161 / 252
第5章 外国編
変えたい
しおりを挟む
「……それなのに、今は反逆者扱いされる始末とは……! なんてざまだ!」
「皇女様……!」
「……」
気が付くとリオルは唇を噛んで震えていた。兄が裏切ったか、クロズクが暗躍していたのか、他に何かがあるのか知らないが、リオルは今の自分の境遇が悔しくて仕方がないのだ。
「だが! 私はこのまま終わるつもりなどない! 今回の事件の黒幕の容疑者がクロズク共という可能性が濃くなった今、私は奴らに問いたださねばならん。幸い、城には私を慕ってくれる部下が多い。誰が黒幕化はまだ定かではないが、彼らの力を借りられれば、きっと逆転できる! いや、逆転せねばならん! どんな手段を使っても!」
「なるほど、そういうことがあったのか……」
ローグは頭の中でリオルの話を整理する。初めに、皇帝が病に倒れてその子供たちの中が不和になった。次に、皇帝の病の原因が毒によるもので、それはリオルのせいにされた。最後に、リオルはクロズクという帝国の暗部と呼べる連中に命を狙われることになった。簡単にまとめると、そういうことになる。
(……これだけじゃ情報不足だな)
ローグはリオルが逆転するのに必要なのは、戦力と情報だと考えている。今の話を聞いた段階では戦力はともかく情報が足りていないと思うのだ。皇帝に毒を盛った者や一連の黒幕のことが分かっていないのに戦力だけ集めて逆転を狙うということは、力づくで巻き返すことになるだろう。リオルがそれを覚悟して決起しようものなら……。
(内戦の勃発か。そこを王国は突いてくるだろうな。というか、王国の陰謀ってこともあり得そうだな……)
ローグは王国の陰謀が暗躍しているのではないかと考えてもいた。何しろ、この時代では王国と帝国は幾度も争っていたのだ。王国が帝国を乗っ取るために、帝国で内乱を起こして疲弊させてから攻め寄せるという計画を考えついてもおかしくないと思うのだ。
(だとしたらマズいな。王国が帝国を乗っ取ったら、魔法の力が更に世界で乱用さえることになる。俺の復讐が成就するしないの問題じゃなくなりかねない)
ローグの復讐の対象の最後の一人がまだ王国にいる。それも騎士団に所属しているのだ。そんな組織に属している以上、ローグは王国ごと叩きのめそうと決めたのだ。そもそも、魔法を乱用する王国の存在自体がローグにとって気に入らないということもある。
(王国を倒すには帝国が必要になる。ここで、第一皇女リオルに早まったことをされるわけにはいかない)
「話は分かった。第一皇女様、俺にも手伝わせてもらっていいか?」
「何? お前が?」
「ええ!? 何言ってるのローグ!?」
「俺には復讐したい奴があと一人いるんだが、そいつは王国の騎士団にいる。手を出そうにも王国の中枢にいるようなもんだ。うかつに近づけば騎士団全部を敵に回すことになるだろう。そうなると、俺だけでは復讐なんて不可能だ。そうなると、王国と帝国が戦争を起こしてる最中ならチャンスがあると思うんだ」
「…………」
「帝国は王国をずっと敵視してきたんだろ? 俺なら帝国を有利にすることができる。王国の敗北だって夢じゃない」
「! ローグ、それって!?」
「……お前は復讐のために祖国すら滅ぼすというのか?」
ローグの提案にリオルは目を細める。ローグの力を借りられることは大きいことは彼女にも分かるが、それを受け入れていいかは難しい。ローグは既に王国を裏切っていることは理解しているが、更に本格的に滅ぼそうというのはどうかしているとしかリオルには思えないのだ。
「疑うのも分かるが、俺には愛国心はない。何しろ、祖国では魔法がないなんて理由で迫害されてきたんだからな。しかも、魔法は人々を苦しめる害悪ばかりに働いている。魔法なしの差別や魔法協会の動きとかがいい例だ」
「…………」
「俺は王国のやっていることの大部分が見苦しいと思っているってことさ。何も王国の人間すべてを殺したいといってるわけじゃない。ただ、変えたいのさ」
「「変えたい?」」
ローグの言葉にミーラとリオルの言葉が重なった。二人の声が重なったのは、二人ともローグが何を「変えたい」のか知らないし分からないのだ。二人は顔を見合わせたが互いにはてなの文字が浮かんだだろう。
「俺が今まで見てきた魔法は人々に差別を生み、力を求めて悲劇を起こさせる要因になっている。俺はそんな魔法の在り方を変えたい、もしくは消したいと思っている。今のままでは世界全体の全人類のためにならないからな」
「世界全体? 全人類?」
「……本気でそんなことを……? お前は一体……?」
ミーラはよく分かって無さそうだが、リオルのほうはローグの言っている言葉の重みをなんとなく理解して驚いているようだった。流石に、世界全体と全人類のためなど考えもしなかったのだ。
「俺は本気だ。あんたなら分かるんだろ、嘘を見破れるんだからな」
「それは……」
「そもそも、あんただって俺と協力しようとか考えなかったわけじゃないはずだ。そうでなきゃ、こんな話し合いなどしないだろ?」
「…………」
「お互いの利害は一致するんだ。ここで手を組もうじゃないか、第一皇女リオル・ヒルディア」
ローグは真剣な目でリオルを見る。ローグは本気だった。それに対して、リオルの出す答えは……。
「私は……」
「皇女様……!」
「……」
気が付くとリオルは唇を噛んで震えていた。兄が裏切ったか、クロズクが暗躍していたのか、他に何かがあるのか知らないが、リオルは今の自分の境遇が悔しくて仕方がないのだ。
「だが! 私はこのまま終わるつもりなどない! 今回の事件の黒幕の容疑者がクロズク共という可能性が濃くなった今、私は奴らに問いたださねばならん。幸い、城には私を慕ってくれる部下が多い。誰が黒幕化はまだ定かではないが、彼らの力を借りられれば、きっと逆転できる! いや、逆転せねばならん! どんな手段を使っても!」
