そうだな。移動しよう。協力してくれた人たちもまとめないとな」

 3人は、最後の行動に出る。


隠し通路・出入口。

 今ここには、ローグ達3人しかいない。他の協力者たちは服装をきれいなものに変えて、解散した。そういう約束だったのだ。

「坊主……ローとか言ったな」
「今はローグ・ナイトだ」
「……そうか。ローグ、お前さんは本当に何者だ? どうやって、あんな真実を知ったんだ? あの二人が言ったように自分で推測して導き出したわけじゃないだろ?」
「やっぱり、そう思う? ミーラも?」
「う~ん、ちょっと分かんない」
「もし、もしもだ。本当に自分で推測して導き出したってんなら、とんでもない天才だぞ」
「なら、問題ない」
「「えっ?」」
「こんな大それた計画を立てて実現できたんなら、俺は十分天才じゃないか!」
「「っ!」」
「違う?」
「……ふっ、そうだな。お前さんは天才みたいだな。聞いた俺が馬鹿だったな」
「よく分からないけど、ローグはすごいってことだね!」

 3人は世間話をしながら、魔法協会のほうに向かった。真実を暴かれた魔法協会が、真実を知った人々がどう動くのかを確認するために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

母を訪ねて十万里

サクラ近衛将監
ファンタジー
 エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。  この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。  概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。

処理中です...