「なるほど、そういうことがあったのか……」
ローグは頭の中でリオルの話を整理する。初めに、皇帝が病に倒れてその子供たちの中が不和になった。次に、皇帝の病の原因が毒によるもので、それはリオルのせいにされた。最後に、リオルはクロズクという帝国の暗部と呼べる連中に命を狙われることになった。簡単にまとめると、そういうことになる。
(……これだけじゃ情報不足だな)
ローグはリオルが逆転するのに必要なのは、戦力と情報だと考えている。今の話を聞いた段階では戦力はともかく情報が足りていないと思うのだ。皇帝に毒を盛った者や一連の黒幕のことが分かっていないのに戦力だけ集めて逆転を狙うということは、力づくで巻き返すことになるだろう。リオルがそれを覚悟して決起しようものなら……。
(内戦の勃発か。そこを王国は突いてくるだろうな。というか、王国の陰謀ってこともあり得そうだな……)
ローグは王国の陰謀が暗躍しているのではないかと考えてもいた。何しろ、この時代では王国と帝国は幾度も争っていたのだ。王国が帝国を乗っ取るために、帝国で内乱を起こして疲弊させてから攻め寄せるという計画を考えついてもおかしくないと思うのだ。
(だとしたらマズいな。王国が帝国を乗っ取ったら、魔法の力が更に世界で乱用さえることになる。俺の復讐が成就するしないの問題じゃなくなりかねない)
ローグの復讐の対象の最後の一人がまだ王国にいる。それも騎士団に所属しているのだ。そんな組織に属している以上、ローグは王国ごと叩きのめそうと決めたのだ。そもそも、魔法を乱用する王国の存在自体がローグにとって気に入らないということもある。
(王国を倒すには帝国が必要になる。ここで、第一皇女リオルに早まったことをされるわけにはいかない)
「話は分かった。第一皇女様、俺にも手伝わせてもらっていいか?」
「何? お前が?」
「ええ!? 何言ってるのローグ!?」
「俺には復讐したい奴があと一人いるんだが、そいつは王国の騎士団にいる。手を出そうにも王国の中枢にいるようなもんだ。うかつに近づけば騎士団全部を敵に回すことになるだろう。そうなると、俺だけでは復讐なんて不可能だ。そうなると、王国と帝国が戦争を起こしてる最中ならチャンスがあると思うんだ」
「…………」
「帝国は王国をずっと敵視してきたんだろ? 俺なら帝国を有利にすることができる。王国の敗北だって夢じゃない」
「! ローグ、それって!?」
「……お前は復讐のために祖国すら滅ぼすというのか?」
ローグの提案にリオルは目を細める。ローグの力を借りられることは大きいことは彼女にも分かるが、それを受け入れていいかは難しい。ローグは既に王国を裏切っていることは理解しているが、更に本格的に滅ぼそうというのはどうかしているとしかリオルには思えないのだ。
「疑うのも分かるが、俺には愛国心はない。何しろ、祖国では魔法がないなんて理由で迫害されてきたんだからな。しかも、魔法は人々を苦しめる害悪ばかりに働いている。魔法なしの差別や魔法協会の動きとかがいい例だ」
「…………」
「俺は王国のやっていることの大部分が見苦しいと思っているってことさ。何も王国の人間すべてを殺したいといってるわけじゃない。ただ、変えたいのさ」
「「変えたい?」」
ローグの言葉にミーラとリオルの言葉が重なった。二人の声が重なったのは、二人ともローグが何を「変えたい」のか知らないし分からないのだ。二人は顔を見合わせたが互いにはてなの文字が浮かんだだろう。
「俺が今まで見てきた魔法は人々に差別を生み、力を求めて悲劇を起こさせる要因になっている。俺はそんな魔法の在り方を変えたい、もしくは消したいと思っている。今のままでは世界全体の全人類のためにならないからな」
「世界全体? 全人類?」
「……本気でそんなことを……? お前は一体……?」
ミーラはよく分かって無さそうだが、リオルのほうはローグの言っている言葉の重みをなんとなく理解して驚いているようだった。流石に、世界全体と全人類のためなど考えもしなかったのだ。
「俺は本気だ。あんたなら分かるんだろ、嘘を見破れるんだからな」
「それは……」
「そもそも、あんただって俺と協力しようとか考えなかったわけじゃないはずだ。そうでなきゃ、こんな話し合いなどしないだろ?」
「…………」
「お互いの利害は一致するんだ。ここで手を組もうじゃないか、第一皇女リオル・ヒルディア」
ローグは真剣な目でリオルを見る。ローグは本気だった。それに対して、リオルの出す答えは……。
「私は……」
0
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!
たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。
途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。
鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒!
素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。
裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!
おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。
お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる